劇場公開日 2024年2月23日

落下の解剖学のレビュー・感想・評価

全445件中、1~20件目を表示

4.0冤罪はこうやって生まれるのかも

2024年10月10日
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鑑賞方法:VOD

冤罪はこうやって生まれるのかも、と思った。
物的証拠がなく、証言だけで殺人か否かを決めなけれ ばならない。誰かを有罪にするか無罪にするか、人生を左右する重大な決定を、証言を根拠に決めなければならない。
往々にして人の記憶はあいまいだし、自分の都合や思 い込みや、信じたいことで改変されている。し、裁判での証言なんて、自分が世間からどうみられるか、なんて計算まできっと入るから、記憶からの証言の信ぴょう性なんてあってなきがごとき。裁判官らは信じたい方を信じ、有罪/無罪に票を入れる。その意味で、盲目の息子ダニエルが「子供(11歳)」つまり「ピュア」であり、「盲目=他者が見えない」つまり「他者からどう見られるかを気にしないでいい人」という意味で、打算的な記憶の改変が少ない、信頼できる人として描かれている気がしてならない。その彼の 証言がキーとなっただろうことには、鼻白む。
加えて、検察側が露悪的で印象操作に思えてならな かった。例えば、サンドラ(被告人)のセクシャリティを暴きたてて、学生との会話を誘惑だと言い立てる姿。 夫が無断で録音していた口論から、「サンドラ=悪」 を植え付けようとする姿(会話を密かに録音する是非は問わない)。たとえ、サンドラがいかに「世間的に」奔放で不道徳な人間だったとしても、それを殺人に結び付けようとする態度には違和感しかなく、とても不愉快で嫌悪しか持てなかった。
確かに私は女性で、同性であるサンドラに無意識に肩入れしている部分はあるにしても。
最後に、この夫婦の関係が「世間」と逆転していて、おわゆる男性側を妻・サンドラが、女性側を夫が担っている。仕事に集中し、 子育てや家事をしない方を女性が、家事や子育て、自分の時間が持てずストレスをため込む方を男性が担っている。この逆転に裁判官や裁判員がどう見るか。男性は「女のくせに」、女性は嫉妬に近い反感を持つのではないか。
こうやって証言から作り上げられた「被告人像」か ら、真相はどうであれ「有罪/無罪」が決まる。真相と判決が合致していればいいけど、違えば冤罪/無罪放免。
私の「被告人像」は「無罪」だったから、こうやって冤罪が生まれるんだろう、と思いながら見ていた。彼女を「有罪」だと思う人からしたら、この映画はどう 見えているんだろうか、と思う。

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消々

4.0家族の内側を解剖する法廷劇で試される、私たちの曖昧さを抱えておく力

2024年2月24日
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鑑賞方法:映画館
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ニコ

4.5事実が力を持たない時代の法廷劇

2024年4月30日
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鑑賞方法:映画館

事件の真実を明らかにしないままに終わる法廷劇というのも珍しい。しかし、極めて今の社会のあり方を的確に表出した作品と言える。要は、「人は信じたいものしか信じない」、事実が力を持たない時代になったのだということ。
夫の転落死は事故か、殺人か。決定的な証拠は見つからないまま物語は進んでいく。そして、事件をめぐる世の中の関心は、夫婦仲がどうだったかへと移り、法廷も主人公の女性に殺意を抱くような動機があったかどうかが争点になっていく。しかし、動機は事件性があったのかどうかの補強情報にはなるが、決定的な証拠とは言えない。下世話なスキャンダルのように世の中が騒ぎ立てるなか、目の見えない息子が証人となる。
タイトルには「解剖学」という言葉が使われている。解剖学は人体の構造を明らかにする学問だ。見えない人体の中身を「見える化」するものと言い換えてもいいかもしれない。
その言葉に反して、この映画で描かれる事件(事故)の真相は見えない。真相は見えないままに物語が進行し、観客である我々はそれぞれに「信じたいものだけ信じる」ように誘導される。
そんな、人の「信じたいものしか信じない」心の弱さを「見える化」している作品と言えるかもしれない。

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杉本穂高

4.5脳の訓練とスリリングなメロドラマの融合

2024年3月31日
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村山章

4.0事件と夫婦関係の解剖によって浮かび上がる奥深い人間ドラマ

2024年2月29日
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雪山に建つ山荘で暮らす3人の家族がいる。絵に描いたような幸せな暮らしに見えるものの、そんな中で夫が落下死するという悲劇が発生。捜査の過程で浮上した不審点によって、妻に殺害容疑がかかり・・・と、あらすじだけを見ると、謎解き、捜査、推理といったイメージが湧き上がってきそうだが、しかしこの映画の本質は紛れもなく「家庭ドラマ」だ。あるいは家庭生活という名のサスペンス。その上、この法廷劇によって周到にメスが入れられ一つ一つ明かにされていく状況は、恐らくどの家庭や夫婦でも身に覚えのある切実かつ根源的な問題なのだ。妻であり母であり、成功した作家でもある主人公役のサンドラ・ヒュラーの表情が鮮烈で、彼女が怪しいのか、それとも我々の偏見や先入観なのか、観る者もまた非常に不可解な境地に立たされる。と同時に、盲目の息子が手探りで真相を掴み取ろうとする健気な様が胸を打つ。まさに解剖の名にふさわしい人間ドラマである。

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牛津厚信

4.5夫婦の愛と信頼が崩れ落ちるさまが、裁判の過程で解き明かされていく傑作サスペンス

2024年2月25日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

転落事故か投身自殺か、それとも殺人か。自宅山荘の窓の下で、夫で父親のサミュエルが不審死を遂げ、その妻で小説家のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)が殺人罪で起訴される。

法廷での証言や証拠で家族のこれまでが次第に明らかになる。作家として成功した妻と、教師の仕事をしながら作家の夢を捨てきれない夫。サミュエルは息子ダニエルが事故で視覚障害になったことの責任を感じ続け、山荘を宿泊施設にリフォームする目論見もうまくいかず、精神的に不安定になることもあった。

“解剖学”というと学問の語感が強くなるが、フランス語の原題Anatomie d'une chute、英題はAnatomy of a Fallはいずれもニュアンス的には「落下(転落)の解剖」が妥当だろう。第一義はもちろんサミュエルを死に至らしめた転落の真相を裁判で解き明かすことにある。だがそれだけでなく、愛と信頼で築かれていたはずの夫婦の関係が、社会的成功の差、家事育児の負担、息子が抱える障害などさまざまな要因によって崩れ落ちていったさまが裁判を通じてあらわになることも示唆するダブルミーニングになっている。

1978年に東ドイツで生まれたザンドラ・ヒュラーは、国際的な知名度を高めたドイツ・オーストリア合作「ありがとう、トニ・エルドマン」(2016)で、変人の父親に翻弄される真面目で少し不器用なキャリアウーマンを愛らしく体現。打って変わって本作では、複雑で陰のある主人公を繊細に演じ切った。昨年のカンヌ国際映画祭ではフランス製作の本作が最高賞パルムドール、さらにキャストの2番手にクレジットされた米英ポーランド合作「関心領域」(日本では5月24日公開予定)も第2席のグランプリを受賞するなど、国際派女優としての円熟期を迎えつつある。5部門にノミネートされた今年のアカデミー賞の結果も楽しみだ。

法廷物の形式であるがゆえ当然ながら裁定は下されるが、揺るぎない真実が明らかになってすっきり解決、という映画ではない。むしろ解釈の揺らぎや余白を観客側が想像で補うタイプの作品であり、いつまでも落ち続けているような、落ち着かない“もやもや”を堪能していただければと思う。

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高森 郁哉

3.5ツイストが加えられた法廷ミステリー映画。

2024年11月30日
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悲しい

難しい

「想像を事実と考えるのは危険です」という弁護士の台詞が、

一つのこの映画のアンサーとなっている。

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ガッキー

4.0女性の視点

2024年11月24日
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岬

2.0ダニエルが最後証言しなかったら

2024年11月13日
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HY

3.0その面白がり方ね。

2024年11月10日
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鑑賞後プロの評を読んで支持に転じた。
カタルシス無き推理劇裁判劇なる新味か。
その面白がり方ね。
上出来な予告編の本格推理劇調が明確な辻褄を変に期待させた。
猛省を。
事件は当事者の物、謎解きも裁判も報道も映画観客もその外側、か。
確かに。
劇場で観ねばだった。
また観る。

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きねまっきい

0.5私の趣味ではなかった

2024年11月10日
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鑑賞方法:VOD

単純

タイトルからもう少し科学的な捜査やどんでん返しがあるのかと思いきやダラダラと法廷でのやり取りを見せられただけで何も面白くなかったです。
売り文句のせいでミステリーを期待してしまったのも悪かったですね。

そりゃ夫婦は色々あるのが当たり前なので特にこの程度の人間ドラマとやらに何の驚きも感動もなかったです。
知的ぶる必要もなく「ほーん」で終わります。
これ素晴らしいですか?本当に?

2時間半無駄にした気分です。

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グレーてる

3.5人間性をえぐる後味の悪さ。ピュアな息子が唯一の救い

2024年11月3日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

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デッキブラシと飛行船

3.5期待しすぎたかな

2024年11月3日
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もっと唸るような展開期待したが

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Giovanni

3.0疑心暗鬼になる展開とハッキリ明かされない結末

2024年11月2日
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鑑賞方法:その他
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納豆ごはん

4.5母親(ザンドラ・ヒュラー)に対する不信感

2024年10月31日
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最後のシーンの息子ダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)の法廷弁論で母親(ザンドラ・ヒュラー)に対する不信感が募ってしまった。なぜかというと、勝利を勝ち取った母親は法廷を出て車に乗った。息子に電話をしたが息子は電話にも出ず、それに増して、晩御飯を食べてからの家に戻って息子に会うという形になった。父親は自殺であることを自分の父親との会話の経験から法廷で証言した息子にとって一番会いたかった人は誰だろう。それに夜中目が覚めて母親にあった時、なぜ息子は母親の頭を撫ぜて、安心させるような動きをしたのだろう。この二つのシーンにより蟠りが残り未消化のまま終わった。

機内で2回に分けてみた法廷・スリラー映画映画で、もう一度じっくりみたら答えが明確に出るかもしれない。

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Socialjustice

3.5そういう終わり

2024年10月31日
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mu

4.0記憶は曖昧 / 真実は藪の中

2024年10月29日
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じっくり堪能する映画

家族間の嘘
夫婦間の嘘
人間の嘘と真実

ある人の死亡から
それが明かされてゆく
ただそれは真実なのか
それとも…

先を急がずじっくりと
それぞれの心を読み
考える物語。

再現ドキュメンタリーとして
俯瞰の立場で鑑賞すると面白い。

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星組

4.0ワンコのリードと見た目のミスリード

2024年10月29日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

見応えありました、配信だとなかなか一気見しないのですが、集中して観れました。
ワンコおそるべしw
「犬は無事です」と事前に聞いてても心配になった、すんばらしい演技力。
内容はというと、まさしく犬も食わないやつ…
オカーサンが厳つくて、落ちちゃうオトーサンと弁護士がなんか線細い見た目なのを、何となくずっと引っかかりながら観てました。
お父さん体格こそいいけど、ムダに美男で弱っちい感じで(笑)

「動物に似てない奴は信用できない」?面白いセリフだなーと思って、それで美男弁護士がサンドラを
「バセットハウンドに似てる」と言うのが…確かに似てて、ロイヤーは褒めてるつもりみたいだけど、バセットはけして美犬では…(^^;。ロイヤー本人はグレイハウンドぽい)

法廷会話劇であり、耳からの情報が重要だけど、見た目に何となくミスリード?される感じが興味深かったです。
生き物としてのポテンシャルが、あきらかに父より母のほうが上回ってること、見た目でも伝わってくるような。

最初のほうでダニエルの「代母」が出てきて、代理出産だったらしいことはその後なんにも触れられないですが、サンドラが何事も「実行して獲得する」人間だということを示すファクターなのかなと。
そう思うとやっぱり結末なんか…なんかなんだよなぁ。

2、3年してから観るとまた違う感想が出てきそうです。重層的で面白い作品でした。

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えふいーねこ

3.5ダニエルの笑顔

2024年10月27日
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真実は?
死んだ者は帰って来ないわけだし、
ダニエルが孤児にならず、
笑顔で過ごせるなら、
それでいいのかもしれない。

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上みちる

2.0単純に面白くない。

2024年10月24日
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鑑賞方法:VOD

犬を傷つけていないか気になって
もう作品自体どうでもよくなってしまった。

まぁ知的ではあるんだろうけど、単純に面白くない。

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mar