「宣伝が逆効果」関心領域 aliasさんの映画レビュー(感想・評価)
宣伝が逆効果
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結論から先に言うと想像していたよりも恐ろしさが伝わって来なかったです。
確かに壁一枚隔てて、一方では大量虐殺が行われ、一方では虐殺には無関心に贅沢に暮らしている家族の様子に不気味さや苛立ちは覚えるものの、恐怖を覚えるほどのインパクトはなかったです。
こういうと、すごく冷たい人間だと思われるかもしれませんが、実際に体験された方や身近に体験した方がいるのとは違い、史実としてしか知らないのが響いてこない原因の一つかも知れません。それは広島や長崎に落とされた原爆にも通じるものがあり、映画「オッペンハイマー」を鑑賞した際にも自分か想像したいたよりも込み上げてくるものは少なかったです。
そういった意味では、本編よりも最後に少しだけ映し出される資料館の方が怖さを感じました。私はアウシュビッツの資料館も原爆資料館も行ったことがないので軽率な事は言えませんが、この作品にしてもオッペンハイマーにしても資料館に行ったことがあれば違った感想になっていたかも知れません。
あと、インパクトが弱かった原因の一つに宣伝があると思います。宣伝の中で壁の反対側で行われていることは一切映されないと伝えてしまっているので、ある程度内容が想像できてしまったのは私にとって逆効果でした。
ということで、期待値よりも評価が下回る作品でしたが、残酷なシーンを一切映さなかったり、善意の部分だけをネガの映像で観せる手法は斬新で面白いとは思いました。
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