枯れ葉のレビュー・感想・評価
全184件中、41~60件目を表示
うーん・・・
ブルーカラーの男女の出会いを綴る小品。
本来なら個人的には好みのタイプの筈の映画なのですが、残念ながら、目新しさや特筆すべき何かを感じ取ることは出来ませんでした。
昭和30~40年代の日本映画にこういうのがちょいちょいありましたね。
[敢えて]なのか[周回遅れ]なのか・・・よくわかりませんが、いまどき足元に落とした煙草の吸殻でアレを表現する演出やるんですね。
うーん・・・
あと、随所に作為的な展開が目立ちます。特に終盤の展開には興ざめしてしまいました。
あー、そういう映画だったのね。
高い評価を受けている本作ですが、自分の感性の拙さ故か、私の眼には極めて凡庸な一作としか映りませんでした。
歳をとるっていうのも悪くないかも
監督のアキカウリスマキのことは知らなかったが、どこかで知っているような気がして記憶を振り絞ってみると、たしか西加奈子の小説「夜が明ける」に出てきた印象的な架空の外国人のモデルになった人だったと思い出し、もうそれだけで十分な見る理由になると思い鑑賞した。そして作品の初めて見るテンポ、空気感にのめり込ませた。
こんなにつらい生なんて苦しい。と思いながら男女二人と、その周辺の小さな世界を見守るような気持ちで寄り添う。私もこの年になり良いことばかりではない、そう落ちて枯れた葉っぱのような現実もそこにあり、若い頃、調子の良い頃には気付けなかった、深い底に近いところにある小さな幸せをこの二人と共に感じることが出来ている今を喜ばしいと思え、結果私も二人と共に一緒に幸せになれた
淡々と無表情で展開していく登場人物達の描き方もとってもユーモラスだし、なにより物語が進むにつれ、少しづつ表情に変化が出てくる女性がより印象に残っている
そういえば二人の名前はなんていうのだったろうか、、詮索しない。相手のことを知らない居心地の良さのようなものを私はこの映画に教えてもらったのかもしれない
ひどい戦争だ
オープニングの画から「赤」全開だね。
藍、黄、緑と組み合わせてきて綺麗。
構図もすごいんだよね。
いい構図を保ったまま、画を動かすのって難しいと思うんだけど、難なくやっちゃうの。
淡々と台詞のやり取りをしながら、刺さる台詞が入ってくるね。
お洒落というか、ウィットに富んだというか、聞いてて面白いの。
音楽もいいよね。
それらを楽しみながら観ていって、ストーリーはありふれた話なの。
そんなに「すげえ」っていう展開もない。
最初のデートでゾンビ映画選んじゃダメだろとは思ったけど。ジム・ジャームッシュ作品ならいいのかな。
逆に、ベタな展開でいくなら、こう作れっていう勉強にはなるね。
淡々とした流れの中で一言だけ感情がこもる台詞があって、それが「ひどい戦争だ」だね。
この一言を言うためだけに、アキ・カウリスマキはこの作品を作ったんだと思ったよ。
「一言いいたいから映画つくるか」と思って、良い作品を作り上げてしまう技量の高さに唸ったね。
枯れてますが、春の気配がありましたね
登場人物、街並み、全てが枯れています。
素朴というか、無機質というか、家の内装、店の食器類、出てくる全てが味気ない。
これは北欧が全体的にそうなのか、わざと狙ってやっているのだろうか?
登場人物もリアクションが薄い。会話もシンプルなんですが、ときどき自虐や皮肉が入ったジョークを言う。久しぶりに電話をして、
「誰?」
「あんたが見捨てた酔っ払いだよ。」
ここでクスリともせずに、そのまま会話が続くのが見てる方は笑えるのですが、話をしている当人達は相手のリアクションが全くなくても、違和感なく会話を続けていて、独特のノリというか、日本でいう粋や野暮のような空気感があるように思いました。
非言語コミュニケーションが多くて感情が読み取りにくいけど、大事な時は行動を起こしてちゃんと気持ちが伝わって、なかなかいい映画でした。
たまらん
なかなか良い映画ですね。
映画はやっぱり映像作品。台詞が無くても、観ている人に登場人物の心情を意図したワンシーンから想像させるなど「古き良き映画」を感じさせる作品だと思いました。
劇中では音楽も効果的に使われており、ちょっと郷愁を感じさせるフィンランド音楽は魅力的です。
犬が登場しますが日本犬ぽい犬種で、なんとなく親近感がわきます。尻尾を振ったり、ヒロインによく懐いているのが観られて微笑ましかったです。
中年男女の恋愛にしみじみ
極限まで削ぎ落された語り口で描かれる中年男女の恋愛談にしみじみとした味わいが感じられた。
製作、監督、脚本はフィンランドの名匠アキ・カウリスマキ。いかにも氏らしいオフビートなトーンが徹底されており、思わずクスリとさせるようなユーモアが要所に散りばめられていて最後まで面白く観ることが出来た。
ただ、終盤の展開はいささか”作りすぎ”という気がしないでもない。いわゆる普通のエンタメ作品ならいざ知らず、個人的にはカウリスマキの映画にここまでのドラマチックさを求めていないというのもあり、少し意外に思えた。過去作と比較しても、今回はかなり明快な作りに傾倒しているような気がした。
もう一つ、本作には重要なポイントがあるように思った。それは、アンサの部屋のラジオから流れてくるロシアとウクライナの戦争のニュースである。直接ドラマに関係してくるわけではないが、度々このニュースが流れることから、カウリスマキはこの戦争に対して思う所があったのだろう。彼はこれまで戦争という要素を自作の中に余り取り入れてこなかったので、今回はそこも意外であった。
それにしても、無表情な男と女、タバコ、パブ、音楽、映画、犬等。本作は”カウリスマキ印”と呼べるような物が存分に詰め込まれた作品となっている。前作「希望のかなた」を最後に監督引退宣言をしたが、それを撤回してまで撮り上げた本作は、まさしくカウリスマキにしか作れない独特な世界観が広がっている。その演出手腕はもはや伝統芸の域に達していると言っても過言ではないだろう。
特に、アンサとホラッパがカラオケバーで出会うシーンには唸らされてしまう。言葉を交わさず互いに投げかける眼差しだけで二人の距離感が見事に表現されている。
他にも、アンサの電話番号が書かれたメモをホラッパが落としてしまう場面や、それによって連絡が取れなくなってしまった二人が映画館の前でニアミスを繰り返す場面等。いかにも映画的醍醐味に溢れたシーンとなっている。メモの紙やタバコの吸い殻といった小道具の使い方も大変上手い。
劇中に登場する映画や音楽も面白い。
ジム・ジャームッシュ監督のゾンビ映画「デッド・ドント・ダイ」を引用して茶化すあたりは苦笑してしまった。他に、ゴダールの「気狂いピエロ」、デヴィッド・リーンの「逢びき」、ルキノ・ヴィスコンティ&アラン・ドロンの「若者のすべて」のポスターが画面上では確認できた。
音楽もカウリスマキ映画の大きな要素と言って良いだろう。セリフではなく楽曲の歌詞でアンサとホラッパの心情や置かれている状況が饒舌に表現されており、この辺りの選曲センスは流石である。
尚、カウリスマキは小津安二郎を敬愛していることを公言しており親日家でもある。自作の中に度々日本の曲を起用しているが、今回も前作で流れていた「竹田の子守唄」がラジオでかかっていた。よほどこの曲が好きなのかもしれない。
なぜまた映画を撮ったのか?
シネリーブル梅田でアキ・カウリスマキ「枯れ葉」を観る。なぜこのタイ...
シネリーブル梅田でアキ・カウリスマキ「枯れ葉」を観る。なぜこのタイミングで恋愛物なんだろうと思ったが、ロシアのウクライナ侵攻が始まった頃のヘルシンキを舞台して、職を失った労働者階級2人のラブストーリーを描き切ることで、市井の人たちの人生へのささやかな讃歌と理不尽な侵略への怒りが同居する素晴らしい映画になっていました。
主人公2人が初デートで観るのが、まさかのジャームッシュ「デッド・ドント・ダイ」。駄作扱いされてるこの作品を楽しむ2人に、「ねっ、ねっ、この映画良かったよね!」と心の中で叫んだな。
もうひとつまさかだったのが、ラジオから流れるロシアのウクライナへの攻撃へのニュースに苛立ったアンサが局を変えた時に流れたのが「竹田の子守唄」。当然、カウリスマキは歌の内容を知っていてチョイスしたんだろうな。
味わい深い素敵な作品
採点4.3
引退宣言を撤回したアキ・カウリスマキの新作、それは静かなラブストーリーでした。
労働者階級の孤独な男女の物語なのですが、舞台が現代のようで現代のようでない不思議な感じ。
やたらでかいトランジスタラジオ。ケータイはあるものの、ダイアルの固定電話も出てきたりと何か不思議なんですね。
それとデヴィッドリーンにゴダール等の数々の映画ポスター、それに犬の名前などからも映画へのオマージュが強く現れてました。これは映画界に戻ってきた喜びでもあるのでしょうか。
それは友人でもあるジャームッシュにも。
作中で観た映画も「デッドドントダイ 」でしたものね。
相変わらずの独特の色使い、小津の様な静けさとカット、最後もチャップリンのようでした。
それと繰り返し流れる軍事侵攻のニュースも、フィンランドに住む者としての警鐘なのでしょう。
もちろん作品にはとぼけたユーモアや、センスの良い音楽も溢れていて実にカウリスマキらしいです。
特にカラオケでのガールズデュオは、その出番も唐突で印象に残りました。
とてもシャイで孤独な二人はカラオケで出会い、ゆっくりと距離が近づいては離れ、そしてもう一度巡り会う。
ホラッパとアンサそれとチャップリン。皆孤独に生きてきたけど、これからは皆で一緒に歩んでいくのでしょう。
それと彼女のウィンクが実に素敵なんですよ。
とても味わい深い素敵な作品でした。
底辺かもしれないけど、底辺じゃない
恋、あるいは渇望
労働者階級の厳しい生活の中で生まれた泡沫の恋。
父や兄をアル中で失ったアンサ。地獄を知る彼女はひとりの生活に安堵し、過酷な労働も苦にならんのだろうが、ささやかな潤いを求めるのもまた真なり。
アルコールにより失職を繰り返すホラッパ。完璧なアル中。職もないのに婚姻届を出す夢をみる最低なクソ野郎だった。監督の自虐を投影したのだろうがホラッパに容赦はなかった。
観る自分はアンサに恋をした。
感情をぐるんぐるん振り回された。
一緒に潤いたかった。
驚くべきは恋の瞬発力。
「直ぐに来て」というアンサの甘美な言葉に萌えた。「渇望」という言葉が相応しいか。アル中が簡単に治らないことを一番わかっているのは彼女だもんなぁ。
そう、たとえ束の間でも幸せにまぐわえるならそれで良し。恋の魔法がとけたらとっとと別れれば良い。
ということで自分的にはよく知る世界なので余計なことまで考えてしまった。ロシアのウクライナ侵攻批判、そして熱い映画愛のストレートな表現にまったく嫌味がないのは流石だ。
全184件中、41~60件目を表示