「関心領域と無関心領域。あえて言うなら見なきゃ良かった」関心領域 ぬんこさんの映画レビュー(感想・評価)
関心領域と無関心領域。あえて言うなら見なきゃ良かった
率直な感想としてストーリーは退屈な映画です
2時間幸せな家庭と旦那の昇進物語です
アウシュヴィッツで起きていることや
アウシュヴィッツの悲惨さは
画面に映し出されることはありません
だからこそこの映画はえぐいです
終始家族のつまらない自慢話や噂話、
リアリティショーのような家族の一場面が
映し出されますがその裏には常に
銃声、悲鳴、なんとも言えない不協和音が
共存しています
それが映画を見ている観客には伝わるのですが
主人公達には聞こえていないかのように
演技が続行されます
唯一聞こえてるのは生後間もない赤ちゃんだけ…
ここで整理すると映画の中で2つにテリトリーが分けられます
この家族にとって
関心領域=仕事やここに住めなくなること、ガーデニングや誕生日、子供の将来
無関心領域=アウシュヴィッツで起きていること
アウシュヴィッツ収容所やホロコースト自体は
色んな手法で語られてきているので
ここで悲惨さに言及するつもりもありませんが
今の時代に置き換えると自分の中にある
関心領域と無関心領域は広がり続けているのではと
立ち返りました
例えば学生の頃ならクラスのいじめなんて
めちゃくちゃ関心と無関心の領域の狭間にあるものだろうし
国内の問題ならトー横とか移民問題なんてのも
この狭間にないですか?
世界に視点を変えればロシアウクライナ問題や
インパ問題、ガザ問題など。
SNSやメディアの発達によって
趣味や好きなことに関しては関心領域で調べて楽しんでる一方
こういう身近な問題は無関心領域に
追いやってるんじゃないかなと
まるで主人公の事を酷い人間だと思って見ている反面
この領域が広がり続ける現代においては
自分達もこのアウシュヴィッツの隣に住む家族と同じ事をしているんじゃないかと訴えかけるような映画です
あなたは関心領域を広げることができるか
それとも今のまま無関心領域で自分を大切に生きるか
はたまた関心領域だけ広くもった机上の空論だけの人間になるのか
恐らく主人公はラストシーンで少し関心領域が広がったのでしょうね
この映画を見たからには今後の生き方考えなければいけないのかも知れませんね
そういう意味でもこの映画に無関心のままでいれば
前の自分のままでいれたのにな
罪悪感を持たずに生きることが出来たのにな