ポトフ 美食家と料理人のレビュー・感想・評価
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まるで印象派の絵画のような美しさ
途中の森の中での会食場面など、まるで印象派の画家たちがモチーフにしてきたような世界だなぁと思って観ていたら、どうやら、描かれている年代が19世紀後半ということで、そりゃそうかだった。
「料理界のナポレオン」と呼ばれる美食家のドダンと、そのドダンの考えたレシピを20年以上に渡って実現し、時にはそれを超えた料理を創り出してきたウージェニー。その2人の物語なので、映画の大半が調理場面や食事場面なのだが、どの場面をとっても、文句のつけようがないほど美しい。そして、何よりどの料理も美味しそう。
最初、「美食家」と「料理人」との関係が、今一つつかめなかった。もっと言うと、観終わってからやっとわかった(ドダンは海原雄山なのか!)くらいなので、互いに求めあっていながら20年も結婚しなかった理由がよく分からなかった。けれど、その関係がつかめると、そこにあった彼女自身の揺るぎないプロとしてのプライドとか、彼女自身の映画の中での振る舞いの意味とかがだんだんとわかってくる。
映画のあまりの穏やかさに、近くの方から寝息も聞こえてきたが、それは、「ノーナレ」のドキュメンタリーのように、余計なナレーションや音楽を入れない演出によるものだろう。それが観ていて、とても自然で心地よかった。(ラストにタイスの瞑想曲が流れて初めて、そういえばBGMがなかったことに気がついた)
もう一つ、パンフレットがよくできていて、映画に登場する料理のレシピもついているのでおすすめ。
人間関係が希薄なこの映画は、監督の意向に反して、1/3くらい編集カットされてしまったのか?
SLが好きで、グルメな先輩の勧めで、鑑賞してきました。
現代では珍しくもないが、映画中の"ノルウェイオムレツ"は食べてみたいと思った。
まず、とにかく"カメラに落ち着きがない" いじり過ぎ!
僕達 観客は、料理している最中や、サービス(運んでもらう)時の"手先がみたい"のに、
カメラは人物の顔を追い過ぎて、肝心な手元はうつさない。
暖炉や蝋燭の火はきちんんと映し、たまに木漏れ日までは映すのだが。。。
重要な時に、診さなければいけない"美食家の顔の表情"の露出が足りなかったり
暗い廊下と階段を、あてもなく無神経に暗く映し続けたり、撮影したカメラが安物かもしれないが
撮影には、まったくセンスの欠片がなく ド級の下手カメラ であった。
映画の中で、使われたコンロは、焚火での釜戸なのだが、
カメラが廻っている最中は、カメラが熱や水蒸気で、故障したり、レンズが曇ることを危惧し
撮影時は すべて釜戸に蓋をして撮影している"リアル感のない"ところは強く興ざめした。
中華料理でなくても、火を魅せる事は、調理映画なら重要なファクターな筈だ。
まして、フランス料理では、15㎝から30㎝クラスのフライパンを多用するのだが、
映画では、軽い焦げ目をつけたりすることもなく、油の代わりにワインを使う事もなく、
垂れにもこだわりが薄く、そのくせ英国料理の様に、皿の置き方や盛りつけに注視したり。。。
この映画のような 煮込み中心でしかないフランス料理は16世紀後半の昔であっても、チャンチャラおかしい。
よって、たまに 申し訳程度の湯気は映りこむが、調理時に温度や熱を感じる事もなく、効果音で誤魔化しているのは、料理映画として失格である。
舞台はプロバンス地方の田舎の様だが、映画の地勢を表現したり、映画の魅力を増す為に、
ただの畑や庭ではなく、周囲に広がっている筈の 田園風景 を写す場面が必要であった。
普通の監督は、そのカットを 映画のどこに差し込むか、悩むのだが
本作の監督は、そんなことに悩む以前の問題であった。
新人料理人の成長や、彼女の実家の工夫は? 新技術をポトフに使わないのか?
不採用だった新人料理人との展開は どうでもいのか?
美食家はオーナープロデューサーではあったが、職業は。。。貴族なのか?
結局、最高の料理は、完成せずに、投げ出して他の料理家のファンになったのか?
この映画に、ポトフ(おでん)は関係なかった。
オスマントルコ(ユーラシア国)皇太子との結末は?
この映画のストーリーは解らなかったし、何も残らなかった。
僕は20代中盤から10余年「東京会館」で毎月2回
この映画の様に、オーナー的である 常務・総料理長が属するクラブで、
この映画の"サロン"の様にオーナーと共にコース料理を食していたが、
この映画では、フランス料理の良さである"緊張感"が、何も伝わってこない残念な映画だった。
ただ、主人公:ドダンは、僕らが認識する"フランス男子"として、最高のカッコ良さだったので、ドダンを観る為と
調理と食事のシーンが長く、映画を観ていると、100%お腹がすくので、食前映画としては、最高の出来だった。
料理人の話では、新人調理人を扱った 日本のドラマ「バンビーノ」が好きです。
ウージェニーの肖像
ほぼ全編にわたって料理を作っているか、食べている映画だ。冒頭の延々と続く調理シーンは無駄のない動きが心地よく、感嘆する。時代背景も違うし、フランス人が皆あんなに凝った料理を毎日食しているわけではないだろうが、まさに“豊潤”という言葉がふさわしい。足し算もしくは掛け算の料理というか、ちょっと過剰にも思えるほどだ(日本料理は引き算?)。
ドダン✕ウージェニーの料理を味わうために足しげく集まる紳士たちは、ルイス・ブニュエルの「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」を彷彿させ、少しく滑稽でもある。
ジュリエット・ビノシュも「汚れた血」からもう37年も経ったのかと、感慨深いものがある。時の流れは速いものだ。歳月はそれなりの痕跡を残しているものの、佇まいは健在だ。
そのうち“厨房のポーリーヌ”で続編が作れそうな気もする。
映画のあと、感化されていつになく贅沢なランチにしてしまった。
佇まい
カンヌで賞を獲ったらしいのでかなり迷ったが、予告編に惹かれて観賞。
ポトフというシンプルな料理で至福の時を演出する痛快さを期待したが、
さにあらず。想定とは違ったが、心に響くものがあった。
ストーリーに奇を衒ったところはなく、延々と調理と食事の場面が続く。
単調でウトウトする場面もあったが、調理には結構興味を惹かれた。
結構粗雑で美しさも感じられなかった。
食べ方も私がイメージするフランス料理の作法よりはかなり汚く、
興味をそそられた。
他人に厳しく自分に甘いフランスらしい(あくまでも私のイメージ)し、
2人の生き方も含めてナチュラルに描写されていた。
だからこそ2人の絆にはある種のシンパシーを感じたし、心に疼痛も残った。
2人の佇まいは魅力的だった。
但し、やっぱりラストはゲージツでわかりにくかった。
才能溢れる娘の必然性も最後に霞んでしまった。
わかりやすいラストではゲージツにならないのだろうか。
主役は料理
「デリシュ!」と似ているようだがぜんぜん違う話。
「デリシュ!」は料理を介して幸せになった男女の話、「ポトフ」は、美食に命をかけたふたりの「同志」の話、だと思う、というか主役は料理のほう。
やたら大げさで詩的な形容で言葉を尽くす人々、女性にひたすら愛を語るオトコ、ミステリアスなオンナ、そして美食の追求、という、外国人が想像するベタなフランス映画のようなフランス映画。フランス人男性以外がこれだったらキザすぎてコメディーになるの必然、とちょっと思った。
冒頭から確信犯的に延々続く料理のシーンから目が離せない。
なにこれ、美味しそう、とずっと見ていたい。
キッチンを行き交う靴音、食器やカトラリーの当たる音、焼く音、煮る音、注ぐ音、音が脳内味覚を全開にして、料理の臨場感で胃袋直撃、作る様と、出来上がった料理と、それをざくざくと切り分けて、大ぶりに取り分けて、フォークで、スプーンで、掬って口に運ぶ、ストーリーはすでにどうでもよく、それだけを見ていれば至福、と思った。
「私はあなたの妻?それとも料理人?」と亡きウージェニーの幻に聞かれて、「料理人」と答えるドタン、これはドタンがウージェニーを料理人と「しか」思っていない、ということではなく、夫婦というより料理という共通の目的に命を掛けたプロフェッショナルな「同志」という認識、それぞれの役割を完璧に果たす、二人で一つの、得難い「相棒」、という認識と受け取りました。それに気づいたドタンはすぐに、目的を果たすための、欠けた部分を得る行動、新しい料理人獲得に出たんだと思います。
突然現れた天才少女の影で浮かばれない体の助手のヴィオレットが気の毒
で、皇太子に出すポトフはどうなっちゃったんでしょうね。
レシピを作る美食家と、それをキッチンで完成させる料理人。 実際の料...
ポトフは pot-au-feu. 🇫🇷 語
【ポトフとは】
「ポット・オー・フー」なんですよ。
「お鍋」=「 オンザ」=「 Fire ファイアー」ね。
これ、語感がいいんだよねぇ ♫
「火 hi」は=フランス語では「フーfeu」。
なんて可愛いんだろ♥
料理が大好きな僕なのですが、
若い頃、オリジナル・ポトフを10年に1度だけ作って、友人たちを呼んで振る舞っていました、
名付けて「10年に1度の大男スープ」。
丸のままのじゃがいも、🥔
そのままのにんじん、🥕
骨付きのチキン、🍗
もしくはビーフか豚の骨付きバラ肉、🍖
丸ごとの玉ねぎにローリエ、🧅🌿
コンソメ・ベース。大ぶりのマシュルームや🍄
トマトをホールで後入れすることも有り。🍅
素焼きのどんぶりです。木のスプーンです。
お店の名前は「3匹のくま」🏡
Bon appétit!
後に信州で暮らすことになり、ワイン醸造所でしばらく働いたのですが、自分のお店とか やったら楽しかったろうなぁ✨と今でも時どき思います。
料理・レストランものの映画は、そういう訳で目がない僕なのです。
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【隠し味は男女のハート】
映画の原題、および脚本のもとになった小説は「美食家ドダン・ブーファンの生涯と情熱」。
その名からわかる通り、邸主のドダンが物語のメインに据えられているはずなのですが、
実際のスクリーンで我々が魅せられるのはジュリエット・ビノシュ演じるスー・シェフ=ウージェニーの、彼女の存在の圧倒的な大きさ。
そして冒頭からの 圧巻の調理シーン。
ドダンがフランベする、
ウージェニーが炒める、
ドダンがコンソメを引く、
ウージェニーが香草を散らす、
ドダンがオーブンを覗く、
ウージェニーがドレッセする、
カメラが皿を追う。人間を追う。
二人対等の、たっぷり時間をかけての美食と人生の、調理シーンでした
今回の映画は
かつて実際に婚姻関係にもあった!という二人、
ブノワ・マジメル と
ジュリエット・ビノシュ のW主演。
倒れたジュリエットのためにマジメルが駆けつけて、彼女のためだけに「療養食のフルコース」を作ってやるんですよね〜
まったくもって粋なキャスティングじゃないですか💕
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【五感で味わう映画】
映画館 東座の社長=合木こずえさんは、今回またまた町内の小さなビストロとのコラボを企画してくれました。
映画を観たあと、余韻に浸りながら通りをぶらぶら歩いて、そのビストロで1週間限定のポトフメニューを頂けるのです(要予約) 。
映画を五感で味わおうというこの東座の企画は、最近では
◆「あのこと」で、性教育スペシャリストによる上演前講演。
◆「共に生きる 書家金澤翔子」では書道家さんのお話。
◆県内に住むパントマイミストの舞台は「沈黙のレジスタンス」に合わせてのステージ。
そして
社長さんご本人による寸劇も行われましたよ。
「世界で一番美しい少年」にぶつけて、俳優になるために劇団で苦労し、辛い思いもしてきたという合木社長の来し方を喜劇に仕立てたものでした。
演出の楽しさを知っている映画館の社長。
人口8万人の小さな街だからこんなユニークなタイアップ企画が実現してしまいます。
どうです、いい映画館でしょう⁉️
えっへん😆👍
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【弱った心と体には手料理が一番】
フランスでポトフなら
日本ではさしずめ「お粥」だろうかなぁ・・
誰だって辛いときには、優しくされたいもの。
「どう具合は?」
「食べられそうかな」
「ちょっとでも食べてごらん」
そう言っておでこに手を当ててもらう。これが最強のお薬。
そしてよく寝て、少し元気になったらデザートは「ミカンの缶詰め」で決まりです。
優しさは、どんな高級な独逸製の注射よりも僕らを元気にしてくれるんだよね。
多くを語らなくても、作ってくれたその人の愛情がわかり、心細い思いも温めてくれるのが pot-au-feu。
ブノワ・マジメル と
ジュリエット・ビノシュの恋心を、ドダン手作りのポトフは満たしてくれたようです。
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監督は、かつての「フランス領インドシナ」=ベトナム出身のトラン・アン・ユン。
フランス映画にありがちな さばさばとした冷たさや、観終わったあとの ぐったり感はありません。
ヌーベルバーグで失ってしまったフランス映画の良いものを、監督はアジアの眼差しで取り戻してくれました。
監督はフランス人の日常を、潤いのある人肌のものへと復活させてくれました。
厨房ものではあるのですが、(珍しく) 食べるお客さんがみんな清潔で良い人。
そしてウージェニーもお手伝いの女の子たちも、ちゃんと全員が丁寧に扱われていて、フルコースで まかない食を味わう映画なのです。
主人のドダンが単なる美食家ではなく、
「作ること」、
「ふるまうこと」、
「一緒に食べること」、
この三拍子ね。
その食卓の光景のすべてが猛烈に好きな人物であった という設定が◎なんです。
だから
美味しいものが好きなひと、
料理が好きなひと、
そしておもてなしが大好きなひと、
そういうあなたには絶品。オススメの映画です。
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東座の帰り道、
ブルゴーニュワイン「シャンボール・ミュジニー」をスマホでポチりました。もちろんあのウージェニーが愛したワインでしたね。
届くのが楽しみです。
病床のウージェニー:
「作ってもらうのが癖になりそうだわ」
心込めて作った人 ドダン:
「君が食べている姿を見たい」
「ありがとう」。
名優に拍手、
C’était bon! / セ テ ボン / ごちそうさまおいしかったです。
🍝🍷✨
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料理を巡る夫婦愛
料理の場面はグロテスクなほど生々しさを感じた。やはり、途中に出てくる才能があるという姪の扱いがよくわからなかった。皇太子に出すというポトフがどんなものかもわからないままでした。主役の二人の遣り取りから、夏が好きで、料理人としての意味づけに生き甲斐を感じる妻と、それぞれの季節の始まりが好きで、料理へのこだわりの強い夫の愛情の強さというのは窺えた。
私は秋がすき〜(2024年2作目)
すでに持っているものを求め続ける。素敵な言葉ね。
終始美味しそう。
私は食べることが大好きで料理もするのでいい音だなぁー。と楽しめた。
映画の中に嫌な人がいない。
丁寧に生きていて、丁寧な言葉を使う。
お願い、ありがとうが沢山出てくる。
愛している人に美味しいものを作ってあげたいっていうウージェニーとドダンの愛が綺麗。
今日は美味しいものを食べよう。
冒頭がクライマックスです。100年前の調理場面と料理を再現した素晴...
圧倒的な料理シーンのビジュアル&サウンド
タイトルだけで優勝!
なんて優雅で品がある、まさに口福の極み!
冒頭から料理大事典から飛び出してきた様な華麗な料理…スクリーンから香りや湯気までも溢れてきそうなほど芸術的な料理過程に魅了されっぱなし!
仔牛のポアレなんぞ恥ずかしながら喉が鳴りそうになりました💦
情熱の全てを料理に捧げる美食家と料理人…
深過ぎる料理への想いと絆で結ばれる2人の愛の物語であるところがザ!フランス!
美食家ブノワ・マジメルと冷静かつ甘美な魅力を放つ料理人ジュリエット・ピノシュ
贅沢過ぎる完璧なキャスティングだ!
そこに絡む絶対味覚の見習いの少女
絶対的・美少女な彼女に今後も注目したいし
料理の監修をしたピエール・ガニュールも皇太子専属シェフ役でちゃっかり出演したりして…
フランス代表作の奥深さを充分に堪能出来ました
静かなのに奥底では熱い
ユーラシア皇太子に晩餐会に出された料理が不満だった美食家が、考えられる最上の料理で逆に皇太子をもてなそうとする。選ばれた料理はポトフ。ただの家庭料理とも言えるポトフでどうもてなすのか?料理人との試行錯誤が始まる…。
みたいな映画だと思っていた。いや、この内容ならポトフってタイトルにしちゃダメよ。ポトフなんて…と訝りながら食べ始めた皇太子が、むさぼるように完食するクライマックスを待っていたのに。
とにかく調理して食べての映像が繰り返される。冒頭なんかかなり長い調理シーンだった気がする。でも、三つ星シェフが監修しただけあって相当に美味しそう。料理好きな人ならこれだけでも観る価値はあるかも。
美食家と料理人の愛の物語として頭を切り替えて観ていたが、それもどうやら違う。料理でつながり、料理を通して関係を深めていった2人だからこそのラストシーンはグッとくるものがあった。イメージしていたものとはだいぶ違うけど、これはこれで悪くない。とても静かに話が進んでいくのに、奥底では2人の料理への熱い思いが燃えていた。まるで火にかけられた鍋のよう。はっ!だからポトフという邦題にしたのか!(たぶん違う)
料理界のナポレオン?
最初の料理のシーンで睡魔に襲われた私が悪いのですが、
>「食」を追求し芸術にまで高めた美食家ドダンと、
>彼が閃いたメニューを完璧に再現する天才料理人ウージェニーの評判は
>ヨーロッパ各国に広まっていた。
という設定が全く入ってきませんでした。
ただ単に仲良しグループでご飯を作って食べてるだけの上流階級の人たちって感じで。
料理を作ることで世の中に貢献してるのかな、貴族って存在だけが正義なの?
ま、そんな感じで、私はむしろヴィオレットが不憫だな〜とか、
鍋持って階段(段差)を上り下りするときにぶちまけないかな〜とか、
最後も火事になるんじゃないかな〜とか、変な心配ばかりで、
素直に見れなかったです。
細部にまでこだわりはある、ただ、それで?って思いましたとさ。
【料理は愛情‼︎ by結城 貢】
知識と教養に裏付けられた、機知に富んだ気障な台詞回しと世界に誇るフランス料理、これぞ自立した男と女の大人の仏映画。
レシピを粛々と熟していく調理工程の様式美と自然光に映える食材、ドキュメンタリーを観てるかのような長回し撮影と繊細な画角、料理は味覚だけでなく五感で堪能するもので、料理人は芸術家であり科学者であり哲学者だと思わせてくれる、併せて料理人の社会的地位が日本と比較にならない程に高いことにも妙に納得させられた。
調理器具に調度品、インテリアから当時の上流階級層の衣装まで、象徴的な照明と色合いも相まって楽しめた。
但し粉もん文化の庶民階級出身としては、蘊蓄抜きに美味いもんは美味いでええやないかとも⁉︎とりあえず料理も恋愛も準備と下拵えが大事だと勉強させてもらいました。
最後の
ラ・フランスは美しい女体を表す🍐
フランス発の料理映画は観て食べて楽しむ感覚で
料理を作ること、食べることが好きだと、
より楽しめる👩🍳🔥🥘
ポトフというフランスの伝統的な家庭料理が
どこでどう出てくるのかと思っていたら
終盤グッと泣かせます😂
料理を彩る食材も然ることながら
部屋を華やかに彩る四季の花々も素敵だった💐*·̩͙𓈒𓂂𓏸
抑揚のない淡々と料理を作る行程やらと
子守唄のような仏語に睡魔との闘いが
繰り広げられていました🙄
音と映像の巧みな演出により、心地よい空気感に浸れる秀作
第76回カンヌ映画祭監督賞受賞、ベトナム出身のトラン・アン・ユン監督作品。
19世紀末のフランスを舞台に、料理への情熱に溢れ、自らも調理する美食家と卓越した技術を待つ料理人の女性、20年以上共に暮らすこの二人の静かな愛を、ミシュラン三つ星シェフのピエール・ガニェールが監修した料理とともに、美しく描いたフランス映画。
名女優ジュリエット・ビノシュら役者たちの秀逸な演技の下、ストーリーはゆっくり、かつドラマチックに展開していく。調理の場面のみならず、シーンの多くがワンカットで撮影されており、その卓越したカメラワークは息を飲むばかり。
長い尺の調理シーンの映像もよかったが、何より素晴らしかったのは音。素材を捌いて切る音、調理や食器から出る音、足音、息づかい、屋外の小鳥の囀りなどの環境音。
エンドロール以外に音楽が一切流れない中、包まれる音に惹きつけられた点は過去一番。カンヌで監督賞を取ったことが頷ける。
題名であるポトフとはほぼ関係なく、途中ストーリーを端折って「えっ?」という展開もあるが、スクリーンから受ける美しさと音、その空気感が沁みる、そんなしっかり作られた映画。食に対する飽くなき追求という観点でも楽しめた。
それにしても、ひと皿の量が驚異的だったり、8時間以上に及ぶ食事会が催されたりと、フランスの美食家たちの胃袋の強靭さが、羨ましくもあり、とても印象的。
そして、次の回の入れ替え時に出会ったローブリューのシェフに鑑賞のバトンを引き継いだが、フレンチの料理人の目線で、この映画をどう観て感じるのか気になるところ。
ちなみに劇場に貼られたポスターは、東京国際映画祭で来日したからか、洋画には珍しく監督と主演男優の直筆サイン入りだった。
食にこだわる方にお勧めの映画。
全106件中、21~40件目を表示