劇場公開日 2024年2月23日

「確かにカンヌとかで評価されそう」落下の解剖学 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5確かにカンヌとかで評価されそう

2024年2月24日
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鑑賞方法:映画館

面白かった。外国人率高し。
孤立した雪の中の山荘的な家で起きる死亡事故。
作家同士の夫婦の夫の落下死。妻にかかる疑い。
二人の間にいる息子(視覚障害)。夫婦の言語であるフランス語とドイツ語と共通語としての英語、そして裁判はフランス語、というのもポイント。

もう犯人が誰かというより、妻がやったか事故なのかのどっちかしかない裁判の進む先に炙り出される夫婦間の秘密、と、妻にしかわからない人間関係、息子にしかわからない人間関係。その割にはどうなるのかまったく終わりが見えないのは息子の設定だろうな。

この映画の面白味は、そのリアリティに尽きる。
現代ならではの人間関係と嫉妬、不安、など、そういう焦燥感を使うか〜という新鮮味。
そういえばフランスの法廷もあまりみてないから検事と弁護士の服装やら法廷的職能演技がまた嫌味があったなぁ。

裁判から、狭い人間関係が公の面前に見せ物のように立ち現れ、その際に参加している人々の顔、顔、顔、をかなり写して、観客もその裁判に立ち会わせるような演出になる。ここでも最終的には息子がブラックボックス。思い出した父の思い出は少年目線で観客に見せるが、もちろん少年にはその顔は見えてないはずなのだった

ONI