劇場公開日 2024年5月24日

関心領域のレビュー・感想・評価

全355件中、281~300件目を表示

4.0アパシーがもたらす社会的危機を警告する映画

2024年5月26日
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鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

寝られる

感想

人道的アパシー(無関心)は誰にでも、いつでも簡単
に起こり得るのだと感じた。

我々日本人も全く他人事ではない。我々もいつ陥っ
てもおかしくない、ファシズムと共通する無関心の
心理を客観的視点から警告し、強く戒しめている映
画であると感じる。

ドイツ人は勤勉な国民性であると言われている。勤
勉家であるが故、ナチス時代の徹底したアーリア人
優生主義に基づく、選民思想教育を好意的に受け入
れた事により、人道差別心理が強く多数の国民に浸
透した。

人間一人一人が自分自身で、現状に対して常に検証
や問題意識を少しでも持ち、疑問や問題を提起、
発信出来て、かつ民主的に話し合い、解決策を導く
事の出来る社会を創っていく事が重要である。複雑
と思われがちな人種問題と多様性の問題は人類史レ
ベルに関わる大問題と捉えるべきだと感じた。

ヘスの奥さんの考え方と行動が超胸くそ悪かった。
壁一つ隔てた場所がアウシュビッツと思っただけで
頭痛がした。

やはりA24が制作に関わると一筋縄ではいかない、
強いインパクトを持った内容の映画が多いように感
じる。

脚本・演出◎
ドキュメントタッチで最後まで続くと思いきや最後
の階段の場面は現代とのシンクロもあり、ブラック
なユーモアを感じた。場面転換の色については意味
があるのだろう。自分はよくわからなかった。

効果音はリアルで、
劇中の何気ない生活の場面でも、音は散発的に聞こ
える銃と思われる発射音や、ザワザワとした雑踏音
、騒音が小さく流れており、夜、建物の2階から見
れる焼却施設と思われる建物から出ている炎と煙。
毎日定期的に壁の向こうに見える蒸気機関車のもの
と思われる煙、時代が経過してくると、昼間でも煙
が上がるのを目視出来た。川では焼却後のガスの毒
着きの灰が流されるなど、想像出来得る迫害の状況
はビシビシと感じる。◎

音楽も転調に次ぐ転調で不安定な気持ちを唆り気持
ち悪い印象に拍車をかけていた。◎

恥ずかしながら、正直に言うと映画の途中、あまり
にもヘスの家族の会話と行動が普通すぎの描写のた
め、自分の頭が無関心領域を作り出して寝落ちした
。それではいけないのだと!、途中から再度戒めモ
ードを徹底させて現代のアウシュビッツの展示室の
掃除の場面まではなんとか鑑賞した。

自分も口程にないアパシー野郎なのだと猛反省した


⭐️4

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Moi

3.5音響がオスカーとったけど、撮影も素晴らしいなと思って見惚れてたら撮...

2024年5月26日
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鑑賞方法:映画館

音響がオスカーとったけど、撮影も素晴らしいなと思って見惚れてたら撮影監督が『COLD WAR あの歌、2つの心』のウカシュ・ジャルということで納得。ホイテ・ヴァン・ホイテマの受賞はしょうがないとしても撮影賞ノミネートされてないのは如何なものかと思う。

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teraox

4.5戦争虐殺に無関心な俺ら

2024年5月26日
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鑑賞方法:映画館

アカデミー賞で録音賞、国際長編映画賞を獲得したジョナサン・グレイザー監督の「関心領域」は、独創的な見せ方で観客を引き込みながらこちらを指さし、ドスンと重いメッセージを突きつけてくる作品であった。

独創的な見せ方というのは、なにも画角や構図のみにならず、ストーリーについてもそうである。なにせこの映画はルドルフ・ヘス一家のホームドラマを淡々と流すのみという構成であり、いわゆる人間ドラマがないのである。もちろん印象的な場所や人間、展開が随所に散りばめられるため1時間半ずっと退屈という訳では無いのだが、ドラマがない以上「つまらない映画」と言われても仕方ないのである。
ではなぜドラマのない「関心領域」が評価されているのか。それは、本作はアカデミー録音賞を受賞しているだけあって、他ならず「音」の使い方が凄まじいからであろう。日本ではこの映画のあらすじを知ってから見に行く人が大半ではあると思うが、一応あらすじを書くと、ルドルフ・ヘスはアウシュヴィッツ収容所の横に住んでおり、ホームドラマが映し出される後ろで人間の断末魔や銃声が絶え間なく聞こえてくる、という映画である。もちろん映画館等の音響が良い環境でないとディテールは分かりにくくなって来るのでぜひ映画館での鑑賞をおすすめしたい。このホームドラマの音と収容所で起きている音の二重性と言おうか、日常に溶け込んでいる環境音としての人間の死にゆく音がとても気持ち悪く不気味なのである。そんな中ルドルフ・ヘス一家はその音を聞きながらも普通に生活をし、普通の家族のやり取りをし、揉め合いをし...という風に、この家族も頭がおかしいんじゃないか?なんて気持ち悪い奴らだ!となるのがこの映画を見て思うところである。
この映画で描かれるホームドラマが、他の映画と比べても淡々と描かれていくものだから「単調でつまらない映画」と評価されるのもまたひとつだが、自分的にはホームドラマの中にギョッとするようなカットが挟み込まれるので、映画として印象には残りやすい映画であった。 またこのようなシーンは抽象的というか、十分な物語的説明がなされないシーンであるため、人によって解釈が見た人の議論の的となるのも面白い。
見た全員が違和感を抱くのは、映画中盤に2回ほど出てくる、サーモグラフィーで映し出された少女だろう。彼女は当時のレジスタンスであり、アウシュヴィッツに収容されている人達にリンゴ等を届けていた、ということであるらしいが、いかんせんサーモグラフィーの違和感とボイスオーバーでルドルフ・ヘスが「ヘンゼルとグレーテル」の物語を語っている中で映し出されるので
、寓話的というか夢の中のようというか、現実とは離れたシーンであるかのようなのである。個人的にこのシーンは、「収容所にリンゴを届けるレジスタンス」=「収容所内に関心を寄せ、アンチ収容所的な行動をする人」を描くにあたって、「収容所に全く関心を寄せず平然と暮らす人達」が普通であるこの映画の中では真反対の存在であるからこそ、色が反転するサーモグラフィーで描かれているのではないかと思う。またアンチ収容所的な行動をとるレジスタンスヒーロー性というか幻想性というか、子供に語り継ぐアンチ体制ヒーロー的な話とこの少女を被せて考えることで、「ヘンゼルとグレーテル」を読み聞かせる中でこのシーンが描かれたのだと考えることも出来るだろう。
また様々な考え方が出来るのはやはりラストシーンだろう。ルドルフ・ヘスが階段を降りる途中、彼が異様な嘔吐感を出し始めたと思えば、シーンは現代の収容所に。博物館となった収容所内を黙々と清掃する清掃員が犠牲者の所有物と共に映される。その後またシーンは過去に飛び、それを見たルドルフ・ヘスは一層嘔吐感を覚え、暗闇に消えていく...というものだ。このシーンも特に説明がない上にラストシーンでもあるので観客に変な余韻を残すのである。その上で自分が考えるのは、ルドルフ・ヘスは収容所横での生活を無関心に過ごしているように見えながら、本能では気にしておりその結果あの嘔吐につながったのではないか。というものである。2014年に「アクトオブキリング」という映画があった。インドネシアで起こった虐殺事件を加害者の視点から描いたドキュメンタリーであり、最初は当時のことを自慢げに語る加害者であったが、ドキュメンタリーが進むうちに激しい嘔吐感を覚えていく...という映画である。「関心領域」のラストもまさにそれで、見ないようにしていた大量虐殺に対する自分の加害者性というものを本能的に感じ、体が拒否していたのではないか。またこうしてみると本作で描かれるルドルフ・ヘスは違う部署へ変えようとしていたり、(妻に拒否されるが)日常パートでは笑顔を見せずつねに厳しい顔をしていたりと、本音ではやはりこんな場所での生活が嫌だったのではないか?と見ることもできるのである。そして現代のアウシュヴィッツ収容所のシーンである。当時の痛みを感じることなく、仕事として淡々とアウシュヴィッツで清掃する人達。これは、文字通り仕事として淡々とアウシュヴィッツで働いていたナチスの軍人、ルドルフ・ヘスの境遇と同じとも言えるのである。ホロコーストから半世紀以上経つ現代でもこの事件に関して、ある意味無関心である人がいる。そんな現代をみて、人間というものの気持ち悪さに具合が悪くなり、ルドルフ・ヘスはさらに嘔吐感を覚える、というラストではないだろうか。これは、現代に生きる私たちへの痛烈な批判でもある。実際世界では戦争が起こっていたり、人が虐殺されている中、貴方はきちんと関心を寄せているのかと。この映画に出てきた無関心家族のことを批判できるのか?あなたは「あの家」に住んでいたらどのように生活したのか?というメッセージであるように感じた。
 この映画、収容所の中は徹底的に映さないようにしているが、なんとなく連想されるようなシーンが散りばめられているのがなんとも恐ろしい。例えば裸で列になって歩く一家、密室に弟を閉じ込める兄、またパーティシーンがだんだん収容所のように見えてくる演出などが見事である。このようなシーンが挟み込まれることで、常に安全圏でないような感じというか、常に不快感が漂うのがこの映画である。1シーン1シーン細かいところまで読み砕いていくと、もっと恐ろしいことが発見できるかもしれないが、非常に精神と体力を使うので、私のレビューはここまでとする。

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inoTV IKE

4.0ポップコーン売らないでほしい

2024年5月26日
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鑑賞方法:映画館

怖い

小説が原作だが、しっかりとしたショットと音響で映画になっている。

環境音が映画のキモになっており、巧みに音響設計されている。それ故、ポップコーンを食べる輩が周りにいると映画の魅力が半減する。このような映画は音響設備のよい劇場で観るべしという人が多いが、まったく逆。自宅で配信をヘッドホン付けて観るのが最良の鑑賞方法だと思う。

そもそもアメリカ人と違って日本人はポップコーンなんか滅多に食べないのに、なぜ映画館では積極的に売るのか。音の出ないフードは他にたくさんあるのに、なぜカサカサシャクシャクカリカリ煩いポップコーンを売るのか。和菓子売れ、和菓子。

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ハモニカ犬

4.5無関心だからこそできる残虐な行為

2024年5月25日
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鑑賞方法:映画館

所属する組織の規模が大きくなればなるほど、トップにいる人たちは、自分のやっていることが、誰にどんな影響を与えているのか、忘れてしまうんだろうな。どんな組織にも通ずる話だけれど。それにしても、エンドロールのBGM、あまりにも胸がざわついて落ち着きませんでした。
(追記)忘れてしまう、よりも、気づかないふりをしている、の方が適切なのかな。皆様のレビューを読んで、そうだったのか、と思い直すところが多くありました。ぜひもう一度観にいきたい。

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やぎ

3.0意識高い系の作品です。

2024年5月25日
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鑑賞方法:映画館

冒頭、真っ暗な背景と不気味・聞きなれない音楽で映画が始まります。
あ、意識高い系の作品かな、と思って最後まで見たら予想はあたっていました。

アウシュビッツ強制収容所の真横の官舎に住む所長家族の物語です。
・所長はユダヤ人虐殺の職務に懸命に取り組みます。
・所長の妻は虐殺には関与はしませんが、ユダヤ人から奪った貴重品を身に着けるのは躊躇しません。
虐殺に直接加わらなくても後ろで支えた人々がいることを明示しています。

まあ、それだけです。
彼女が戦後どうなったか知りたいところですが・・・

一方、何の脈絡もなしに現代パートになって被害者の遺品が写されます。
可哀そうなユダヤ人、と言いたいんでしょうけど何だかなあ・・
あと、本来あるはずの臭いの描写がないのはイマイチだなあ・・
意識高い系の作品でした。

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お抹茶

4.5人類史上最悪の蛮行‼️

2024年5月25日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

この作品はものすごく恐ろしい映画‼️舞台は第二次大戦中のアウシュヴィッツ収容所に壁一枚で隣接する所長の邸宅。映画は、この邸宅での所長の家族たちの日々の生活を淡々と描くだけ‼️もちろん、隣の収容所ではナチスによるユダヤ人の強制労働、大量虐殺が行われているわけですが、映画ではそれらの直接的な描写は一切ナシ‼️時折、邸宅から見える収容所の黒煙だったり、時折聞こえる叫び声や怒声、銃声のみ‼️しかし、のどかで幸せな所長家族の生活にそれらのイメージが重なることで、画面に恐ろしい "何か" が宿っていることが痛感させられ、身震いがしてくる‼️そしてラスト、現代の収容所跡で提示される犠牲者のものと思われる無数の靴と、遺影の数々が、人類史上最大の蛮行を浮き彫りにする‼️今作を上回るナチスの蛮行を観たい方はロシア映画の「炎628」を観て下さい‼️立ち直れませんよ‼️

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活動写真愛好家

3.0考えさせる作品 アーカイブ的には重要な作品だが 『ジョジョ・ラビット』等の究極の反対側の作品。

2024年5月25日
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知的

人類の負の遺産 悪魔的行為 ホロコースト映画はたくさんある

ナチス・ヒトラーの最大の功績は 絶対悪 人間の醜悪さ 基準を示したこと
だから ヒトラーは 悪の偉人 まあ スターリンも大して変わらんけど・・

多分戦後長らく アナログの昭和は アンネの日記 夜と霧 本📕によって 知られてた あと 義務教育の社会の先生ね。

だが 『ソフィーの選択』ホップ
『シンドラーのリスト』ステップ
の2段階を経て 幅広く ホロコーストが映画の題材になった 気がする シロウトですみません。

あっ シンドラーのリストの アーモン・ゲート【レイフ・ファインズ】はクラクフの強制収容所所長

本作 ルドルフ・ヘスは アウシュビッツの責任者
日本的には ほぼ同じ名前のナチスの大幹部 副総裁は別の人です 要注意⚠️

本作は リアル 追求作品❗️

故に 娯楽性があって フィクション的な
『ジョジョ・ラビット』『ライフ・イズ・ビューティフル』
とは 全く違う リアル 作品なので 要注意

本作捉え方は人それぞれ自由だけど
俺的には
①✖️ ナチスも人の子 普通の人
②⭕️ 誰しもが 自分たちの残虐な行為に目をつぶる 邪悪な人間になりうる ということ
だと あくまで 個人的に思った

『シンドラーのリスト』『戦場のピアニスト』みたいな 物語エピソード性は無いかもね

チト 抽象的な表現 演出が多くて 極めて 名画座的 作られたことに意義のある作品

だが ①りんご🍎少女 わからない ② 画像が黒だけ 赤だけ抽象的 ③ 資料館❓❓
とにかく
難しいことはわからない 映画シロウトのワシ的には もうチコっと 尺短くできるよね 作品

あっ❗️最低限 ホロコーストの概要の予備知識が必要ですが 映画館に来るお客様 はみんな 俺以外 選ばれた精鋭たちだから問題なし。

考える 作品なので 有料🈶パンフの3つのコラムは 非常に咀嚼しやすく 理解深めるのに重要カモ。

正直 あんまり面白くは無い教養作品ですが お金 鑑賞料金が無駄だったとは思わない。記憶に残る作品。意義ある作品。

ただ、モチッと『尺短く何ねぇかな❗️』と俺の膀胱が叫んでたのは事実。

まあ自分を正当化するつもりは無いが 流石に 絶滅収容所の横には住みたく無いなぁ。
でもわからないね、自分が当時のドイツ🇩🇪人だったらね。住むかもね。

どうでもいいけど 川の流れが早すぎダヨ❗️

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満塁本塁打

4.0嫁という字は女に家と書く

2024年5月25日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

『ルドルフ・ヘス』の名前で知られるナチスの幹部は二人いる。

一人は『ルドルフ・ヴァルター・リヒャルト・ヘス』で「ナチ党」副総統。

そしてもう一人が『ルドルフ・フランツ・フェルディナント・ヘス』。
「SS」の将校でアウシュヴィッツ強制収容所の所長が本作の主人公。

もっとも本編では重要な役を担うのは
『ヘス(クリスティアン・フリーデル)』の妻『ヘートヴィヒ(ザンドラ・ヒュラー)』と
夫婦が住む瀟洒な邸宅そのもの。

『ルドルフ』が収容所を虐殺機関として拡張・機能させるのと並行して、
『ヘートヴィヒ』は隣接する自宅を居住空間としてより心地好いものに充実させる。

プールもある、広い整備された庭。
広く居心地の良さそうな室内。
かしづく多くの使用人。
そして五人の子供たち。

夫が昇進により、この地を離れることになっても、
自分だけは子供と(使用人とも)一緒に残る。
その旨を後任者に伝えるようにと言い放つほど。

が、その心地好さは、傍から見れば首を傾げるもの。

四方は上に鉄条網を備えた高い壁で囲まれ、
壁の上から見える煙突は昼夜を問わず黒煙を上げる。

警備の犬の吠え声、収容所の所員の怒声、
収容者に対する発砲音は絶え間ない。

わけてももっとも違和感を覚えるのは、
焼却炉からと思われる重低音の響き。

一日に何度か着く汽車の蒸気と警笛が、
新たな犠牲者の到来を告げる。

勿論、それらが何を意味するかは、
鑑賞者の我々のみならず、そこに住まう人全てが知っている。

にもかかわらず、彼等・彼女等は
聞かれれば「収容所の中でそんな残虐な行為が行われていたなんて知らなかった」と、
ぬけぬけと話すに違いない。

収容所に移送されて来たユダヤ人から巻き上げた物品を
素知らぬ顔で身に着けていながら。

もっとも、正常な神経の持ち主も中には居る。

娘を訪ねて来た『ヘートヴィヒ』の母親は、
最初こそ住まいの素晴らしさに感嘆をしていたのに、
数日も経たぬうちにオゾケをふるい姿を消す。

最初はそれらを認知しながらも
意識の外に押し出していたのかもしれない。

しかしやがて、そうした景色や音が周囲にあることが
当たり前になり、違和感が無くなり、
関心を向けなくなるおぞましさ。

いや、これはドイツだけの話しではない。

以前に(旧)大連に住んでいた人と会話した時のこと。
「自分たちが造り上げた文化都市を、終戦とともに
中国人に奪われてしまった」と、戦後六十年を経ても
悔しそうだったことを思い出す。

もう二十年も前のコトなのに、
その時の戦慄は今でも強烈な記憶。

自分たちにとっては道理でも、
傍目には欺瞞が、実は自分たちの身近にもごろごろしている。

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ジュン一

4.0素敵なお庭

2024年5月25日
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視覚的に全て見せようとしたサウルの息子と全く対照的なアプローチ。見せないが、聴覚に響く。ポップコーン厳禁。赤ん坊が泣く。隠れた部分が何かは知っているが、やはりそれを正しく感じているようには至らない。関心持ちきれない自らが詰問されているようでもある。
唐突に挿入された現在の映像と地続きな画づくり。こんな素敵なマイホームに住まいするのは自分自身かもしれない。

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Kj

4.0映画と言うよりコンセプチュアルアートの作品

2024年5月25日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

「アウシュビッツ収容所と壁一枚を隔てた邸宅で幸せに暮らす家族」。鑑賞前にアウシュビッツ収容所の情報は頭に入れておくことをお勧めしたい。
固定カメラ10台、スタッフ5人の遠隔操作で撮ったと言われるシンメトリーの画からは、美しさ、権威とともに音も相まって静かな恐怖を感じた。
映画と言うよりコンセプチュアルアートの作品だと思った。
鑑賞後の再度「アウシュビッツ収容所」について調べながら帰宅した。

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ron

2.0メッセージは最強  ドラマはゼロ以下

2024年5月25日
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ポスターもかなりこの作品を上手く表してると思います。
ドラマ性ゼロで内容としては全く面白く無いんですが家に居ても延々と銃声が聞こえて叫び声など聞こえている中で平気で暮らしてるとか(実際に行われていた叫び声を消す為にバイクのエンジン音で誤魔化したりしてるのとか 銃を撃ってる場所と家の距離を計算してとどれくらいの音量で聞こえるのかを徹底して研究して映画に反映させたのは凄い)隣で虐殺されてる音が聞こえてるのに無関心とか奥さんマジで超ヤバイ奴だろ!(逆にお母さんとかメイドの反応が普通で心霊現象どころの騒ぎじゃ無いくらい絶対にあんなところで普通に住める訳ねえし)って思うんだけど私たちもニュースなどでウクライナの事とかガザ地区の問題とかニュースで放送されていても平気で飯食ったり 娯楽を楽しんだりしてるので無関心の怖さってのを突きつけてくるの下手なホラー映画より怖いし相当凄いと思いますが いかんせん何も起きないので当然なんだけど単調なんですよねー
そういやメイドはユダヤ人って!
あと所長も単なる管理職でやってるだけでめちゃくちゃ悪人とかじゃなくて(むしろ麻痺してる部分もありますが)奥さんのほうが気も強いし 最後に嫌過ぎて吐きそうになるって設定が面白かったですね!
まあ手前で歩いてる人とか無視して収容所のほうが気になってそっちばかり見るように作られていたり 音に集中するから会話が全く頭に入って来なかったり色々と斬新な手法で定点カメラのスイッチでの撮影だったり相当変わった手口の作品ですねー
映画祭などの賞レースに強いの分かるしメッセージ性が高い作品なのは充分に理解できますが内容としては壊滅的に普通というか家の中を隠し撮りしてるドキュメントのような感じでストーリー皆無なのでそこがちょっとなあって感覚になりましたね!
あと主演女優のザンドラヒュラーは落下の解剖学も凄かったですが関心領域の演技も派手な場面は無いけど演技の上手さを堪能できましたよ!
結局ですがメッセージ性が強くて賞を取るのも超納得の凄い作品だと思いますがあり得ないくらいつまらないし面白く無いという訳の分からん感想になりますね。(凄いと面白いがリンクしてないなんて珍しいと思いますよ)

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お主ナトゥはご存じか2世

3.5悪くはないが

2024年5月25日
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描きたいことは明瞭。ただ、登場人物がみんな機械人間みたいで、日常の延長にor現代の我々のすぐそこに、同じことがあるという感じが薄かったのが残念。/当然ながら人種間の断絶の話ではあるのだが、世代間の断絶の話でもあるのは面白いと思った。/要は私が気になったのはヘス夫人と母との関係。母が舐めた辛酸を自分は絶対に舐めない、むしろ仕返してやる、という気持ちがヘス夫人を動かしているところが大きい気がして、そういう心理であれば、普遍的だし場合によっては建設的・生産的・創造的に働くことも多い。だから人間(とその所業)は難しいのだ。悪行を行った人たちであることは言うまでもないが、あいつらは悪人です、で済ませて切り離してはいかんのよね。(それが“関心領域”だよね。)彼らを自分に連なるものとして、自分にもああいう成分がないか、と考えることが必要。アウシュビッツ博物館の映像、しかも、そのスタッフが仕事として(平気で)ガラス拭きをしている場面をわざわざ差し込んだのはそういうことでしょう。/普通の人々の戦争加担みたいなことで言ったら、『この世界の片隅に』には叶わないと思った。

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ouosou

0.5耐えた105分

2024年5月25日
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難しい

寝られる

ある一家の日常をただ意味なく観るだけ。ストーリーが全く無い。何一つ面白くない。ドキュメンタリーとも違い、映像はドラマ風に映る。絵になる写真を動画で観てるような。ひたすら終わるのを待ち侘びて耐えました(笑)
多分そんな人たくさん居たはず。
ウェスアンダーソン監督作品と同じ観る苦痛がある。

予告を観ていて厳しそうだなーって思ってましたが、もしかしたら逆に当たりかも?と期待してみましたが、やっぱりハズレでした。(笑)

特有のスリラー、ホラーがあるのかと思いきや全くなかった。旦那さんは吐きまくっていたがあれは何?酒でも飲んでいたっけ?(笑)
ラストは呆気ない。逆にお洒落に映ったが。

新宿ピカデリーのレイトショーは満席に近い入りでしたが、帰りの反応は会話から悪そうでした。
パンフレットは既に完売していた。

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ノブ様

4.5収容所の中を見せないことがかえって収容所を見せてくる

2024年5月25日
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映画は幸せそうな家族の日常から始まる
だが、気づく
銃声、人の叫び声のようなものが聞こえ続けていることに
そうして、家族の日常に少しずつ入り込んでくるものにも気づく
妻が試着するのは奪われた毛皮のコート、ポケットに入っていたリップスティック
夫のブーツを洗った水の色
川に流れてくるもの
空に立ち昇る黒煙
列車が到着したとわかる煙が流れていく

観ている側は、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所だとわかっている
少なからず、映画などの映像や残された写真などを見ているからこそ、想像力が見えない壁の向こうの収容所の様子を浮かび上がらせてくる、聞こえている音ともに
すごい演出だ

もしも家族が、ユダヤ人や収監された人たちが、絶滅収容所と呼ばれたアウシュビッツ=ビルケナウで、どんな目にあっていたかを知らなかったとしても、少なくともある程度以上の年齢なら、あの距離で聞こえたはずの音や声、匂いで、その異様さに違和感を感じたはず
それでも、まるで何も起きてないように過ごせていることの恐怖
「ヒトラーのための虐殺会議」を観た時にも似たようなことを思ったけれど、なぜ?
理解できない

妻の母が途中でいなくなる
恐らく置き手紙と思われるものの中は見せない
それでも、前夜、赤い空に目を覚まし、窓辺で収容所を見ていた表情からして、うかがえる
そちらのリアクションの方が理解できる
それでも、妻は難しい顔で、しかし感情を一切出さずに、その手紙らしきものを火にくべてしまう
もしかすると、罪悪感や違和感、嫌悪感があるのかもしれない
けれどそれを認めたら、なにかが崩壊してしまう
だから、認めない、受け入れない、気づいてないふりをしているのかもしれない

途中、果物を置く女性が出てくる
最初は娘の夢なのかと思ったが、なにか違う
2度目に出てきた時、状況を理解する
そして、やはり、隣でなくても匂いがしていることが鼻をおさえて窓を閉める動きでわかる

この作品は、説明を一切しない
けれど、随所にヒントを出してくる、見せてくる

さらなる大量虐殺を前に、最後のヘスの吐き気、その後に映し出される現代のガス室、焼却炉、収容された人たちから奪ったカバン、靴、衣類、写真から、アウシュビッツ・ビルケナウ博物館だとわかる
そこを清掃する人々
正直、ガス室の掃除をひとりでやるのは気分の良い仕事ではないし、毎日残されたこれらのものと対峙するこの仕事、なかなかハードでは。と思ったが、同時に、これが日常の人たちがいるのだな、と。かつてのヘスたちのように
そこからヘスに戻る
まるでともに今の映像を見たかのように佇むヘス
だが、彼は再び歩き出し暗闇に消えていく

エンディングロールを見ながら、強烈ななにかが残ったことを感じる
そのなにかを考え始める

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yukarin

4.0アウシュヴィッツ強制収容所の壁1枚先では優雅な生活が送られていた。...

2024年5月25日
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アウシュヴィッツ強制収容所の壁1枚先では優雅な生活が送られていた。
何気ない日常を描いているように見えるが、異常であることは明らか。ホロコーストを描く視点として斬新。

なぜないものとして振る舞っていられるかある意味ホラーで不思議でしかなかったが、無関心を装っているだけ。
途中うとうとしちゃって、自分自身も無関心になっているのかーと勝手に恐ろしくなった。

次第に蝕まれて行く姿、印象的なホロコーストの描き方で、世界最大の悲劇は善人の沈黙と無関心って言葉を思い出した。

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いたかわ

2.5音への恐怖

2024年5月25日
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想像していたものとは違ってドキュメンタリーを見ているようだった。ただ、カメラを回さないところから来る音や声から不穏感を増す演出、ところどころ異変を感じさせる映像。
それぞれに何の意味があるのかは難しいがどれもどこか違和感を覚える映画だった。

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ニックネーム

3.5不気味

2024年5月25日
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なるほど。ゆーっくり始まりゆーっくり終わる。最初と途中とラストに数十秒のBGMのみの どやーっ、とした音響あり。そもそもホロコーストの歴史実態を知った上で観ないと無知では解らんだろう。自分は良かったが。

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Cinemaオタク女

4.5特に映画館で観るべき映画

2024年5月25日
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鑑賞方法:映画館

アウシュビッツ収容所所長家族の日常の描写が淡々と続く
その中で気づく画面に映る異質さ
耳を傾けると叫び声や乾いた銃声
汽車がやって来る音と煙
煙突から夜を通して煙が出てくる
目で見ているモノと耳から聴こえてくるモノの違いに脳がやられる
映画館で観ないと音の臨場感が薄れる
少しでも興味があれば是非とも映画館で観てほしい作品
ただ説明が一切無い
分からない人、気づかない人には厳しい映画になる
上映中にいびきをかいてたオジサンは無関心領域だった

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SPEC2 THEEND

4.5想像力に訴えかける作品

2024年5月25日
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鑑賞方法:映画館

映画の作りに興味を持ったことがきっかけで鑑賞。

説明がほとんどないので、何がそこで起きているかを想像するしかない。音を聴いて、自分の感性で映画を創り上げるような感覚です。

ルドルフ一家の会話を聞くたびに、行いを見るたびに陳腐な表現ですがゾッとしてしまった。淡々と焼却炉の話をしていた男性も、もはや「死」について何も感じていないように思えました。けれど自分も同じ人間です。

だいぶ前ですが、アメリカのワシントンにあるホロコースト博物館でアウシュビッツに収容された方々の実際の靴の山を見た事があります。その時の事が思い出され正直キツかったです。

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