「Oblate」こいびとのみつけかた ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Oblate
「まともじゃないのは君も一緒」の世界観がたまらなく大好きで、その監督・脚本家が再びタッグを組んで新作を作るなんて言われたらそりゃ観に行かなきゃなって感じで鑑賞。
序盤からあれ?って感じで進んでいき、確かに感じた違和感が本物になった瞬間から全てキツかったです。自分が苦手なものが盛りに盛り込まれており、全体的に痛い話に仕上がっていました。
まず主人公の杜和が受け入れられませんでした。予告をあまり見てなかったので、世間に馴染めないってのは思ったように言葉が発せないとか考えがうまく伝えられないといった人見知りレベルかと思っていたんですが、その逆で思ったことはバンバン口に出すし、自分の思想はバンバン人に押し付けるし、妄想癖が酷いってレベルじゃないし、常に被害者面してふんぞり返っていたのでずっとイライラさせられました。
劇中では明言されていませんでしたが、杜和は発達障害持ちで思った事をパッと口に出すくらいには我慢ができないというのは納得いくんですが、ブルーシート小屋で生活しているとか園子の小屋の窓を割っての不法侵入と普通に犯罪をしているところはもうそういうラインを超えてしまっているのでなぁなぁで済ませてはいけないだろうと思いました。
園子もかなーり問題があって、杜和を受け入れれるほどちょっと変という感じならまだしも友人達(こちらサイドも口は悪い)に対して攻撃性はかなりありますし、何より旦那を置いて1人物置小屋で生活し、杜和とはそういう関係ではないと言いつつも、側から見れば不倫同然ですから何も言い逃れはできないなと思いました。
もちろん死産という辛い経験で悲しんでる姿を旦那に見せたくなくて少し離れた場所にいたというのはまだ理解できるんですが、その要素が物語に必要かと聞かれると全く必要無いと思います。
それを見守る人たちも基本的には笑ってニコニコしているだけなので、たまに喝を入れる人も出てくるけれど、それに対しては反抗して杜和は自分の非を認めようとしませんし、なんなら妄想の中で殺したり、実際に殺すかもしれないといった狂気的な考えに移行しているのに、周りはなぜか認めなくちゃいけない、杜和の自由を阻害してはいけないみたいな雰囲気になっているのがもうありえないよと思いました。
歌のパートも無駄に長いし、伝えたいメッセージも非常に自己中な内容だし、それが伝わらない奴は全て悪みたいなのが非常に腹が立ちました。
芋生さんはまだしも、倉さんの歌が絶望的に下手すぎて…。もちろん不慣れ&歌が上手ではないんだと思いますし、数ヶ月でどうにかなるもんではないので致し方ないにしても5分近く聞かされるとほんと頭がおかしくなります。抑揚の付け方だったらビブラートだったりを気持ち悪いタイミングで盛り込んでくるのでその度に鳥肌が立ちました。
こういう歌が下手な人の事も下手と言ってはいけない風潮みたいなもんでもあるんですかね。全員笑って拍手してたのはもうファンタジーですし、誰か1人くらい茶々入れてもよかったのにそれも無し。下手なもんは下手です。
キャラクターに個性が無いのも致命的で、全体的に主人公2人以外は少し色が付いたくらいの印象でしかなく、しかもそれは2人を肯定するための要員としてしか役立っていないのもなんだかなぁってなりました。
全体的なロケ地の変化の無さも気になって、予算がないならそれなりに作品を練ったものに仕上げれたんじゃないかと思いましたがそうではなく優しい世界の構築に全部持っていったのかと勿体無いなと思いました。
序盤から怪しい雰囲気を感じ、どこかで挽回があると思いきやズルズル悪い方向へ…。今年観た中でもかなり下の方に位置付けてしまいました。監督の息抜きになればという考えはとても良いなと思いましたが、この後もう一本見ようと考えてたのにそれを断念するくらいには頭が疲れたので息抜きはできませんでした。
鑑賞日 10/28
鑑賞時間 18:40〜20:25
座席 C-1