劇場公開日 2024年5月24日

「悪くはないが」関心領域 ouosouさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5悪くはないが

2024年5月25日
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鑑賞方法:映画館

描きたいことは明瞭。ただ、登場人物がみんな機械人間みたいで、日常の延長にor現代の我々のすぐそこに、同じことがあるという感じが薄かったのが残念。/当然ながら人種間の断絶の話ではあるのだが、世代間の断絶の話でもあるのは面白いと思った。/要は私が気になったのはヘス夫人と母との関係。母が舐めた辛酸を自分は絶対に舐めない、むしろ仕返してやる、という気持ちがヘス夫人を動かしているところが大きい気がして、そういう心理であれば、普遍的だし場合によっては建設的・生産的・創造的に働くことも多い。だから人間(とその所業)は難しいのだ。悪行を行った人たちであることは言うまでもないが、あいつらは悪人です、で済ませて切り離してはいかんのよね。(それが“関心領域”だよね。)彼らを自分に連なるものとして、自分にもああいう成分がないか、と考えることが必要。アウシュビッツ博物館の映像、しかも、そのスタッフが仕事として(平気で)ガラス拭きをしている場面をわざわざ差し込んだのはそういうことでしょう。/普通の人々の戦争加担みたいなことで言ったら、『この世界の片隅に』には叶わないと思った。

ouosou