「スクリーンと対峙している間、ずっと不安・不快」関心領域 ニコラスさんの映画レビュー(感想・評価)
スクリーンと対峙している間、ずっと不安・不快
冒頭のたスクリーンをただただ黒いスクリーンを見つめる時から不安感がスタートします。
その後の音楽・壁の向こうから聞こえる悲鳴、怒号、銃声。そして視界の上部に立ち上る煙、どれもこれもが怖くて、恐ろし過ぎて体全体に震えが走り、黒板にたてた爪が鳴らす音を耳にした時のように身がすくんでしまいました。
妻は夫に想いを吐露します「やっと手に入れた理想の生活、転属するならあなた独りで行けばいいじゃない」
本当に理想の生活なのでしょうか?子供たちの行動にはどこか正常(通常)な判断をつかさどる機能が一部欠落しているのではないか?と思わせる節がありました。
だからこそ訪ねてきた母親は環境に耐え切れず不調をきたし、突然姿を消してしまったのでしょう。
昨年観た「ヒトラーのための虐殺会議」にここから繋がっていくのですね。
人の命とはこんなに軽く扱われるものなのでしょうか?
でもこれは実際に文明や科学を掌に入れた人間が起こしたことなのですよね。
ガラス窓の向こうにうず高く積まれた靴たちの無念の叫びが聞こえてくるようでした。
今も世界のあちこちで起こされている悲劇、目を背けてはいけないと思わされる問題作でした。
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Mさんのコメント
2024年6月3日
まさしく「ヒトラーのための虐殺会議」と対になる作品でしたね。
ただ、あちらが終始淡々とした描写だったのに対し、こちらは「向こう側」の風景や音響が、かなり怖い感じの作品でした。