「枯れ尾花もうひと花の夢を見る」枯れ葉 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
枯れ尾花もうひと花の夢を見る
老境に差し掛かる頃、
人の中からは最後の命のうずきが芽を吹くものだ。
命の深奥から、何かが外界に出ようとして手を伸ばす感覚がある。
カウリスマキと僕は同い年。
もう死んでいるのかと思えば、
冬枯れの細い枝にも、よく見れば小さな芽の膨らみがあるではないか。
カラオケで知り合ったアンサとホラッパ。
ダメ元でも探してみたら再会できてしまった女と男。
あちら岸に渡るべきか、引き返すのが大人気(おとなげ)ある決断か。
でもそのまま流されてみたい、ちょうどその年頃の二人が愛しい。
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YouTubeに、一晩中トロトロと燃える焚き火の動画があった。
Wi-Fiの環境でないと、そのまま寝落ちするとギガが大変なことになるらしい。
枯れ木が二本
焚き木が二本
木は、枯れてるとね、
これが じつは 良ーく燃えるんだわ。
若木は、裂かれると痛くて辛いよね。
でも若木は意外にも煙ばっかで燃えんのさ。
木が枯れているなら、
こんなに穏やかに 暖かく 静かに 永く燃えるんだよ。
でも、熾き火が小さくはぜて、パチパチ って鳴るときさぁ、
心も、そして体のほうも、ちょっとだけ疼くんだろう。
でも、気づかない振りをしているしかないんだよと、火を見つめながら、聞こえない声で自分に呟いたりする。
キャンプファイヤーの思い出とは
そういうものさ。
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普通のおばさんに戻りたいと宣言した都はるみさんが復帰したって構わない。
解散したはずのロックバンドがまたぞろ再結成したって構わない。
大抵は、復帰は失敗するけれど。
誰も彼らの逆走と血迷いを止めなかったのかと可笑しくもなるけれど。
命が疼く何度目かの季節が
思春期にも、そして「枯葉期」にも、僕たちには巡ってくるんだ。
もう一花咲かせたいのだよ。
そして、
「どんな時代に自分たちは生きていたのか」、男と女は思い出す。
監督は残り火の明かりに照らして、世界と人間を撮る。
きりんとカウリスマキは同い年なんだよねぇ。
グッジョブじゃないか。
「雨に唄えば」に共感・コメントどうもです。
私はキリンさんより年上ですが、それだけに娘と一緒に映画が観られるのはハッピーです。
枯れ木は良く燃えるのですが、私の枯れてきた小指は折れてしまいました。トホホ。
今までは無意識に先々を考えながら行動してたけど、「はて」と気づいてしまった。
先っていつ?
今しか残ってないじゃん、でしたわ。
だったら今好きなひとと添う、楽しいことをする、しかないなと悟りました。
ほんとは仕事行ってる場合じゃないんですけどね
共感ありがとうございます。
造りたい!気持ちが出なくなるまでやれば良いと思いますね、ビクトルエリセ監督も。
ジャームッシュのゾンビ作を二人で観に行くのは良かったですが、ラストのチャップリンはベタですよね~。