「淡々とした恐ろしさ」関心領域 つかさきさんの映画レビュー(感想・評価)
淡々とした恐ろしさ
収容所に隣接した司令官の邸宅。エリートである夫と、望みの棲家を手に入れた妻と、子どもたち。家族の生活を淡々と描く映像の背景には隔てる壁と煙突が映り込み、不快で異様な音が付きまとう。
断片的な匂わせはあるが説明はなく、具体的な絵は出てこない。家族の会話にもほとんど出てこないが、夫の司令官だけでなく、妻も何が起きているかは分かっているように見える。妻の関心は理想の家と自分の幸せと子供達のみ。普通の家族描写ならありがちなそれが、壁の向こうの出来事を知っている私たちには歪で醜悪に映る。
こういう描き方があるんだな…という作品でした。
コメントする