「刺激的な事件を変化球でアレンジ」メイ・ディセンバー ゆれる真実 ヤマッチさんの映画レビュー(感想・評価)
刺激的な事件を変化球でアレンジ
36歳女性教師が13歳の教え子と性的な関係となり、児童レイプの罪で逮捕された上に獄中で教え子の子供を出産という実話がベースとなっている作品。ただ、この事件そのものを描いていないところが面白いところです。設定もペットショップで働いていた社員とバイトとなっています。そしてこの事件が23年経過して、この事件を映画化するにあたり、主人公を演じる女優が取材に来るとこから始まります。この女優が事件の関係者と対面していきながら、事件の概要をあらわにしていきます。なぜグレイシーは13歳の少年と関係を持ってしまったのか?グレイシーの人となりが露となります。ドキュメンタリーでもシリアスでもありません。むしろテレビドラマレベルの演出。これは事件そのものを茶化しているようにもおもえます。グレイシーに似せようと化粧の手解きを受けていき擬人化していきます。そしてなりきった女優は、グレイシーの相手ジョーと関係まで持ってしまいます。グレイシーからは13歳のジョー
に誘惑されたと事件の始まりを告白されます。そして、グレイシーの息子から、グレイシーは実の兄から幼い頃性暴力を受けていたことを知らされます。グレイシーの歪んだ倫理観と感情はこの経験から培われた物ではとなります。撮影が始まりグレイシーを演じる女優。その後、グレイシーから「兄からの性暴力は嘘。息子とは毎日話をしているから」というセリフ。驚愕する女優。???
ジョーに誘惑された?グレイシーが誘惑した?
そして撮影が続き、ペットショップでのシーンとなります。蛇を触らせて誘惑しているかのようなシーンとなります。そしてエンド。消化不良でした。メイディセンバー事件を検索しました。この二人はのちに離婚していました。作中でも夫婦間がギクシャクしてラストを向かえていました。更に検索するとグレイシーがただの児童愛好者であることがわかります。そして実の息子にも。それで腑に落ちました。まともに映画化するのではなくやや茶化した演出もそれだったからではないでしょうか。真実は不明ですが、スキャンダラスなわりに深みがない事件だったという落としどころ
のようです。
