劇場公開日 2024年5月24日

「無関心人間の悪と滑稽さと儚さと、、、」関心領域 Kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0無関心人間の悪と滑稽さと儚さと、、、

2024年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

大胆な単色画面と示唆的な音響から始まる冒頭から、ミーハー心に思った。配信のみの作品を対象にしない、スクリーンで観て価値のある「カンヌが好きそうな」映画だな、と。
「リメンバー アウシュビッツ」的なメッセージを斬新な切り口で描いた作品かと思って見始めたのだが、途中から「違うそうじゃない」と思えてきた。見たいものしか見ない、自分の幸せが他人の不幸と隣り合わせ(というかその犠牲の上で)で進行していることに対する
無頓着さ、狭い世界の幸せを永遠の楽園のように捉えて支配しようとする(この場合は偶々)専業主婦の愚かさ、、、これは人間の愚かさを描く一例なのだなと。
「2度とするなよ」と、一番下の男の子は独り言で呟いた。収容所の子どもを厳しく折檻する親ナチスの声を耳にして。その他にも、染まってない子どもたちの言動が救いだった。
それにしても、あの奥さんを演じていた女優さん、「落下の解剖学」の時とキャラは違えど、ホントにそんな人みたいに人をイラつかせる演技力というか圧の出し方が実に上手いなあと思った。
蛇足になりますが、もっとわかりやすく切なかった映画「縞模様のパジャマの少年」を思い出し、改めて胸が締め付けられた。

Kumiko21