「市井の人」枯れ葉 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
市井の人
アキ・カウリスマキ監督の映画は私の心のなかを温めてくれるだけでなく、彼の映画を数本見ているから彼のユーモア・コメディタッチが(例えば、犬を拾ったり、その名前をつけなかったり、二人の主人公の名前もすぐわからないように設定されている。あと、急に列車事故などの突発的なシーンの導入など)心に残る。数あるカラオケのシーンも、歌詞とストーリーが一致してるし、微笑みの少ないシーンもカウリスマキ監督の作品だと感じさせる。フィンランドという地域性もあるとは思うが、暗いイメージの中にいきる人々の中で、ほんのわずか微笑む二人の主人公。それが特に、印象的で、人生にもっと微笑みを与えてあげたいと思う。これからきっともっとあると思う。
カウリスマキ監督が富豪を描いた映画を見たことがない。社会の端っこでやっと生きている人々が主だ。アルコールに溺れていても、いきていると感じる人の姿に共感するし、そういう人たちを無視しがちになったり、存在すら忘れてしまったりする現実社会の中で、スーパーの守衛やボスには賞味期限の切れた食べ物を捨てるなら必要な人に分け与える心も持って欲しいと思う。守衛の規則の中でがんじがらめになる必要性にも疑問を感じる。私たち、皆が、一生懸命生きているんだ。こんな私たちも社会の一員だから忘れないでほしいというカウリスマキ監督の心いきを感じざるをえない。
アンサ(アルマ・ポウスティ)ホラッパ(ユッシ・バタネン)を通して、我々視聴者に共感を与える。アンサの自立している姿。そして、首になってもなっても立ち上がって行って、自分ができる仕事を見つけていく。そして、犬にも憐憫を与え、面倒を見る。それに、自分の家族の多くはアル中でなくし、その深い苦しみで母親も亡くなったことをホラッパに直接、話す。このシーンは自分を譲らない大切なシーンだと思う。
ホラッパもアンサへの愛のために酒を止める決心をする。アル中で仕事をクビになったり、事故を起こしたりしても、やめられなかったアルコール。それが、四苦八苦し、アルコールを諦めるシーンはとてもいい。
好きな映画だ。
一つ疑問:なぜ、ロシア・ウクライナの問題をニュースにして作品に導入したのか。この相次いで起きていることがラジオニュースに流れているが
歴史的順番は正しいのか疑問に思ってfact check をする必要があるように思えた。それに、2023年にNATOに加入できる前は国民に恐怖感がより募っていたと思うからニュースにして導入したのかもしれないし、より暗い不安定なイメージを増させるための技法かもしれない。しかし、飲み仲間やどこかで民がちょっとでもこの事件を話題にしないとコネクションが悪くなってしまっているように思う。こじつけのように感じる。