アステロイド・シティのレビュー・感想・評価
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初ウェス・アンダーソン。
若くして話題作を次々と世に送り出してきた天才監督と巷で評判のウェス・アンダーソン。なかなか彼の作品を観れず今回初めて配信にて鑑賞。
難解というより、意図的に観る者の感情移入を拒むような、作品世界に没頭することを拒むよう作られた作品。
米ソ冷戦下での核開発競争など50年代のアメリカを舞台にしながら明確なメッセージをくみ取ることも難しい。
正直見てる途中から理解しようとすることが馬鹿らしくなる。つい先日鑑賞した「去年、マリエンバートで」の方がまだ見やすいと思えるくらい、観る者が理解しようとすればするほど突き放されて観ていて苦痛になる作品。
観る者に簡単には理解されたくないという作り手の意図が多々感じられる作品は古今東西多い。「2001年宇宙の旅」のようにあえて説明を排除した作品から、「8か2/1」のような私的な作品まで。
本作は後者の私的作品にあたる作品だと思う。ウェスは両親とも若くして失っており、彼の作品ではその喪失感が常に描かれてきたらしい。
自分の私的感情を他者に容易に理解されたくないという思いが込められているのか。しかしそうだとすると観客は本作をどう楽しめばいいのだろう。
ウェスらしい映像はふんだんに盛り込まれてはいるが、やはり映画自体は全く楽しめなかった。
初ウェスだったが、ちょっと作品の選択を間違えてしまったか。
上映期間の最後に観ることができた
「グランド・ブダペスト・ホテル」に魅せられて、今度の映画も観たが、いつものメンバーが、たくさん出てきた。私の好みは、やはりジェイク・ライアンか。難解というが、そうでもない。
舞台は1950年代で、新たなお芝居(実際には映画)の紹介仕立て。最初に、公演される芝居(映画)を紹介するテレビ番組がモノクロで流れるが、楽屋風景を含み何度でも戻ってくる。幕が上がると、スペインの荒地にセットを組んで撮影された映画がカラーで出てくる。
映画のストーリーは、全くありえない話ではないが、まずは虚構。それに対し、楽屋の話は、演出や俳優の実際の姿を伝える。ちょうど、「グランド・ブダペスト・ホテル」で、ボーイたちが客の真実を知っていたのと同じか。
この映画でしか、味わうことができなかったことが、二つある。いずれも、モノクロで出てきた楽屋の部分。
一つは、話の後半で、映画の主人公オーギー役のホールは、出演していた劇場のバルコニーに出てタバコを吸っている時、映画の中では、闘病の末、亡くなってしまう妻役の女優と遭遇する。彼女は、もし映画に出ていたら、言うはずだった脚本のセリフを述べた。大都市の裏町を思わせた、この場面には情感が満ちており、最もrealityがあった。
もう一つは、終盤に近く、やはり常連のエドワード・ノートンの扮する映画の劇作家コンラッド・アープが苦悩を訴えると、それを聞いていた俳優たちが、次々と「起きたいなら眠れ(日本語字幕」(You can’t wake up if you don’t fall asleep)と唱和したのだ。私は、この場面で一番心が震えたが「起きることができない眠り」が、対比されているのではないかと思った。大変、驚いたことには、コンラッド・アープは(劇中だが)この6ヶ月後、自動車事故で亡くなるのだ。
この二つのエピソードに気づいてから、映画の表面上の流れは、エイリアンとの出会いにあり、その中心の一つは、ジェイク・ライアンの扮するオードリーの長男、ウッドロウだが、もう一つの流れであるオーギーの妻の病死と、オーギーの3人の娘、トム・ハンクスの扮する義父との関わりの背景が見えてくる。一見、虚構に満ちている映画部分の背景に、realityを持つ楽屋風景がある。それ以外にも、幾つもの伏線が用意されていて、オードリーとスカーレット・ヨハンソンの扮する女優ミッジとの関わりは、その一つである。
ここだけ取り上げても、いかにウェス・アンダーソン監督が考えて脚本を書き、監督しているのかが判る。時間がある限り、多くの皆さんに、この数々の優れた道具立てを楽しんでほしい。
十全に楽しむなら予備知識が必須だがわからないことも面白い
狂気!
アステロイドシティという“裂け目”に墜落した隕石。その大きなクレーターが不気味な口を開け、終始不穏なイメージがまとわりつく。
アメリカの東部の都市と西部の砂漠、テレビと演劇、夢の舞台と舞台裏、大人と子ども、豊かな生活と核の恐怖、女優とシングルマザー、宇宙開発の科学とロマン、未知との遭遇と軍の隠蔽、原住民と白人などなど、それはもう“裂け目”のてんこ盛り。
複数のアクターの視点によってつくられるネットワークにおいて主体は切り離されている。まるで夢の中のよう。凝りに凝った映像と手法で、この夢のような裂け目の世界に誘い込むのは何故だろうと、不思議な気分に浸っていると頭をガツンと殴られた。
全シーンがカットされた妻役のマーゴットロビーとの対面のシーンだ。
それまでの風ひとつ吹かない荒野から一変、雪の舞うNYのバルコニーで、彼は亡くなった妻からのメッセージを受け取ることができた。
リアルと虚構が補完し合い、信じられないほど美しかった。
最後の裂け目は「眠りと目覚め」だった。それぞれの事物が主体を持たない虚構(夢)の中で、言葉という主体性がグッと立ち上がること。それが目覚めであり物語や芸術の本質だ。
あらゆる要素を精度高くまとめあげる手腕はまさに狂気じみた芸術だった。
実写にこだわったアンダーソン監督だからこそ醸し出せる要素が詰まった一作
単純に鮮やか、と言っちゃうとちょっと違うような、美しい空の青が印象的な本作。あえて遠近感や立体感が目立たないように、平面的かつ左右対称の画面構成を基調とした映像と独特の色使いは、まさにウェス・アンダーソン監督作品。
物語の少なくとも表面的な筋は不思議ではあっても決して難解なものではなく、アステロイド・シティに集う人々が宇宙人の到来によって右往左往する様を描いていきます。とはいえやはりアンダーソン監督作品の最大の魅力は、個々の個性的、かつ魅力的な登場人物同士が展開する、ちょっと奇妙な交流の描写にあると言っても過言ではありません(もちろん本作においても、冷戦期という時代背景に基づいた様々な要素が盛り込まれているなど、いくらでも深掘りする要素があるわけですが)。
ジェイソン・シュワルツマンとスカーレット・ヨハンソンをはじめとした俳優陣は、アンダーソン監督世界の住人として、これ以上ないほどの演技力と魅力を発揮しています。
これほど大掛かりかつ人工的な美術であれば、CGを全面的あるいは部分的に用いているのだろうと思いきや、監督はあくまでも実際のセットとフィルム撮影にこだわったとのこと。本作のテーマカラーとも言える、極めて印象的な空もまた、現実の描写だということに驚き(撮影時にカラーフィルターを付けるくらいのことはしただろうけど)。
監督のファンはもちろんのこと、ウェス・アンダーソン監督作品が初めての人でも、そのちょっと不思議な作風を楽しむには最適な作品です。
いやあ、わからんかったあ!!
面白いだけが映画じゃない。
今回のはまだ、普通に楽しめるのでは
前作は話題になった割には、内容についてあとで、沸き立った声聞かなかったが。
今回、たまたまなのか妙に空いてた。
広告の量のせいなのかなあ。
普通にストーリーもキャラも楽しめる。
場面も絵的に見て楽しいし。
入れ子構造とか、今までの映画でもあったパターンの繰り返しとか、
たんたんとした会話や、力の抜けた表情など、登場人物の関係性とか、
何度もこの監督の作品見てる人なら全く疑問もなく見れそう。
こだわりあることを何度も違う形で見せてきてるようだが、
これから先変化していくのかなあ。
トム・ハンクスがいつもと目の色が違うのが違和感あって、印象に残った。
どの俳優も、この監督作の中ではこの監督の手の中って感じになるのがすごい。
見た後、余韻となる、場面や、言葉がある。
絵、世界観が好き
地味に豪華
唯一無二の世界観構築のプロ!
そもそも難解だし、英語の台詞量が半端なく早口で多いので、日本語字幕の情報量だけでは不十分になってしまう。英語使いの方はぜひ字幕だけを追わず、原語の中身に集中してみた方がいい。楽しさが倍増する。
何はともあれ、このぶっ飛んだ題材・ストーリー・構成に、ユーモアをちょーど良いあんばいで乗っけて、めちゃくちゃオシャレにギリギリでダサくなく仕上げきってしまうウェス・アンダーソンは本当に天才。初見の際は徹夜明けで見たせいで途中寝てしまったため、再度見に行ったが、2回目、改めてその世界観構築のプロフェッショナルぶりに感銘を受けた。もう、理屈じゃなく「これ好き!」って気持ちにさせられてしまう。
上の方から「アレ」が登場するシーンは、映画史に残る名場面と言って良いのではないか。
音楽も最高。
難解なので、鑑賞後、ネットにたくさん上がってる解説動画を見がいがある作品。
理解が追いつかないまま…
外側(モノクロ)と内側(カラー)で分かれているから
物語が余計ややこしいし、境界線が曖昧なので
理解が追いつかない、、、
物語を見る上で重要な登場人物の感情が分かりにくい、だから引き込まれない、観客は置いていかれる
映画の演出や表現を楽しむというのもあるけど
正直映画館でみるほどではないかな、、と、、
毎度おなじみの…
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