「音とさりげない映像で想像できる大犯罪」関心領域 矢吹 貴さんの映画レビュー(感想・評価)
音とさりげない映像で想像できる大犯罪
説明が少ないので、ある程度基礎知識が必要と聞いていたが、主人公が親衛隊の制服を着ており、豪邸に隣接する壁の向こうからは絶えず銃声や悲鳴が聞こえて煙突からはモクモクと煙が立ち上り、しばらくするとアウシュビッツの単語も出てくるので、ナチス強制収容所所長の家族の映画ということは、まあ誰でも分かると思う。
所長の名前があのルドルフ・ヘスというから、架空の人物かと思ったら、たまたま同名で実在の人物だったとは知らんかった。実際、かなり綿密な調査に基づいて制作されたらしいです。
劇中に出てくる「カナダ」の意味がわからなかったが、ユダヤ人から強奪した物品をドイツ人に配布すべく仕分けしていた部隊名がカナダと呼ばれていたのも見終わってから知った。
引きの映像で家族の暮らしぶりや官僚的な仕事ぶりを淡々と描きつつ、当然のように強奪品を品定めしたり、焼却した遺灰を肥料にしたり、たまにゲっとする描写が放り込まれる。
しかし、直接描写はなくて、不気味な音響とちょっとした映像でほのめかされるので、大音量の映画館で体感してほしいですね。
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