劇場公開日 2024年4月26日

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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のレビュー・感想・評価

全61件中、1~20件目を表示

4.0ゆったりした語り口で語られる、不条理なまでに翻弄された人生の物語

2024年4月30日
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鑑賞方法:試写会

1858年にボローニャで起きた事件を題材にした歴史劇である。仲睦まじいユダヤ人一家に育つ少年がとある理由によって親元から引き離され、カトリック教徒としての生活を余儀なくされる。ストーリーの柱には、現代でもあらゆる争い事の火種となりうる「宗教上の違い」があり、教義のため、宗教上の権威のために是が非でも事を為そうとする、優しい顔をした非情さが本作を不気味な闇で覆う。その一方で、これはいたいけな少年の瞳を通じた年代記でもあるのだ。己の理解がまったく追いつかぬところで全てが目まぐるしく移ろうお伽話のような感触すら持ち、彼は数十年のうちに大きな精神的変容を辿ることになる。ベロッキオ監督曰く、この事件はイタリアにとって重要な歴史的瞬間だったとのこと。なるほど、描かれるのは、宗教的支配が近代史のうねりによって変わりゆく過渡期。ゆったりした語り口ながら、当時を生きたあらゆる人々にとっての激動の物語なのだ。

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牛津厚信

3.5怖い映画だった

2024年10月9日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

怖い映画。一言につきると思います。
宗教という名のもとで起こる理不尽な誘拐、洗脳、無知で純真な召し使いの浅はかさ、すべてが怖いです。
一番怖いのは、教皇庁の支配という現実的な障害が奇跡的に取り除かれ、革命が起こったというのに、洗脳されてしまった人の心は戻らないという現実です。
これをみて、ロシアに連れされられたウクライナの子どもや、北朝鮮に拉致された日本人とか思わずにいられませんでした。
これは昔の話でもなんでもなく、今の話ではないか。
そう思うと背筋が凍ります。
すごい映画だったけど、後味が悪かったので評価は低めです。

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ナイト

4.0家庭に持ち込まれた宗教戦争

2024年10月4日
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鑑賞方法:その他

宗教は本当に平和のためなんだろうか?
バチカンにある美術品の数々に、教皇の権力の大きさに恐れを感じる。
こどもを拉致して改宗を迫るなど、本当に言語道断な話である。
当時はそれなりに行われていたのでは無いだろうか。
しかし洗脳とは恐ろしいもので、最終的に親子の仲を断絶してしまう様子に涙が出た。

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サニーインティライミ

4.0権力にすがるローマ教会の傲慢さ

2024年9月16日
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鑑賞方法:試写会

ユダヤ人家族の元に教皇の命を受けた人々が訪れ、“洗礼を授けられた”という理由でエドガルドを半ば強制的に連れ去る。浮き彫りになる権力の衰えに恐怖するローマ教会の傲慢さ。しかし、引き摺り下ろしたところで奪われたものは返ってこない。

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A子

永遠の宗教二世問題

2024年8月27日
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鑑賞方法:映画館

 1858年のイタリア。ユダヤ教一家の7歳の息子を「この子は赤ん坊の時に洗礼を受けたキリスト教徒だ」とローマ教皇が拉致したという歴史的事実に基づく物語です。現在からさほど遠からぬ時代にこんな横暴が許されていた事にまず驚き、イタリアの人々に及ぼしていた教皇の権力は斯くも甚大だったのかと知りました。でも、本作の訴えを本当に理解するには、イタリアの歴史とキリスト教・ユダヤ教の背景を知っていなくてはならないんだろうな。と、またまた自分の不勉強を恥じる。

 「でも・・」

と、不信心な僕は思います。無責任な事を言ってはいけないし、教皇の行為は許されないのですが、子供に何を信仰させるのかと綱引きする姿は、現在の日本で取り上げられている「宗教二世問題」にそのまま被さって僕の目には映りました。

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La Strada

3.0人間らしい

2024年7月28日
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鑑賞方法:映画館

幼いころに不可抗力で連れ去られ
育てられ
教えを叩き込まれると

人間はやはりその道を信じるようになるのか。

本人にとっては自分の世界はそこにあるんだろうなぁ。

宗教との付き合い方は永遠の課題のような気がした。
悪いものではないけど、
付き合い方によっては、争いや悲しみの火種になる。

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nana

4.0宗教に翻弄された一人の少年の人生を通して見えてくるもの

2024年7月26日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

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レント

3.0権力者の言動に嫌悪感を感じた。

Mさん
2024年6月4日
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ユダヤ教に関する知識皆無、キリスト教に関する知識義務教育程度で鑑賞。
権力者たちの行動に反吐(へど)が出そうだった。
家族の情を絶って何が宗教だろう。
教育の怖さも感じた。ロシアに囚われた子どもたちも既に教育(洗脳)されているかもしれない。

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M

3.0人間が最恐であることを思い知らされた作品

2024年5月25日
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ひでちゃぴん

3.519世紀半ば、ボローニャのユダヤ家庭にキリスト教徒が押し入り、7歳...

2024年5月24日
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りゃんひさ

3.0どうして?生きてる内は答えがでないコトでは

2024年5月17日
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鑑賞方法:映画館

何しろ映像が美しい、構成もドラマチック。役者さんも素敵な方ばかり。すご〜く満足!…したことでしょう今が昭和あたりなら。
昨今の映画にしてはとてもクラシックなつくりといわざるをえないというかなんというか。キライじゃないけど手ばなしで褒める感じではない。

にしても、宗教にからむ話題に触れる時、日本人でよかったなとつくづく思う。文化と信心は異なるもの。そうなった諸々の歴史はあるのだろうけれど

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ジャム太

3.024-053

2024年5月16日
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鑑賞方法:映画館

キリスト教って難しい宗教ですね。
特に中世から近世にかけての権力が国王や皇帝より強いなんて、訳がわからん。

布教、宣教、改宗、とにかく神のご加護を受ける子を増やしたい。
欺瞞と横暴に支配された教典が人々を救うとは思えないなぁ。

終始胸くそ悪い話でした😤

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佐阪航

3.5宗教めんどい。

2024年5月14日
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鑑賞方法:映画館

当時のイタリアでキリスト教とユダヤ教の関係など多少知識が無いとさっぱりわからない。
なんでユダヤ教あんなに教皇にぺこぺこしてるんだろ?
宗教に上下あるんかい?

誰が?何故ユダヤ人家族の子にキリスト教の洗礼を?というミステリ仕立ての前半と、すっかり洗脳されたエドガルドが家族と信仰の間でブレまくる後半、、っという仕立てのはなしです。実話だってのが怖いよね。

本来宗教は人を救う目的で産まれた物だけど、組織化し拡大し始めると大抵ダメになるね。

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masayasama

3.0迷信と支配

2024年5月12日
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だいず

5.0教会/世俗のイタリアの断裂線を描く妙

2024年5月10日
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鑑賞方法:映画館

イタリアの歴史に走る断裂線、教会/世俗の上にユダヤを配置して見事。カトリック教会の独善的な思考(あらゆる新思想を否定した誤謬表、教皇不可謬性)がピークに達した頃にリソルジメントの国家統一が重なった時期の問題性を一人の少年の運命により語ったのが見事。原作の力もあろうが、近代にぶつかったカトリック世界を絵巻物のように描いたのには感服するしかない。イタリア近代史を知る基点にもなる時期、教材にもよし。

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Boncompagno da Tacaoca

5.0熟練の作品

2024年5月10日
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自由と平等を推し進める民衆と、それに対抗するカトリック教会。イタリア統一に一役買ったのは、広場の銅像になるような立派な英雄ではなく、無学な家政婦がきっかけだったという不合理で残酷な実話。

冒頭。ヘブライ語で赤子に祈りを捧げる父母。赤子の瞳は遠くを見通すように澄んでいて、まるで飼い葉桶に生まれ落ちた赤子のように特別な存在だった。それを覗き見る家政婦の視線は、その後の数奇な運命を示唆する重要なシーンだった。

ユダヤ人迫害、権力乱用というカトリックの傲慢さと凋落をあぶり出しながら、マルコ・ベロッキオは犠牲者の少年の痛みを現代社会に提示してくれた。

かくれんぼ遊びが家庭と教会で二度描かれる。イタリア統一という歴史の中で隠れてしまいそうなエドガルド。彼自身も自分がどこに居るのか分からない。

そんな彼を置き去りにせず、「あなたはどこにいるのか。どこにいようと我々はちゃんと見つけ出しますよ」とマルコ・ベロッキオの声が聞こえるようだった。

印象的なシーンは数多く。母のスカートの中、寝台のシーツの中、教皇の法衣の中、母との別れ。たった一枚の布切れが、少年の残酷な断絶を浮かび上がらせていた。

そして十字架から釘を抜いてキリストを解放するシーン。キリストは〝受難の象徴〟いばらの冠を捨てて歩いていく。

ユダヤ人でありながらユダヤ人に殺されたキリスト。キリストが磔になることで信仰者は罪から解放されるのに、キリストを十字架に掛けた責任はユダヤ人が負うべきだというのなら、ユダヤ人の僕がキリストを解放してあげるよ。

現実では宗教の和解は困難だが、少年の無垢な夢が、同腹の兄弟(ユダヤ教とキリスト教)をなんなく和合させたみたいで面白かった。

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Raspberry

3.5あんな簡単な儀式で終世カソリック教徒としての掟に縛られのは堪らんな...

2024年5月9日
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あんな簡単な儀式で終世カソリック教徒としての掟に縛られのは堪らんな。まあ江戸時代の日本も強制的に仏教徒にさせられてたのだが。

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M.Ooi

2.5理不尽

2024年5月9日
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凄い古い出来事のように思えるが1800年代。このような理不尽な事が起こっていたとは。そして宗教の刷り込みの恐ろしさがわかっただけでも良い映画。

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hanataro2

4.0少年期、青年期の二人が良かった

2024年5月9日
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6歳でユダヤ教徒の両親の元から離され、カトリックの教会に入った彼の心境…なかなか想像しにくいですが、私には相反する気持ちに揺れ続けているように見えました。

ピウス9世に対しては、尊敬や敬愛だけではなく、家族と引き裂かれた憎しみを心に秘めていたのではないでしょうか。

衝動的な行動に、理屈では説明できない彼の心の揺れを感じました。

青年エドガルドを演じていたレオナルド・マルテーゼは2023年の『蟻の王』がデビュー作です。

デビュー間もないとは思えない印象的な演技で、数日経っても表情が心に残っています。

まだ少し演技が硬いような気もするし、上手いのかどうかイマイチわからないのですが、記憶に残るタイプでとても気になります。

印象的なシーンも随所に散りばめられていて、よい作品だったと思います。

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ほりもぐ

4.0まさに、数奇な運命

2024年5月8日
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鑑賞方法:映画館

個人的に久しぶりのイタリア映画。しかも19世紀のお話とのことで、映像の色彩がまさにクラッシックなイタリア映画。ただ、音楽がいまいち、モリコーネがもし生きていたら、名曲がついたのでは…と思ったりして。

実際にあったお話とのことで興味津々で鑑賞。因みにこれは描かれている宗教とイタリアの歴史について少し知識が無いと、誤解しそうなお話。キリスト教全般について調べたり理解を深めるきっかけとなる作品になると良いですね。

この頃のローマ教皇は絶大な権力を持ち、なんと横暴だったのか。信仰は誰にも押し付けられるものでも強制されるものでもなく、自分が知らないうちに儀式によって教徒になるものでもない。
ただ、印象的に描かれていたシーン、夢の中でエドガルドが、礼拝堂に掲げられている十字架の上のイエス・キリストの手、足から杭を抜き取ると、イエス・キリストが蘇って微笑み、歩き去って行くシーン。エドガルドがイエスと個人的に出会った、と言えるシーンだったのでは。
半ば誘拐され強制的に教育された少年は、実際に個人的にイエスに出会い、自らの意志でイエスの使徒となったということなのかもしれない。悲劇は彼が家族と平安や愛する心を分かち合えなかった事。
世界を知る上で、ユダヤ教とキリスト教は似てるけど、違う、ということは知っておく必要はありますね。
大きな政治的波に巻き込まれた少年エドガルドがとっても可愛らしく健気。それだけに、辛さに耐え無表情になるシーン、からの母の前で耐えきれなくなるシーンは涙涙でした。

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まっちゃまる