「『禅』」PERFECT DAYS 赤福餅さんの映画レビュー(感想・評価)
『禅』
この映画を鑑賞して真っ先に思い出したのは、禅宗のご住職から教えを受けた『感応道交』『日日是好日』でした。特に『日日是好日』はこの作品で非常に丁寧に表現されているなぁと感じました。
ご住職曰く『日日是好日』とは「人生は一期一会清濁併せ呑む気持ちで生きていかなくてはならない」というものでした。
平山も毎日同じルーティンで生活をしており非常にシンプル(後述)である。
一見すると素敵な生活にみえる。
平山の行く所は、いつも同じ場所であり、銭湯、クリーニング屋、一杯飲み屋、カメラ屋、居酒屋などである。どの店でも常連客なのだがそれぞれとの関係は希薄であるように見受けられる。
しかし快適そうに見える独り暮らしでもどこか人恋しさがあるようだ。
女の子に突然キスされて動揺したり、姪の訪問で驚きつつも受け入れたり、妹にハグしたり…
清掃員の相方が急に辞めると言い出した時もシフトがどうとかよりも、寂しさがあったのではないかなぁと思いました。ホームレスの人との関係もそう。
やはり人間は世の中から目をそむけては、生きていけないし皆それがわかっています。
今作の役所広司さんは言葉で発する台詞は少なかったものの、表情や行動で感情を表現しておられたので、とても心地よく鑑賞させていただきました。
最後に私見ですが、『シンプル』という言葉は簡易なものの積み重ねによるものではなくて、膨大な量の問題を山積みにしてそこからそぎおとして凝縮した後に生み出されるものだと思います。
劇中の平山も大きな問題から今の生活を手にしたのだと思いました。
「禅」
まさに、「足るを知る」ってやつですね。
平山は、自分のいつものルーティンの生活で、幸せで完璧な日々だったはずなのに、他者との関わりの中で、自分に足りないものに気がついてしまって孤独を感じてラストシーンだと思いました。
その逆に感じる人もいるようですね。
この映画は、見る人によってどちらがPERFECT DAYSなのか違うようです。
そういう映画は好きですり後味はとても良いですし。
今晩は
コメント有難うございます。
私は年代的に、1980年代後期のロックを中坊時代に聞いて来たものですが、大学に入ってから山岳部のオッカナイ諸先輩方から、”ヴェルヴェットアンダーグラウンドを知らないとは!”と言われ、ファーストから聞いたのですが、これが又名曲揃いで・・。
大学時代には、日曜日の朝には珈琲を淹れながら「Sunday Morning」をガールフレンドとゆったりと聞き(石を投げないで下さい!)、今作でも流れた超名曲「Pale bule eys」や「Candy Says」(凄く好き。)を聞きながらオムレットを良く作ったモノです。
私は、映画をこよなく愛する者ですが、そこに愛聴する曲が掛かると、更に感極まってしまうのです。
では。これからも宜しくお願いいたします。
みかずきです
今年も宜しくお願いします。
シンプルに対する考え方、私も同感です。
複雑な事柄を整理して、余分なものをそぎ落として必要なものを極めるのがシンプルイズベストの意味だと思います。
さて、本作、主人公は、過去を捨てて、清貧生活を始めます。
過去の父親との確執を踏まえて人間関係に距離を置いて、ルーティン化された暮らしをしていきます。日々、木漏れ日等の自然の変化に小さな喜びを感じて生きていきます。しかし、相棒だった若手社員は突然会社し、馴染みのスナックのママのところにも元夫が現れ、主人公の心は揺らぎ、ルーティンも崩れます。
人間は、人間社会に生きている以上、人間関係としっかり向き合って生きていく必要があると思います。
作品タイトルがDAYSであり、LIFEでないのは、やはり、ままならぬ人間関係に距離を置くのではなく、しっかりと向き合った時、作品タイトルがLIFEになるのだと思います。
人間関係の難しさと大切さを教えてくれる作品でした。
では、また共感作で
ー以上ー