劇場公開日 2023年12月15日

「"会えない時間"が愛(相) 育てるのさ ♪」枯れ葉 YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0"会えない時間"が愛(相) 育てるのさ ♪

2023年12月31日
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鑑賞方法:映画館

映画の舞台となるフィンランドは、「ムーミンの国」「国民幸福度が世界1位」「国民ひとりGDPが世界1位」「貧富差が少ない」という良いイメージばかりだが、
社会からの恩恵を受けられない貧困労働者のふたりが 本作の主人公なのだが
2人が生活する社会環境にも、現代の富の象徴である"物資的裕福さ"は存在せず、
スマートフォンも普及しておらず、誰も持っていない。
パソコンも高価な為に、昔ながらのPCバンに行くしかない。
楽しみは、映画鑑賞と、40年前には日本にもあった KARAOKEバー店
これだけだと、40年以上前の日本と同じだが
TVも大した番組はないのだろう。
唯一、時代感がある 1局しかない「ラジオ」から毎回流れてくるのは、
国民が期待する音楽ではなく"ロシア・ウクライナ戦争"の暗いニュースばかり
ラジオから聞こえる内容で、この映画の舞台が2023年なのがやっと判る。
 こんな気晴らしがない社会では、労働者が腐るのも無理はなく、寒さが厳しい北欧州なので、自殺率が高い。
希望がない社会を映す映画に、子供は登場しなかった。
とうぜん 子どもの為のモノもない。

映画のラストに流れるのは、有名なシャンソン「枯葉」
雰囲気がある とても良い歌だ。
しかし、映画を観終わって、どうも この歌のイメージと映画から感じたものに差異があり、
帰宅後に、調べてみたが、「枯葉」の歌は、映画「夜の門(Les Portes de la Nuit)」の中で使われた曲であり
歌詞の内容は。。。。。ちょっと この映画とはかけ離れている。
フランス語が判らないフィンランド人監督は、主題曲の"表面的心地よさ"だけから、この曲を選び
この映画の題名にしたのかもしれないが、
この映画は、何かを"きちんと問題定義"されたわけでもなく、単に ふたりの貧困者が、日々の生活に追われて、自分に与えられた選択肢もなく
成るようになった 悲惨さを魅せているだけで、この映画から生み出されるものはない。

役者は、自然な演技をしており、映画の中では、日常から、さりげなく切り取ったようなシーンが続く。
撮影は ちょっと低めの固定カメラが中心で、動きはなく、欧州独特の撮影だった。
ストーリー的には、キスシーンもベットシーンもない 典型的な昔ながらの恋愛映画
古典的恋愛映画では「主役男性は、不器用でシャイ もしくは 不良」「お相手となる女性主役は、お嬢様」なのだが、
本作の主演男女とも ルールを守れない身勝手で ちょっと腐った 何も努力をしない貧困者
そんな、貧困者に対して、神様は甘くはなく、恋愛の手助けはしてくれない。
すべての者から,見放されて、取り残された 映画後の"ふたりの人生"は、ろくでもない事が予想され、映画が80分で終わった事に鑑賞者は救われた。
この映画の 続きがあり、映画に残りの20分間があったら、
2人の顛末は さぞかし悲しい展開に成っていたと思われます。

昔ながらの、男女のすれ違い映画なら「めぐり逢い(1957)」を観たくなりました。

YAS!
トミーさんのコメント
2024年4月11日

共感ありがとうございます。
女の方はもがき、努力してたと思います! 転職する度に3K化・・でもイヌも飼える。飲みながら仕事する男の方は仰る通り。

トミー
かばこさんのコメント
2024年2月5日

こんにちは
共感をありがとうございます。
先には、おっしゃるようにいいことはなさそうです。
ただし、「今」は幸せに見えます。刹那的な幸せしか期待できない人生かもしれません。

かばこ