「真実はいつも1つとは限らない。」落下の解剖学 ふじたさんの映画レビュー(感想・評価)
真実はいつも1つとは限らない。
映画.com様経由、ギャガから試写会へ招待され、『落下の解剖学 』を鑑賞しました。
息を飲む法廷ドラマ。真実がどこにあるのか、怒涛の会話劇が繰り広げられます。あっという間の2時間半。
人が亡くなった事件を取り扱う作品の中では珍しく、真実が鑑賞者にもわからない作品。サンドラが本当に殺していないのかはサンドラにしかわかりません。
この結末がより裁判の実態を生々しく感じさせてくれたと思います。実際の裁判でも、証拠が不十分でありながらも、1つの結論を出します。本当に自分が裁判を傍聴している気持ちになりました。
裁判の中で色々な証人が出てきたり、実証の1つである録音を聞いたりします。出来事は1つであるものの、解釈によって捉え方は人それぞれで、事実なんて本当は存在しないのではないかと思いました。検察からすると、色々な出来事をサンドラが他殺したような証拠として「事実」たらしめようとしています。
1番の注目シーンである、サンドラと夫の口論のシーンを見ても、どちらが悪く見えるのか解釈は分かれるのではないかと思います。ちなみに私は夫のほうが思い込み多そうと感じました。事実なのかは置いておいて。
私達の日常でも人によって解釈が異なるシーンは嫌でも多く出くわすと思います。
友人の恋人との別れ話を双方から聞くと、こういうことがあって相手が悪いとともに主張し合い、どっちの言ってることが正しいのかわからないような場面は皆さんも経験したことはないでしょうか?
立場によってどのようにものを見たら都合良いのかは異なります。僕らは自分の色眼鏡なく、出来事を捉えることは相当難しいのだと思いました。
ミステリーと思って観に行くと、ちょっと肩透かしに合うかもしれないので、あくまでサスペンスドラマを観るつもりのほうが良いと思います。、
2/23公開、是非劇場へ。