「現実から目を逸らすな」関心領域 keiさんの映画レビュー(感想・評価)
現実から目を逸らすな
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アウシュビッツ収容所の隣に住む収容所所長とその家族の話。塀の向こうで行われてるユダヤ人虐殺に無関心な生活ぶりが坦々と描かれている。暴力描写は無く、悲鳴や銃声の音が生活音かのように自然に散りばめられている。中でも妻が特に無関心のように描かれているので、一番人間性が無いように感じるが、都会を離れて暮らしたい、庭に花や野菜を植えて豊かな暮らしがしたいという夢を持ち、それを実現した、本来は感受性豊かで裕福な女性だったはず。世の中の出来事よりも自分達の幸せが大事というのは現代でも共通しているだろう。
所長含め、登場人物全員が時代の被害者でもある。人は見たいもの、聞きたい音しか聞かないものだ。
そして、エンディングロールの音楽はもう二度と聴きたくない。不穏な変拍子に叫び声のような音が使われ、逃げ出そうとした者に「目を開けて現実を見ろ」と彼らに言われているようだった。映画であることを忘れさせるくらいなリアリティで、圧巻の作品である。
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