「パルムドールも納得の怪傑作」落下の解剖学 コンプライアンス まもるさんの映画レビュー(感想・評価)
パルムドールも納得の怪傑作
ポイントは3つ。
【1】タイトルの秀逸さ
『落下の解剖学』というタイトルそのものが、本編のサスペンスを紐解くキーワードになっている点が素晴らしい。
観終わったあとにタイトルを見直し、そういうことだったのかと感嘆のため息が自然と出たほど。
「何が落下し、どう解剖される」のか?
そして「何が解剖され、落下していく」のか?
作中でそれらが詳らかになるたび、心臓をキュッと掴まれ、引き込まれていく。
【2】ザンドラ・ヒュラーのサイコパスな演技
物語のコアは、主人公サンドラが夫を殺したかどうか。
つまり、サンドラがシロかクロかで物語が引っ張られていくのだが、
サンドラ役ザンドラ・ヒュラーの芝居が圧巻すぎてラストカットまで「この人はこの期に及んでもまだ嘘をついているかもしれない」と疑心暗鬼にかかってしまう。
黒いヴェールを一枚被ったような、決して本心を見せないザンドラの不気味な芝居。
これを観るためだけに本作を観る価値があるといっても過言ではない。
【3】考察し放題な脚本
サスペンス好きが喜びそうな考察の隙間があちこちに意図的に散りばめられており、一応の結末は提示されるものの、視聴後に「いやあそこはこうで……」「これはこういう理由で……」と考察し放題。
作中唯一の癒やしである可愛い愛犬スヌープにすら、疑惑かけ放題という懐の深さ。
脚本と演出が秀逸すぎる。
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