関心領域のレビュー・感想・評価
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こんな映画体験は初めてだった。
観る前にレビューをいくつか読んでしまい、
観なくても内容が判った気がして観に行くのを躊躇していた。
それでも気にかかって、「観なくて後悔するより観て後悔する方がよい」とのあるレビュアーさんの言葉を思い出して思い切って観に行った。
観なければ解らない映画だった。
これほど心を揺すぶられるとは思わなかった。
なんていう言葉で表したらいいのか、観ている間中、ずっと胸が押し潰されるというか、吐き気を我慢しているというか、苦しい。
非日常の中で進んでいく日常。
この上映時間を長いと感じるかどうか。これ以上続けば、映画の中の母親のように逃げ出したくなる。本当に吐いてしまう。心が壊れてしまう。そしてこの映画の家族のように慣れてしまうだろうか。
大なり小なり私たちは今もこの家族と同じことをして暮らしているのではないか。
この映画の監督は私たちに突きつけてくる。
音が、音楽が、エンドロールを観ながら震えた。
こんな映画体験は初めてだった。
しんどい
私は昨今の何でも台詞で説明する映画はつまらないと考えており、難解で分かりにくいと低評価レビューの多い映画でもわりかし平気な人間だが、この映画はやりすぎ。
虐殺が行われている隣で平然と生活する異常性を描こうという意図は理解するが、監督の自己満足のような退屈なロングショットに、常に不快な音がかぶさり、人物説明も状況説明もなさすぎて(説明台詞がないという意味ではなく、演出による説明すらない)誰が何をしているのかよく分からないシーンを延々と見せられる。
観客に深く考えさせることと、観客を不快にさせることは違うと思う。
わかりやすい悲劇的なストーリーに劇的な音楽で泣かせる安直な映画がいいとは思わないが、それでも最低限、観客に分からせる努力は必要ではないだろうか。
とにかく最後まで観るのがしんどかった。観に行く人は覚悟を。
事前解説とおり
収容所に隣接するナチ幹部が何事もないかのように普通に家族生活を営んでいる、という事前知識そのままの映像で全く想像ジ通り、観る必要もありませんでした。
難しいという感想が散見されますが妙に構えるから難しく感じるだけであって、繰り返しますが事前解説のままの単純な内容です。
とにかくナチ家族の普通の生活を普通に描いているだけなので素直に観れば退屈極まりない作品ですが、着眼点の意外性は認めるので3点です。
ナチに限らず北朝鮮、ロシアの国民や戦争前後の日本人なんか、客観的には狂っていても当事国の国民は自らを信じて疑わないものです
悲鳴を無視して執着する、美しい生活。
人を生きたまま焼くような虐殺が進行する横で、ユダヤ人の悲鳴を積極的に無視し、ユダヤ人からの収奪で成り立つ美しい生活に執着する主人公の一家。
転勤を命じられても、そこでの「天国」のような暮らしに留まろうとする様子は、彼らが単に上からの命令に歯車として従っただけでは無く、積極的に悪に加担していたということを示す。
後半、さすがにこの異常さに慣れきることは出来ず、ヘートヴィヒ・ヘス以外の人物に歪みがでてきたのには、むしろ人間性を感じてホッとしたくらい、救いがなかった。
実証に基づいた悲鳴の聞こえ方をシミュレートした音響、節目になる悲鳴を取り入れた重すぎる音楽もすさまじかった。
他にも、悲鳴をないものとして、鳥の声をよく聞けという狩のシーンには怖気立つものがあった。
世界のあらゆる場所で起きている差別と収奪の普遍的な構造をあきらかにし、現在進行形で人を焼く虐殺が行われている、今現在のわたしたちに向けて作られている映画。
またそれはパレスチナやシリアやミャンマーなどでの虐殺に限らず、例えば外国人労働者からの収奪で生活を成り立たせながら、彼らの苦境には耳を貸さず、彼らを使い捨てるような法案を通そうとしてる、日本の現状をも突き刺している。
どこまでも洗練された画面と演出だが
事前に解説とレビューを見て補完しながら見た。往時とは思えない住環境と家族、エリート軍人であるが恐妻家というところで意外感があった。映像・演出・内容につき社会的にも評価の高い映画であろうことはわかったが、自分には今一つはまらなかった。最後の清掃シーンも洗練されているが、衝撃的なカットがあった。収容所も最後まできれいで、どこまでも婉曲的表現のところがすごかった。
アウシュビッツ収容所の職員さんと、そのご家族の模様。 住まいは収容...
アウシュビッツ収容所の職員さんと、そのご家族の模様。
住まいは収容所のすぐ隣。庭の向こうは鉄条網。その向こうから、焼却炉らしい煙が見えたり、不穏な音や声がしばしば漏れ聞こえてくる近さ。
ですが、ご家族は立地に満足、都会を離れて郊外暮らし、温和に生活している様子。
女性たちは洋服の話題をしたり、子供はお庭で遊んだり、など。
映像には時折、モノクロとか、抽象とか、暗転とか...。
見ているこちらに不穏さが伝わってきます。
日々の暮らしぶりと出来事とのギャップ、
温和と不穏のギャップ、
それらの対比が、圧倒的に凄い、驚く作品でした。
Concern
アカデミー音響賞を取ったという事で注目していた今作。平日の夕方だったのでまだ空いていましたが、休日は大混雑になっていて、やっぱアカデミー賞の力はまだまだ健在だなーと思いながら劇場へIN。
んー合いませんでした。ドキュメンタリーに近い作りで、大きなアクションは起きず、淡々と収容所の隣に住んでいる家族の模様が流れるだけだったので、映画としての見どころはその模様を見守る事一択で、その面でも起承転結を好む自分とは相性が悪かったです。
冒頭の黒い画面から少しずつ音が鳴っていく演出。
映画館勤めというのもあって、事前にその情報は知っていたのであーここかとはなりましたが、初見であれを観たら映写トラブルなんじゃ?となってしまいそうで、いきなり観客に優しくないなーと思ってしまいました。
収容所の映像は何一つ無く、これもまた銃声だったり、呻き声だったりだけで、音だけでも現場の様子は掻き立てられるのに、それに対して全くを持って興味を示さず生活している一家に慄きっぱなしでした。
歴史的な面でもある程度の教養は必要な作品で、日本から見た収容所の知識は多少ありますが、現地の物事の勉強までは詳しくやってなかったのが悔やまれます。
アカデミーを取った通り、音響の不気味さは上映中一貫していて、心地よい音が何一つない振り切りっぷりには驚かされました。
エンドロールも呻き声が鳴り響いているようで、最初から最後までゾワゾワしっぱなしでした。
もう一回観るべきだよなとは思いつつも、楽しめなかった作品を勉強のために観るべきなのか…とモヤモヤしながら今日も安全に平和に過ごすのです。
鑑賞日 5/28
鑑賞時間 18:20〜20:15
座席 G-1
目をそむけず見るべきか、しかし体調が悪くなりそうな映画
こちらは勿論、壁の向こうに何があるのか、藪の向こうに何があるのか知っているので、この一家が信じられない思いでスクリーンを見ている。終始大量の煙、時に火柱さえ上がる光景に咳込みそうになる。川遊びの途中で大量の灰が流れてくる恐怖。
今更ナチスドイツ批判が目的で制作されたわけではないと思うが、無関心、利己主義の恐ろしさは表現されている。ただ世界のあちこちでは今もまだ戦争が続き、抑圧され国を捨てざるを得ない民族は多く、またそれにより難民や避難民となる人々への対応、また増えすぎた移民への対応に苦慮している国もある。隣人たちも同じ人間である、少なくともこの当たり前の事実をしっかり認識して、客観的に見られる理解力は保っていたいと、ぼんやりと考えた。無神経無関心、自分の愚かな正当化は避けなければならない、と胃の痛みを感じつつ、認識を新たにしたキツイ作品。
そして「落下の解剖学」同様本作でも堂々たる嫌な女を演じたサンドラ・ヒュラー、いつか彼女が、共感出来る女性を演じている作品が見たいかも。
決して好きだとは言えない傑作
スカーレット・ヨハンソンのフルヌードが鮮烈な印象を残した、しかしそれ以外は何も覚えていない「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」以来、8年ぶりとなるジョナサン・グレイザー監督作。
これは端正とも言える傑作だった。前作と違い忘れることができない作品になるのでは。
ナチス・ドイツによるホロコーストおよび強制労働により多くの犠牲者を出したアウシュヴィッツ強制収容所。
今作は収容所と壁ひとつ隔てた屋敷に住む所長のヘス中佐とその家族の暮らしをとらえた。まさに束の間の幸せ。
我々映画好きの多くは収容所の中の出来事を嫌というほど見てきたわけで、その音や臭いを思うと反吐が出る。
クリスティアン・フリーデルが命令に忠実で収容所の処理能力向上に努めるヘスを淡々と演じた。たくさんの人間の効率的な処分が求められた。
名演が続くサンドラ・ヒュラーがヘスの妻を演じた。最高の家にすべく尽力した。夫が転勤になっても家を明け渡すことはなかった。
そこを訪れた妻の母は早々に引きあげた。
まともな人間が住める場所ではなかった。
不穏な「音」が恐ろしい環境を表現した。
音響賞でオスカーを手にしたのは必然だった。
そう、これは決して好きだとは言えない傑作‼︎
未見の方は元気な時に観ることをお勧めする。
ちなみのにポーランドの南部にあった収容所は1945年の初頭にロシアにより解放され、ヘスは47年に処刑されている。
映像はすごいね
作品として文章化するとつまらなそうな作品になるが、映像や音響表現が素晴らしい映画。
単純に収容所を見せるのでなく、火葬場の煙?や遠くで聞こえる悲鳴で裏で何が行われているかが分かるのがよい。
星3.5くらいにしたいけどストーリーは本当に起伏なく平坦なので星3で。
是非 映画館で。
口コミで大抵の方が恐ろしさを物語っているのが多いので鑑賞しました。
冒頭から 始まる不安にさせる音。なんともいえない居心地の悪い事。
不気味さ200%。
あと何回か不気味な音のみの映像。
最後のエンドロール。
しかし、庭、プールで家族が楽しんでいるけど、匂いはしないのかなぁ?
妻の母親がまともで救われました。
最後に博物館に見せられた鞄、靴の山々。
悍ましい。
修羅場を直接は映さない間接話法が流行りらしい。
支持。
撮り手の策が前に出過ぎた感あるが。
企みが成功する程、テーマが奥に引っ込み弱まる皮肉。
先のオッペン然り、
阿鼻叫喚鬼の修羅場を直接は映さない間接話法が流行りらしい。
見るからに残虐だから痛いから虐殺は駄目、もありでは。
BGMの過剰な不快がやや下世話側に寄せた感も。
これを理解できる感性はないようで。
まったく理解できませんでした。感性が鈍いのかな
見ていて眠かったし、終わったら何を食べようかなと気持ちが離れたり、シーンの意味を考えるので戻ったりを繰り返しました。
まぁ、カンヌ受賞作品って感じはしました。
芸術性が高くて自分がついていけてないだけの説もありそう。
音でビビらせるというか、そこから連想して、幸せな家庭風景とのコントラストを考えさせる?
もしかしてストーリーには意味がない?
オープニングの黒が長くて故障?劇場トラブル?と思ったところから、作品に入れず。
モノトーンの少女はどういう映像手法なんだろうかは気になりました。
少女がりんごを土に埋めてるのは何?
乗馬で草むらを歩くのは脱走探し?
川から急いで帰ってお風呂でゴシゴシしてるのは、流れてきたユダヤ人の灰を落とすため?
突然現代の博物館のシーンがあって、アレ何
司令部の階段で、いきなり吐いてるは、何の比喩?
分からないことだらけで、だからと言って何か心に残ったかと言うと何も残らなかった
以前「縞模様のパジャマの少年」という、本作品と同じような設定の映画...
以前「縞模様のパジャマの少年」という、本作品と同じような設定の映画があった。ドキュメンタリーの様な「関心領域」に比べ「縞模様・・」は、少年の目を通した物語として・かなりショッキングな映画として創られていた。どちらも・・制作意図は善意の映画ですが・・あまり人に勧められないかも・・。
「縞模様・・」の奥さんなど、家族はちょっと良心が残っていたが・・「関心領域」は、悪名高い、ルドルフ・ヘスと家族のお話なので・ほぼ真実で、あのような感じだったのでしょう・・。
当時、優雅な生活を送っていた、ドイツの支配層、ナチスドイツは・・自らの利益だけに興味が向けられ・・終日聴こえる、何かを焼く焼却炉の音、煙。何かを運んでくる汽車の汽笛、怒鳴り声とそれに伴う銃声・・叫び声・・。それらは、豊かな生活を支えてくれる要因と認識し甘んじていたのか? それとも、感覚が鈍ってしまったのか?元々、そういう残酷で鈍感な人間たちだったのか???
「関心領域」の描く世界。実は現代社会の暗示?
優雅に暮らす、一握りの資本家、お金持ち、政治家。一方、奴隷の如く働く、一般人、労働者(頭脳も肉体も)ての関係の様でもある。彼らの「関心領域」には、我々は入っていないのです♪
この結果から、今現在へ
美しい自然の中で和やかに暮らす家族、その暮らしが仲睦まじく明るく朗らかであればあるほど、塀の向こうとのギャップ、違和感や恐ろしさが際立つという、なんとも奇妙な感覚にさせられる構成でした。
強制収容所についての知識がある上での感覚だとは思いますが、冒頭から音を意識させられ、壁の向こうの不穏な音、不意に差しはさまれる不協和音などから、この和やかな暮らしが異様であることは強く意識させられます。
淡々と日常を捉える映像も、壁の向こうの煙や炎、夫婦の使用人に対する態度、子供たちへの影響など、違和感や不穏感がちりばめられています。
直接的な残酷な描写はありませんが、所長である父親がもたらす残酷な恐ろしい結果が示される場面は、やはり奇妙なインパクトがあり考えさせられます。
その結果は現実に今現在に繋がっている、今現在、その結果を忘れずに見つめ直し繰り返さないようにすべき、というメッセージかと感じました。
夜の少女は誰なのかなど分かりにくい部分もありましたが、淡々とした語り口や構成、映像や音楽などの演出も秀逸で、虐殺行為を非難する強い想いも伝わる、良い作品だと思います。
全465件中、261~280件目を表示