「自分のこととして捉えられたかを考える?」関心領域 りかさんの映画レビュー(感想・評価)
自分のこととして捉えられたかを考える?
湖で水浴びする楽しそうな家族、
花々が咲き乱れた緑たくさんの庭を持つ瀟洒な家に帰って行く。
家事をする数人の女性を抱えている。
食料品を運んで来た男が携えて来た袋から出したのは、女性用の衣類だった。
誰が着ていた物なのか。
女性たちの雑談に出て来た歯磨き粉の中のダイヤ。高価なコートの話もしていた。
男の子二人が何で遊んでいたか?歯である。誰の歯か。
庭師の男が美しい花々の根元に撒く白い粉。
この家の主人ルドルフ•ヘス、湖での姿、ヘアスタイルを見てすぐわかった、ナチス兵士だ。
妻ヘートヴィヒと子供4人と暮らしている。
ルドルフの勤め先は‥‥。
ヘス家をぐるっと囲む塀の上には不釣り合いな鉄条網が張り巡らされ、その向こうには、煙突をいくつも抱えた大きな建物が見える。見る向きを変えると同じような建物がズラーっと並んでいるのが見える。庭の情景が映る度、これらの建物が見え煙突からは、絶え間なく煙が出ている。火を吹いたような煙が出ている時もある。
塀から見えていたのは、ポーランド郊外に建設されていたアウシュビッツ収容所。
ルドルフはその収容所の所長である。
花咲き乱れる我が家からすぐ隣の収容所に毎日通っているのである。
しょっちゅう銃弾発射した音が鳴り響き、兵士の怒号が聞こえ子供の泣き声や悲鳴が聞こえて来る日常である。
画面には表されないが、あの煙が何を焼いての煙だったか考えたら、臭いもあったのではないか。
列車の車輪の鋭く軋む音も聞こえる。
幼い弟が夜中に銃声を聞きカーテン越しに覗きつつ驚きもしない。昼間兄と遊んでいる時だと見にも行かず日常茶飯事と捉えているように感じた。
妻ヘートヴィヒの母親が新居を見にやって来た。母はユダヤ人の家で働きその主人が収容所に
居ると話す。その主人の高価な衣服を欲しかったが他人に取られたとも話す。娘に広くて美しい庭を案内されて大変ご満悦だったにも関わらず、ある夜の収容所の様子を二階の窓から驚きつつ見ていた翌朝、荷物を持って居なくなっていた。
ヘートヴィヒは、自分が設計してこしらえた庭に大変満足しており、夫ルドルフから転勤になって引越さねばと告げられた時も突然のことに怒り夫にだけ転居し自分と子供たちはこのまま家に住み続けると喚き散らし、言い分を通したのである。
それくらいこの家を気に入っていた。また、働きに来ている若い娘に用を言いつける際、「主人に言うと焼かれて灰になるわよ。」と当たり前のように言う。
夜中ルドルフは仕事部屋に女性を招き入れていた。いわくありげである。しばらくして、古くて長い地下廊下を通り抜け粗末な水道で、自分の身体の前を何度も拭っていたのはなぜか?
先程の女性がユダヤ人だったからか?
そして、何食わぬ顔して家に戻り良い父親の顔になる。
ルドルフはやり手でまた昇進するらしい。
働く者にとっての楽しみ、この為には上官に認められ力を発揮せねばならない、
大量虐殺であったとしても。
子供二人とカヌーに乗ったり泳いだりしていて何かを拾った途端に、子供を水から上げ急いでカヌーを押して家に戻り、三人とも風呂に入り身体も服も洗ったのは?
何を拾ったのだろう。
モノクロの少女、行動を見ればグレーテルかと思ったがヘンデルがいない。しかし、グレーテルか?
ラスト辺りの意味がわからないので、ネタバレを見たら、ルドルフは、所属するナチスに軽いストレスを感じた為の嘔吐ですぐ回復した。
大したストレスでは無いらしい。
現代の博物館を掃除する人たち、展示してある悲惨な現実のことを考えず淡々と掃除する姿が無関心なあなた、を表しているらしい。(しかし、掃除の仕事なら綺麗にすることが第一目標だから当たり前だと思う)
補足:
•カヌー遊びで拾ったのは、人骨で顎の骨らしい。白い粉もながされていたか。もちろんユダヤ人のものだ。それで、身体と衣服を洗ったようだ。自然の川なら何が流れて来るがわからない、人骨だからかユダヤ人だからか気味悪く思ったのは?
•モノクロの少女は、実在されていた方で、12才でレジスタンスの一員としてリンゴを埋めていた映像のようだ。別の日にユダヤ人が掘り出し食べることができるように、とのことらしい。
監督は、この映像方法で描きたかったようだ。
上記二つの疑問についてレビュアーの方から教えていただき氷解した次第である。感謝❗️
確かに〜。彼女たちは仕事中の従業員ですからね。
遠く広い比喩なのでしょう。
そして、①から⑩までの想像ありがとうございます😁
もう15年くらい経つけど鮮烈な体験です。
コメントありがとうございます。
事前知識が必要で、それを知っている人が「こう表現するか」と唸る作品と感じました。
そのアイデアを最も映えさせる題材がコレだった、とも。
そういった意味で、この“事実”を利用したように感じてしまい、やや不快感もありました。
勿論、深いメッセージ性をこめて製作されたのかもしれませんが…
りかさん、おはようございます。
なかなかの衝撃的な作品が続いたころのこれは疲弊度増しまし⤴︎でした。
こうして共感いただき読み返してみると私の勝手な深読み(かもしれないやつ)もなかなか激しい😅。
なんでも振り返ることが大事ですね。
納得😌 ありがとうございました♪
映画として一般公開されてる以上、少なからずエンタメ性も必要とも思われます。強いて言えば本作はスリラー映画として楽しむべきものなんでしょうね。楽しむなどと語弊があるかもしれませんが。それ以上に映画を見て何かを学び取ろうという姿勢が観客に求められるような作品といえるでしょうね。
りかさん、コメントありがとうございます。今のイスラエルの「国」は宗教(ユダヤ教)的に我が故郷とされた歴史的区域とほぼ一致しているようです。それがたまたま別の宗教(イスラム教)のパレスチナがもともと国土として居た所とかぶっていて、当初はユダヤ人もパレスチナ人もアラブ人も仲良く共存して平和に暮らしていたのに、イスラエルに入植する世界各地のユダヤ人が増えそれにつれてパレスチナの人達を追いやって敵意までもったということでしょうか?ユダヤ人全てがイスラエルのやり方を支持している訳で無いのは、この映画の監督の発言からもわかりました。たまたま「エドワード・サイード」のドキュメンタリー映画(監督は日本人)を見て深く考えるきっかけを得ました。
ユダヤ人は大昔から、ロシア含むヨーロッパ各地で職業差別とか姓を名乗れないとか、限られた場所にしか住めないなどの差別を受けてきたから、ナチによるホロコースト「だけ」を理由にガザの民間人を殺戮していいわけないと思います、ホロコーストを超える犯罪はないとしても。
長々とすみません
意図や無関心の恐ろしさはわかるけれど、「こういう映画です。」と言われたら、それ以上のものがほぼなくて、みないでも内容がわかる作品になってしまっていると感じた方が多いのかなと思いました。
おはようございます。
生々しい描写に、メンタルやられそうな映画ですね。
聞くところによると、実際に彼らが写した写真がたくさん
残されているとか・・・・
ラストで出て来ましたか?
はい、配信になったら観ますね。