「「〜学」とあるからと言ってロジックのある話とは限らない」落下の解剖学 あるひさんの映画レビュー(感想・評価)
「〜学」とあるからと言ってロジックのある話とは限らない
気にはなっていたが公開中に見損ねてしまい、単館名画座でやってるのにたまたま出くわしたので鑑賞。映画にあまり予備知識持たずに見る主義だが、こういうこともあるのか、、、と思い知った。
映画としてハズレ、ということはないが玄人好みの人間ドラマ。
尚見終わった後に邦画のタイトル翻訳に問題があつたんだろ、原題は?と思って見直したら「amatomy of a fall」と何のテライも無い原題、ということは監督か、、、。
タイトルに学、とあるからロジックで法廷劇が繰り広げられるのかと思いきや、夫婦仲やら何やらフランス(ユーロ)の社会問題をいくつか投げ込んで視聴者に素のまま判断させる、そんな感じ。
導入でフランス映画、ということが分かつた時点で嫌な予感はしていたが、事件後、法廷に到着するまでの展開は冗長で、カメラワークも単調。2時間半というのはこういうことか、と覚悟を決めた。
法廷での検察、弁護士の丁丁発止のやり取りは面白いが展開がやはり遅い。
息子が何故結審を延期させてまで陳述の場を要求したのか、何故そのときだけ傍聴人が数人しかいないのか、一体真犯人(自殺含め)は誰なのか何も決定的な事実が、明らかにされないまま被告人のベッドに犬が寄り添ってエンドロール、というわけのわからない締め方で終わる。
勝訴を勝ち取った後に御飯を食べて帰る下りや、子供から追い出されて弁護士の車でホテルに向かう道で謎のカット(真っ暗な山道にヘッドライトが照らされてカーブを二度三度曲がる)が挟まったり、最近の尺を詰めて作る日本映画慣れてるとそれ要るの?というツッコミを何度も呑み込む必要あり。
法廷でも一貫して論理ではなく感情で判決を有利に進めようという流れだし、フランス映画はまだこういう情緒で尺を伸ばす映画が許されるんだなあと感慨。
実は自分は最後の最後にドンデン返しで目の見えない息子が犯人説と、クライマックス?の録音喧嘩の後は、「実は前日の、喧嘩のときに既に死んでてそれを翌日まで隠してた」説のどっちかだろうと踏んでた。
ものの見事に裏切られたので、犬が添い寝してエンドロール、というエンディングの後は頭がグルグルして席から立ち上がれなかった。
そういうロマンス、社会問題ネタとしてはいい映画だと思うんだが、いかんせん自分の趣味には合わなかった。