「タイトルなし(ネタバレ)」Four Daughters フォー・ドーターズ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
舞台はチュニジア。
長女と次女がISに参加してしまった母親オルファ・ハムルーニ(本人)。
彼女が生い立ちなどを喋っている。
彼女と残された三女、四女の証言・記憶を元に再現ドラマを作る、という。
ただし、長女と次女は俳優が演じ、三女、四女は本人が演じる。
オルファ役は、本人と俳優が交互に演じる。
これは、オルファへのストレスを軽減するため・・・
といった映画。新手法のドキュメンタリーです。
前半はさながらガールズムービー。
まだ若い4人の娘がガチャガチャワサワサしている。
しかし、2010年のジャスミン革命の前後にISが台頭してくる。
長女と次女は徐々にイスラム原理主義に傾倒していく。
調べたところによると、ジャスミン革命以前のチュニジアは進歩的で、ヒジャブやチャドルは禁止されていた。
ヒジャブは頭髪を覆うスカーフ、チャドルは目出しの頭巾・全身を覆う。
が、経済政策により、失業率が高騰。
特に若者の膣業率は30%にも達した。
そのため、イスラム原理主義が台頭し、当初はファッションとしてヒジャブが流行するが、そのうちにチャドルとなり、宗教色が濃くなっていった。
背景を知ると、なんだか現在の日本に近い感じがしないでもない。
さて、そういう背景を知った後に、映画へ戻ると、娘たちの行動がかなり幼く感じた。
それもそのはずで、上のふたりがISに参加したのは、長女が16歳、二女が15歳のとき。
末娘は8歳だった。
前半描かれるガールズムービー的な時期は、もっと幼い。
映画製作までに10年近くの歳月を経、三女も四女も成長した。
それにあわせての長女・次女役だったわけだ。
それにしても、本人たちは相当なストレスがあっただろう。
最後に、長女が刑務所で産んだ娘の姿が映し出される。
8歳になるその女の子、生まれてからこれまで刑務所から出たことがない。
その目は、死んだように見えました。