枯れ葉のレビュー・感想・評価
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シネリーブル梅田でアキ・カウリスマキ「枯れ葉」を観る。なぜこのタイ...
シネリーブル梅田でアキ・カウリスマキ「枯れ葉」を観る。なぜこのタイミングで恋愛物なんだろうと思ったが、ロシアのウクライナ侵攻が始まった頃のヘルシンキを舞台して、職を失った労働者階級2人のラブストーリーを描き切ることで、市井の人たちの人生へのささやかな讃歌と理不尽な侵略への怒りが同居する素晴らしい映画になっていました。
主人公2人が初デートで観るのが、まさかのジャームッシュ「デッド・ドント・ダイ」。駄作扱いされてるこの作品を楽しむ2人に、「ねっ、ねっ、この映画良かったよね!」と心の中で叫んだな。
もうひとつまさかだったのが、ラジオから流れるロシアのウクライナへの攻撃へのニュースに苛立ったアンサが局を変えた時に流れたのが「竹田の子守唄」。当然、カウリスマキは歌の内容を知っていてチョイスしたんだろうな。
マカルウスキの不思議で暖かい映画
ウクライナ戦争の様子が大きな古臭いラジオでかかっていたり、スマホを使用していたりとの不思議な世界観。でも、出演者はいわゆる弱者で、彼らの恋愛模様がほのぼのと伝わった。
味わい深い素敵な作品
採点4.3
引退宣言を撤回したアキ・カウリスマキの新作、それは静かなラブストーリーでした。
労働者階級の孤独な男女の物語なのですが、舞台が現代のようで現代のようでない不思議な感じ。
やたらでかいトランジスタラジオ。ケータイはあるものの、ダイアルの固定電話も出てきたりと何か不思議なんですね。
それとデヴィッドリーンにゴダール等の数々の映画ポスター、それに犬の名前などからも映画へのオマージュが強く現れてました。これは映画界に戻ってきた喜びでもあるのでしょうか。
それは友人でもあるジャームッシュにも。
作中で観た映画も「デッドドントダイ 」でしたものね。
相変わらずの独特の色使い、小津の様な静けさとカット、最後もチャップリンのようでした。
それと繰り返し流れる軍事侵攻のニュースも、フィンランドに住む者としての警鐘なのでしょう。
もちろん作品にはとぼけたユーモアや、センスの良い音楽も溢れていて実にカウリスマキらしいです。
特にカラオケでのガールズデュオは、その出番も唐突で印象に残りました。
とてもシャイで孤独な二人はカラオケで出会い、ゆっくりと距離が近づいては離れ、そしてもう一度巡り会う。
ホラッパとアンサそれとチャップリン。皆孤独に生きてきたけど、これからは皆で一緒に歩んでいくのでしょう。
それと彼女のウィンクが実に素敵なんですよ。
とても味わい深い素敵な作品でした。
底辺かもしれないけど、底辺じゃない
主人公の二人は崖っぷちで、いつもウクライナのニュースが流れてきて暗くなりがちだが、運命の出会いというものが二人を後押ししている。男はアル中から卒業できたし、女は自信ありげに男を待っていたし。それもこれも全て、運命です!久し振りに恋愛佳作を見た。
恋、あるいは渇望
労働者階級の厳しい生活の中で生まれた泡沫の恋。
父や兄をアル中で失ったアンサ。地獄を知る彼女はひとりの生活に安堵し、過酷な労働も苦にならんのだろうが、ささやかな潤いを求めるのもまた真なり。
アルコールにより失職を繰り返すホラッパ。完璧なアル中。職もないのに婚姻届を出す夢をみる最低なクソ野郎だった。監督の自虐を投影したのだろうがホラッパに容赦はなかった。
観る自分はアンサに恋をした。
感情をぐるんぐるん振り回された。
一緒に潤いたかった。
驚くべきは恋の瞬発力。
「直ぐに来て」というアンサの甘美な言葉に萌えた。「渇望」という言葉が相応しいか。アル中が簡単に治らないことを一番わかっているのは彼女だもんなぁ。
そう、たとえ束の間でも幸せにまぐわえるならそれで良し。恋の魔法がとけたらとっとと別れれば良い。
ということで自分的にはよく知る世界なので余計なことまで考えてしまった。ロシアのウクライナ侵攻批判、そして熱い映画愛のストレートな表現にまったく嫌味がないのは流石だ。
イチイチ額に入れて飾りたくなるような絵面!
自分はカリウスマキの作品全く見た事無くて初見だったのでいつもどうりの監督のクセってのを知らなかったから逆に斬新でした!
あえて棒読みで感情無く会話をしてる事によって考察では無いけどこちらが今どんな感情なのかって考えながら見ないといけなくなるという手法が面白く感じました!
あと効果音が無いので曲や歌が映えるんすね〜
ある意味パーフェクトデイズに近い部分のある作品だなあとか思いました(特に効果音が無くてセリフ少なめで
音楽のセンスが無茶苦茶良いのが共通してますね)
劇場が地方の古びたミニシアターでの鑑賞で自分も大概ジジイなんですが他の客が根こそぎ60オーバーで自分が最年少くらいの客層だったのでビックリしました笑
最後にパンフレットがめちゃくちゃ丁重でオシャレな作りで買うつもりが無かったのに実物みたらついつい衝動的にジャケ買いしてしまいました!!!
しかし今の時代の作品て感じが一切無いのが良いですね。
カウリスマキ節
随所にカウリスマキ節があり、クスッと笑えるところもありで良かった。
しかし、気持ち的にノリが悪かったのか、イマイチ感動は無かった。
過去に観た『名前のない男』の方が、ずっと心に刺さったな。
レニングラード・カウボーイズ
もっと早く観たかったんだけど、いつも混んでて見送り見送り、やっと観れた(笑)
この監督の作品を観るのは初めてなんだけど、よく知らない巨匠という認識で、バイアスかかった状態で観ました。
最初に思ったのは、色。
画家なのか?と思うぐらい、色に対してセンスいい、すごく色が印象に残ります。
次に、悲愴感。
悲愴感が全面に出てて、悲観的に世の中を感じてるんだな…と、別に悪く言ってるわけじゃないです。
あと、音楽。
“生来の悲しみに幻滅をまとって”
とか、流れる曲の歌詞にも大きな意味があり、歌詞でも伝えてきますね。
スコアは、75~80点ぐらい、厳しめ3.5。
良かったです。
もっと、この監督の作品を観たくなった。
まだ観られてない方は、オススメです。
PS.観たあと調べてみたら…
むかし話題だったレニングラード・カウボーイズ、その映画を撮った監督だと知りビックリ(笑)
劇中に出てくる可愛いワンちゃんは、監督の愛犬らしいですワン(笑)
カウリスマキ・イズ・バック!
難民3部作(2部作?)をもって引退宣言していたカウリスマキが、お得意の小市民映画を携えて帰ってきた!
ミニマムなセリフに無表情、屋内の色使い、ロックと歌謡曲、そして過去の映画の引用(ジャームッシュ、ゴダール、ブレッソンに、数々の映画ポスター)と、まさしくカウリスマキ節健在で、おもわずニンマリしてしまう。
何より、昨今の風潮に反して、90分弱で人生を描ききる手際が見事。これからも変わらす作品を届けてほしいと切に願うところ。
今作では、旧式ラジオから流れるウクライナ侵攻のニュースも。ロシアと国境を接するフィンランドに住む者として、取り上げないわけにはいかないということか。
いつものように出演者は少ないが、みな好演。なかでも、年上の友人役がいい味を出している。ヒロインの相手役は、ちょっとライアン・ゴズリングに似てて、要注目。
それにしても驚いたのは、ミニシアターとはいえ、観客が溢れんばかりだったこと。しかも平日昼間の回だったこともあり、ほとんどがシニア層。皆さん、何に惹かれてこの作品を観に来たのか、大いに気になった。
知らなかった監督、アキ・カウリスマキ。この監督作を観るという楽しみ...
知らなかった監督、アキ・カウリスマキ。この監督作を観るという楽しみが増えた。
ほとんどのシーンが一発撮りらしく、女優アルマ・ポウスティ(『TOVE / トーベ』にも主演)へのインタビューでは「撮影方法での苦労話は監督がリハーサルをさせてくれなかった。俳優同士でも、ひとりでも。」と困った様に語っていた。
劇中で演奏をしているMAUSTETYTÖT(マウステテュトット)アンナ・カルヤライネン(ギター)とカイサ・カルヤライネン(キーボード)姉妹(バンド名はフィンランド語で「スパイス・ガールズ」の意味)。
♪「SYNTYNYT SURUUN JA PUETTU PETTYMYKSIN(悲しみに生まれ、失望を身にまとう)」
人は誰かといたいのだと思う
とても評判が良かったので観賞。
独身の中年男女のプラトニックなラブストーリー。
一人で生きることにも慣れ、大きな不自由はない。だけど心のどこかは寂しくて、誰かといたい。でも失敗するのも怖いしプライドもあるし。
そんな二人の距離ややり取りが、現代とは思えないすれ違いやハプニングが起きつつも、淡々と静かに描かれていました。
個人的にはあまりハマれなかったのが正直なところ。でも二人への共感もあり。
もう少し味わってみるとまた感想も変わりそうな気もする、そんな作品でした。
カウリスマキの社会派しみじみ映画
1 一組の男女の姿を通して「今」を描く
2 主人公は、冴えない男と女。二人とも若くはなく、女は仕事が不安定で金欠。男はアル中。生活に潤いのない、生きずらさ。そんな二人が出会う。男が女の連絡先のメモを無くしたり、過度な飲酒から失職したり、事故に遭ったりと様々な障害が立ちはだかる。そして、二人の行方は・・・。
3 時おり、女性の家のラジオからロシアの侵略のニュースが流れる。そして、生きずらさを抱える主人公の男女。この映画は、二人の行状を通して、現代を生きることは戦争や貧困、ストレスなど多くの社会問題と隣り合わせであることを示している。そして、その中で救いとなるのは人と人との絆や思いやりであり、そのことが笑顔につながると説いている。
4 映画の語り口はいつものカウリスマキの型。話の筋は、boy meet girlをベースにしたすれ違いものだけど人物造形がちょっと変わっている。初デートでゾンビ映画に行き、おおいに笑う人たち。脇役にもカラオケ好きで美声と自賛したけどそれほどでもないおじさんがいたりする。
good times bad times
この監督には一貫したテーマがあるのかな、と思う。
どの人の日常にも紆余曲折があって、それぞれにドラマがある。
良いこともあれば悪いこともあるし、自分でなんとかできることも、どうしようもないこともある。
当たり前だけど、それを乗り越えていく人もいれば、乗り越えられない人もいる。
このふたりはどうなんだろう?
男はみんな同じ鋳型。ブタに乾杯🍻
やっと公開された〜なのに1日一回って…そら満席やわな。
なんやろ、このはじめてなのにどこか懐かしい感じ。地味やのに野暮ったくない、ほぼ無表情やから最後のアレだけで全部伝わってくる。小物のビビットな色遣い、後を引く画づくり、そして溢れる映画愛。まさかのジャームシュ!しかもデッド・ドント・ダイ!確か勝てない(^^;;
そして箇所箇所で入ってくる現状への怒り!
こら〜浸るしかないわ。恐れ入りました。
ぜひ次もお願いいたします!
しかし今日観た三本とも英語愛に溢れてたな〜
12 I-4
ああシャンソン 恋のうた~
枯れ葉
神戸市の元町映画館で鑑賞 2024年1月17日(水)
パンフレット入手
フィンランドの首都ヘルシンキ。古いアパートに一人で暮らすアンサ。街中のスーパーマーケットでゼロ時間契約で働いている。友人は少ない。スーパーマーケットから持ち帰った賞味期限切れの総菜で夕食を済ませるつましい生活。
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ホラッパはブラスト工として金属工場で働いている。人付き合いが苦手であり、生活の中心は仕事、漫画、酒であった。いつしか勤務中にも隠れて飲酒するようになった。
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ある金曜日の夜、カラオケバーへ行ったホラッパは、アンサと出会う。一目で運命の出会いと感じたが、シャイなふたりは視線を交わすのが精一杯。
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警備員の密告で廃棄食品の持ち帰りを咎められたアンサは事前通告なく解雇された。職業安定所で見つけたのは”パブ・カルフォルニア”の皿洗い。アンサの初の給料日にオーナーが麻薬の密売で逮捕されたところ、ホラッパがビールを飲みに来たのだ。
リッツという映画館へ「デッド ドント ダイ」(ゾンビの映画)を見に行くことに。
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帰り際に、また会いたい言うホラッパに、アンサは電話番号を書いたメモをわたした。アンサはホラッパの額にキスして立ち去るが、メモを失ってしまう。
さらに勤務中の飲酒がばれてホラッパは解雇となる。
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すれ違いの末にようやく映画館の前で再開したふたり。アンサはホラッパを自宅でのディナーに招く。心地よい食卓だが、「アル中はごめんよ」と戒める。弱みをつかれたホラッパは「指図されるのはゴメンだ」と言い出て行ってしまう。
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ある日アンサは職場に迷込んだ犬を引き取ることに。「チャップリン」と名付ける。アンサの孤独を和らげることに。
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酒をやめたホラッパはアンサのもとに電話をかけると「すぐ来て」と、だが、交通事故で意識不明となった。
アンサは寄り添ってやがて眼を覚ます。
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退院の日、秋の枯れ葉舞う中を、アンサ、ホラッパ、犬のチャップリンが前へあるいて行く・・・
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フィンランド生まれのアキ・カウリスマキ監督作品
音楽をふんだんに使用し、作品のシーンに合わせた選択で 歌詞が流れるという特徴がございます。
パンフレットには使用された音楽がすべてかかれています。
最後の楽曲が「枯れ葉」
フランスのシャンソンの曲を、フィンランド語で歌っているものです。
アンサ、ホラッパ、チャップリン、これからもどうか、お幸せに 日本の映画館から、そう伝えたいと感じた。
「ああシャンソン 恋のうた~」
木洩れ日の次は枯れ葉
満席で入れず観られなかったシネマカリテで今回は事前に席を予約で確保して観る。
ここ何年か北欧の映画に注目していて、作品に触れるたびに書いてきたが、本作もフィンランド映画だ。
「PERFECT DAYS」同様に小津の影響が感じられる映画で市民の日常を淡々と描く。
フィンランドのカラオケバーは、司会のおばさんがいて皆の前で曲紹介されて唄を歌うらしい。そこで出逢った二人の物語。初めてのデートで行った映画(名画座?)が「デッド・ドント・ダイ」。この映画館が旧作のポスターが色々貼ってあって前を通る度に作品が変わっていて仲々面白い。
この後、二人は再会を約束するが、彼女は名前も住所も教えず電話番号だけを教える。彼はそのメモを失くしてしまい二人は再会出来ない。そして、やっと再会したものの、…。
監督は小津とチャップリンが好きらしいが、ラストはチャップリン作品的だ。出演者が皆んな無表情だが、それだけにラストの彼女の微笑が際立つ。
木洩れ日の後は枯れ葉だった。
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