劇場公開日 2023年12月22日

「今度は今度。今は今。」PERFECT DAYS Moiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今度は今度。今は今。

2023年12月22日
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鑑賞方法:映画館

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感想

久しぶりに
ヴェンダースの国際興行作品を鑑賞した。やはり、監督はモノクロームの映像表現が秀逸であるのだという事を再認識させられた。

但し、今回は現代日本と日本人が主人公なので色彩美や、個性的な建築群、また東京の風景を表現するには鮮やかさが不可欠であり、旅という視点からも印象的となるカラーを選択したのだろう。

だか、監督において、事の発想と映像化の基本路線はモノクロームが主体でありまた、テーマは様々な世界で生きている多様な人そのものであり、人間模様を旅として表現している事は首尾一貫している。

監督の変わらない視点にいつのどの時代の作品も感動を与えられた。今回も人間模様の旅をしている雰囲気を充分に感じることができた。

また、アジアにしか生息していない銀杏や楓の木漏れ日を主人公は好んで白黒写真に収めており、光と影の描写が、作品のいたるところに表現されていてとても感動した。

『自由』の表現と捉え方
『さすらい』ではヒッピームーブメントの名残りとモラトリアム的自由の表現が主体であったと思う。

『ベルリン天使の詩』で全ての、あらゆる、天上界、人間界を含むあらゆる世界で生きる人々が想う『自由』を映像表現し、時に世界を複雑化させる原因が『自由』である事を考えさせられた。思考も表現も成長してそれぞれの立場、世界が理解できるようになったのだ。

今回の映画では日本人が基本的に持ち合わせている信念の中にある、単なる勝手な『自由』ではない、規律を持ち合わせた『自由』をよく表現している。

多くを語らず信念を持ち、規律を苦とせず、持ち合わせて自分なりの『自由』を謳歌している主人公。

彼の生き方はむしろ時代遅れの感が如実に出ているが、ここには監督なりの人生觀のような、『生き方を常に新しくしなくても良い。温故知新の文明で人は充分に事が足り、むしろ変えなくて良いのだ。』という信仰の様な、敬虔とも言える信念を感じる。

日本人の中には新し物好きで、常に革新を求めて動くという世界観を持った人達が少なからずいて、その様な人達が現代の東京を創った。

その人達の事もリスペクトしながら、監督は温故知新を大切にする日本人も、多いのだという事を今回の作品で教えてくれたような気がする。

よく日本人を理解してなければ、ここまでの映像表現はできない。勿論、役所さんの名演も含めて。

当たり前のように今を生きることがいかに大切な事で、世界でも貴重な事であることが簡単に理解できる。というところで、

⭐️5

2023年度 新作自己最高評価となった。

Moi
もりのいぶきさんのコメント
2024年11月10日

Moiさん、この作品への共感ありがとうございます。・_・
それから「復活の日」へのコメントもありがとうございます。

※「復活の日」のレビューが見つからなかったので、この作品
 のレビューに書き込みいたします。

この二つの作品を並べて語るのも変な感じがするのですが・-・
# 平穏な日常を描いた 「PERFECT DAYS」
# 人類滅亡の日を描いた「復活の日」
全くの正反対の作品だなぁ と独りで納得しています。

コロナウイルスも、治療薬やワクチンが出来たおかげで以前ほどの
程では無くなった気もしますし、日常が戻ってきていることに改め
て感謝しなければと思います。平穏が一番です。

もりのいぶき
ふわりさんのコメント
2024年11月3日

で、こちらのレビュー素晴らしいですね。確かに人間模様の旅している雰囲気…共感です。

ふわり
ふわりさんのコメント
2024年11月3日

沢山共感をありがとうございました。
私も同じく過去レビュー拝読し、ポチッとさせていただきますね。
私は分析力も考察力もないので、面白かったーとかその程度のレビューしか書けないのですが、映画好きな皆様と感想を共有できるのが楽しいです。よろしくお願いします🙂

ふわり
ゆ~きちさんのコメント
2024年9月8日

たくさん共感してくださり、ありがとうございました。

海外で観たので、余計に日本を誇らしく思えました。

ゆ~きち
CBさんのコメント
2024年8月28日

深い。
深くて、素敵なレビュー。

CB
琥珀糖さんのコメント
2024年8月27日

はい、見つかりました。

自由・・・自由であるための選択。
役所さん演じる平山を見ても羨ましい部分と捨て去る部分。
強靭な生き方を感じました。

琥珀糖
トミーさんのコメント
2024年8月27日

共感ありがとうございます。
偏見かもしれませんが、ヴェンダース監督のルーツは日本人と通じる所が有るようですね。異国人の彼の方が、現在の日本人にも残るモノを感じられるのかもしれません。

トミー