「気になる映画で、2回鑑賞」首 mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
気になる映画で、2回鑑賞
オープニングから、2~30分は、これは傑作になるかも。と思ったけど…
話はそこそこ面白いのかな~?ウ~ン違うか。
カメラが良くなかったのかな?そうでもないか。
演技が即興的なのが、軽く見えるのが良くないのかな?わからない。
全体的に切れが悪い。昔のタケシ映画はキレこそ命だったのに。
キレってなんだ?カット割か、撮り方か、なんだろう。
って悩んでしまった。
正直言ってそんなに面白くなかった。
それで3日後に2度目の鑑賞。2度目は、楽しく観られた!
アクションシーンは見応えはあり!モブシーン(合戦シーン)も最初は緻密。後半は、ちょっとグダグダ。
でも、当時はこうであろうと、たけし自身が考えた設定は、かなり作り込みされて素晴らしい。
秀吉の有名な「中国大返し」は、まるでマラソン大会。沿道に炊き出しが出て振る舞っている。なるほど~!そうかも~!
イクサで遠征する時は、ちゃんと遊女のグループ(慰安所)が付いてくる。演芸系も。
まるで遊牧民のように生活基盤がまとまって移動する。
百姓が侍になりたがったり(百姓役の中村獅童が汚くて名演!)、忍び崩れや忍びが蔓延っている。その中で優秀な忍び崩れに木村拓一が演じている。カッコいい!
千利休がまるでCIA機関のような情報屋だったり。
あとはBLが武士のたしなみで、信長は片思いの明智光秀が我が物にならずにイライラして光秀につらく当たったり。饒舌なほどのたけし流の設定が横溢して楽しいし、なるほどと思う。で、秀吉は、百姓の出だったから、BLに走らない。なるほど~。
ということで、たけしは「どうだ、この考えは」と自慢げなところが、たけしの今の限界。余裕というか、ほどほど感がある。
初期の頃は、人と違うことを(人と考えのズレを)、どこかシャイにこんなのってどう?って感じで、それが、誰も観た事のない映像になっていた。突き抜けていた。
それが今では自慢げな披露にしか見えない。
そこがつまらない原因なのかな。
と大雑把に分析すればそうなるが、一番弱かったところはシナリオだったと思う。
核になる信長の秘密が(これが本能寺の変の発端になる)、ちょっと安易で、信長の本心か誰も疑いもなく進むのが???
むしろそれ自体が秀吉の嘘だったら面白かったのに。
映像自体はすごいし、ストーリーの構成は、着眼点は素晴らしいけど、土台の設定が弱かった。
それと撮影監督が変わったことも大きかったかも。素晴らしい撮影だったけど、たけしの映画、綺麗に映ることがいいわけでない、見えなかったり、暗かったり、見せなかったりすることで洗練されるのに、説明的な綺麗な映像がマイナスに作用したと思う。