「これは個人的幸せ探しの話しじゃない。平山は…」PERFECT DAYS komomo_chataさんの映画レビュー(感想・評価)
これは個人的幸せ探しの話しじゃない。平山は…
映像が素晴らしかった!特に目を引いたのは隅田川の河川敷で三浦友和と影踏するシーン。
一体どうやって撮ったんだろう?七色の光、背景に露出を合わせると人物の顔がかなり明るく飛んでしまう。肉眼で見るにはもう少し暗いはず…。
スカイツリーのライトが波に揺られてる様子、まるで絵筆を水に浸した時のように絵の具が混ざる。
背景はカメラを完全に開放にしている。ネオンが丸い。
朝日、夕日、アパートの紫のライティング、街の夕景・夜景、麻生祐未とのシーンの朱い照明。夢のモノクロ映像…。
パリ・テキサスでも感じたけれど、やっぱり色彩感覚がずば抜けてる。
最初に観た時は映像や音楽に気を取られてたけど、これは小さな幸せを探してどうとかの話じゃない。
何か過去に社会的な罪を犯してしまった。初めて観た時から、平山のラストの泣き笑いがずっと気になっていた。あれは、悲しみの中にやっと歓びを見出した。初めからああじゃなかった。歌の歌詞を調べてみても、わかる。
それでも、それでも朝はまたやってくる。何とか生き直せる。
平山にも妻子がいたのかも知れない。身なりや身のこなし、仕事に対する姿勢や能力からして他の仕事もできたはず。
三浦友和との会話。
三浦友和に話してたんじゃない、自分に言い聞かせてたんだ。
「生きていて何の意味もないなんてことは無いですよ!」
肚を決めて、踏ん張って生きてゆこう。「どうだい、これが今の俺だよ」。これからは影の中に陽を探して…。