こいびとのみつけかたのレビュー・感想・評価
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優しすぎる温室世界に風は吹かない
前田弘二監督の前作「まともじゃないのは君も一緒」(2021)が成田凌・清原果耶のダブル主演だったのと比べると、「こいびとのみつけかた」の倉悠貴・芋生悠のマイナー感は否めない。キャストのみならず撮影にもさほど予算がかけられなかったか、没個性な町での2人の関わりを淡々と追う映像が続く。 世間にうまく馴染めなかったり、身近な人々との関係に疲れたりして心に孤独や渇きを抱える男女が出会い、互いにかけがえのない存在になっていく……といった話にさして目新しさはないが、2人を温かく見守る周囲の大人たちの存在も含め、ほのぼのとした雰囲気とストーリー運びに癒される層もいるだろう。温室のような、ぬるま湯のようなひたすら優しい世界観。落ち葉を並べて相手を誘導しようとするくだりで、風が吹いて飛ばされてしまえば面白いのに、などと期待する優しくない私はそもそもこの映画にお呼びでないのかも。 あと細かい点で、もしかするとオンライン試写版だけの問題かもしれないが、倉悠貴演じるトワがキーボード弾き語りをするシーンで、左手と右手で交互に弾くイントロ部分の映像と音がずれていて気持ち悪かった(自室の再生環境のせいで遅延が生じたのかとあせったものの、歌い出しの部分では合っていた)。劇場公開版では修正されているといいのだが。
成田凌に救われただけの映画
ストーリー全体を通して、非常につまらなかった。 ただ、園子の夫扮する成田凌にだけ心が救われるだけの映画だった。 だらだらと99分間も観てしまった感が否めない。 「まともじゃないのは君も一緒」が大変な良作だった為、期待して観たものの結果は大ハズレ。 エンディングで倉悠貴が演奏しながら歌う歌詞もイマイチ分からないし、登場人物達の関係性も全く良く分からないままだった。 これから観ようとしている人、絶対にがっかりするので観ないことを薦めます。
おじさんのともだち
「まともじゃないのは君も一緒」が大傑作だったあまりに、比較対象となって評価が二極化しているけれど、これはこれですごく愛おしい。かなり小規模になったけど、熱量は変わらず。世の中に馴染めない普通とはちょっとかけ離れた2人が織り成す、へんてこなラブストーリー。どんどん作って欲しいな〜。 まとも…では女性にスポットを当てていたが、本作では男性が主人公。冒頭10秒でまともじゃないやつの登場。帰ってきた感じがして、既にニヤニヤ。成田凌の次はかなりハードルが高かったろうけど、流石に超えはしないものの、印象がガラッと変わる最高の演技。倉悠貴あっての映画だったと思う。いやぁ、にしてもこの監督のこの枠、めちゃくちゃ難しいし、演じれる俳優限られているだろうな笑 そんな中で見事に愛おしいキャラに仕上げたの、素晴らしいな。芋生悠との相性も抜群に良かったです。 ストーリー展開は前作の焼き直しのように思えちゃったし、劇的な山場がある訳では無いので、それほど見応えは無い。ちょくちょく笑える、良くも悪くもミニシアターらしい映画。宇野祥平が出ていれば、それだけできちんとまとまります。川瀬陽太と奥野瑛太の強面コンビも、独特な色に染ってすごく可愛らしくなる。主人公のことを全面で受け止めてあげているところが、とてもホッコリします。どんなことがあろうとも、この人たちは裏切らない。そんな安心感って、人を強くするよね。 ラストは悪くは無いけど、いまいちインパクトがないというか。全体的にもうひと超えだったかな。それでも、主人公・トワと園子の間で流れる独特な空気感がたまらなくて、ドキドキしたり、ワクワクしたり、青春を取り戻した気分になれるいい作品でした。植木屋じゃなかったら、どうしてたんだろうね。
変わり者の定義。
これはメロドラマでもラブロマンスでもなくれっきとしたダークファンタジーです。いや、なかなか怖かったわ。終始ただの変わり者で済まないような展開でけっこうゾッとしました。 コンビニ店員の園子に片思い中の植木屋トワ。二人の距離が縮まる程にダークな世界が濃くなってゆく。二人ともどこ住んでんねん、交遊関係どうなってんねん、なんか歌怖いーってツッコミどころ満載です。 めちゃくちゃ豪華な俳優陣でその点では贅沢な時間でした。奥野瑛太、川瀬陽太、宇野祥平揃い踏みはエグい。でも一番エグかったのはやっぱ窓ぶち破ったってとこかな。いくらなんでもこの時点で警察呼んだ方が身の為なんだわ。
地獄への道は善意で舗装されているのね
これは意外に奥が深いかも。 悪意・邪気の無さは独善性・無神経と紙一重、場合によりイコールで人を不幸にする(あの夫婦が破綻するのは明らかだろう)と、稚拙な歌を執拗に押し付けてくるラストシーンで納得した。
主演二人が素晴らしく、脚本が秀逸
冒頭のメロドラマ宣言から始まり、どこがメロドラマなのか、むしろほのぼのコメディじゃないかと思いながら観ていると、中盤から一気に変わる。 見事にメロドラマだった。脚本が秀逸。 恋とも友達とも違う、なんと呼んだらいいか分からない二人だけの関係に涙した。 倉悠貴と芋生悠が素晴らしい。
笑える会話が多めのホノボノ系のメロドラマ。 本年度ベスト!
何も考えず、まったりした感じで鑑賞出来る緩い感じの作品。 芋生悠さん目当て。 今まで観た彼女の作品やCMで一番美しく見えた感じ(笑) コンビニで働く上尾園子。 植木屋で働く大島トワ。 この2人の緩い感じのメロドラマ。 植木屋で働くトワが園子を恋い焦がれ、落ち葉を道に並べ園子を誘い出し仲良くなって行くストーリー。 私服で働くトワに違和感あり(笑) バイトなの? 疑問が残ります(笑) 笑える会話が満載で終始ホッコリとする感じ。 二人は付き合うと言う感じでも無いけどお似合いの二人。 周りを固める植木職人や床屋のオッサン達の会話も面白くて笑える。 トワを演じる倉悠貴さん。 時事ネタを連発する長セリフが凄い! しかも走りながら(笑) メイキング映像が見たくなる。 ホッコリする物語の中、成田凌さんの登場から雰囲気が一変。 今までのホッコリ感が一気に吹き飛んで先の展開が気になる(笑) と、思いきやホッコリ感が違和感無く継続するから不思議(笑) 芋生悠さんや倉悠貴が予想外に歌が上手! 園子がトワにプレゼントをしようとするシーンのボケに大爆笑!! 道に並べた落ち葉。 風で吹き飛ばされないのか? かなり心配になりました( ´∀`)
気になる監督なので遠征
「まともじゃないのは君も一緒」がとても面白かったので観てみたいと思いましたが、、、、公開映画館が少なすぎて遠征です。 前日まで悩みましたが、東京都の海鮮キャッシュバックキャンペーンもあるので、まとめて遠征しました。 前半は「まとも、、」と同じような、とても個性的で面白いキャラクターの会話劇という感じ。 館内で声が漏れるくらい笑いが置きました。 芋生さんのフワッとしたキャラも良かったです。 ただ、今はこれは障害の名前が付くやつですね。ホンワカはしますが、笑って良いのかちょっと微妙。住みにくい世の中です。 後半どうなるのか、、、このままだとちょっと退屈なのかと思ってたら、ちゃんと展開して最後まで楽しめました。 「まとも、、、」の良さもありつつ、最後はあれでいいのか?とちょっと変な終わり方でした。
拒絶→受け止める→受け入れる
世間になじめない変わりもの同士の男女が織りなす恋を描いたラブストーリー。 世の中の大多数(と思われる)人に馴染めない人っていますよね。 主人公の杜和くんもそんなタイプです。そんな杜和くんを拒絶する仕事の先輩、受け止める園子さん、受け入れる床屋に集う人たち。 人それぞれに生きてきた環境があり、今の思いがあり、拒絶する人の気持ちも分かる。拒絶した方が自分にストレスがかからないから。 (ちなみに仕事の先輩は、拒絶→受け止めるようになります) 自分も始めは杜和くんを拒絶していたけど、杜和くんの過去が分かるにつれて受け止められるようになった。 でも、杜和くんを受け入れられるだろうか? もし、杜和くんのような人を受け入れられる世の中だとしたら、みんなが幸せに暮らしていけると思わせてくれる映画です。
とても必要なこと
『まともじゃないのは君もいっしょ』は私にとって御守りにして常に持ち歩きたい映画です。 いろんな存在がいることで世界は絶妙なバランスを保っている。 誰もがそのまま世界の一部であって、この世に居なくても良い存在なんて1人もいない…そんな風に思わせてくれる映画でした。 なので、前田弘二監督×高田亮さん脚本コンビの新作『こいびとのみつけかた』にも相当期待していましたが まさかここまでパンチの効いた内容だったとは!! 舞台挨拶で監督が「いま撮らなきゃダメだな」と思って「どうしても撮りたい」とプロデューサーに頭を下げた。とおっしゃってましたが、 理不尽なことがいっぱいの世の中で、それでも生きていく為に必要なことが詰まった映画でした。 白雪姫と7人の小人ならぬ、7人のおっさんが最高! いつもワチャワチャ賑やかで、笑い合ったり喧嘩したり。 決して自分たちも楽ではないだろうに、絶妙な距離感でトワを見守っている。 このご近所コミュニティがトワのシェルターであり、社会との接点でもある。 河屋秀俊さんがいるだけで『れいこいるか』の下町の雰囲気を彷彿とさせる。 前田組常連の宇野祥平さんも嬉しい。 誰しも生きるのがしんどいことがある。 故キャリー・フィッシャーの言葉「ブロークン・ハート(傷ついた心)を持って、それをアートに変えていこう」 歌う、踊る、書く(描く)、作る、などの自己表現は、自分自身と向き合い、心を開放してくれる。 現実とのバランスを取る為に、創作が必要不可欠な人もいる。 逆に、しばし現実逃避する時間を持つことで社会と折り合いをつける人もいるだろう。(映画鑑賞とかも) 表現する人がいて、それを受け止める人がいて、お互いを救い合っている。 クライマックスの心の交流が、とてもとても素敵でした。 「好きな人がいる」も生きていくうえでとても大事なこと。 どうしようもなく人を好きになる気持ちは止められないし、それ自体は決して罪ではない。その気持ちが生きる糧となり、世界が色づく。 「男」だとか「女」だとか、「夫婦」だとか「友達」だとかでカテゴリー分けすることなく“恋しいと思う人”と過ごす大切な時間。 うわべだけで騒ぎ立てるSNSやメディアのあり方にも一石を投じる映画だと感じました。 ゆる〜く可愛いけど骨太!
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