アステロイド・シティのレビュー・感想・評価
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十全に楽しむなら予備知識が必須だがわからないことも面白い
『欲望という名の電車』が好きだからテネシー・ウィリアムズへのオマージュというか題材にとってるのがとにかく楽しすぎた。
暗喩が多用された組子構造になってることもあり、正直よく分からない部分も多いし難しかった。でもパフォーマンスアクトの取り込み方が秀逸だったし、『欲望という名の電車』関連だからだけど恩田陸の『チョコレート・コスモス』(小説)の作中劇と構造が近しいといえなくもないなと思うなどした。
狂気!
アステロイドシティという“裂け目”に墜落した隕石。その大きなクレーターが不気味な口を開け、終始不穏なイメージがまとわりつく。
アメリカの東部の都市と西部の砂漠、テレビと演劇、夢の舞台と舞台裏、大人と子ども、豊かな生活と核の恐怖、女優とシングルマザー、宇宙開発の科学とロマン、未知との遭遇と軍の隠蔽、原住民と白人などなど、それはもう“裂け目”のてんこ盛り。
複数のアクターの視点によってつくられるネットワークにおいて主体は切り離されている。まるで夢の中のよう。凝りに凝った映像と手法で、この夢のような裂け目の世界に誘い込むのは何故だろうと、不思議な気分に浸っていると頭をガツンと殴られた。
全シーンがカットされた妻役のマーゴットロビーとの対面のシーンだ。
それまでの風ひとつ吹かない荒野から一変、雪の舞うNYのバルコニーで、彼は亡くなった妻からのメッセージを受け取ることができた。
リアルと虚構が補完し合い、信じられないほど美しかった。
最後の裂け目は「眠りと目覚め」だった。それぞれの事物が主体を持たない虚構(夢)の中で、言葉という主体性がグッと立ち上がること。それが目覚めであり物語や芸術の本質だ。
あらゆる要素を精度高くまとめあげる手腕はまさに狂気じみた芸術だった。
実写にこだわったアンダーソン監督だからこそ醸し出せる要素が詰まった一作
単純に鮮やか、と言っちゃうとちょっと違うような、美しい空の青が印象的な本作。あえて遠近感や立体感が目立たないように、平面的かつ左右対称の画面構成を基調とした映像と独特の色使いは、まさにウェス・アンダーソン監督作品。
物語の少なくとも表面的な筋は不思議ではあっても決して難解なものではなく、アステロイド・シティに集う人々が宇宙人の到来によって右往左往する様を描いていきます。とはいえやはりアンダーソン監督作品の最大の魅力は、個々の個性的、かつ魅力的な登場人物同士が展開する、ちょっと奇妙な交流の描写にあると言っても過言ではありません(もちろん本作においても、冷戦期という時代背景に基づいた様々な要素が盛り込まれているなど、いくらでも深掘りする要素があるわけですが)。
ジェイソン・シュワルツマンとスカーレット・ヨハンソンをはじめとした俳優陣は、アンダーソン監督世界の住人として、これ以上ないほどの演技力と魅力を発揮しています。
これほど大掛かりかつ人工的な美術であれば、CGを全面的あるいは部分的に用いているのだろうと思いきや、監督はあくまでも実際のセットとフィルム撮影にこだわったとのこと。本作のテーマカラーとも言える、極めて印象的な空もまた、現実の描写だということに驚き(撮影時にカラーフィルターを付けるくらいのことはしただろうけど)。
監督のファンはもちろんのこと、ウェス・アンダーソン監督作品が初めての人でも、そのちょっと不思議な作風を楽しむには最適な作品です。
いやあ、わからんかったあ!!
PARCO配給なので、それなりに覚悟はして行ったんです。しかし、それを大幅に上回るわからなさぶり!久しぶりに、ぶち当たりました!
「砂漠の小さな町アステロイドシティで開かれる、子供発明コンテストに集まり宇宙人に出会う人たちの話」という舞台劇をTVドラマとして制作する人たちの話。
ということがわかったのが精一杯で、他にコメントできることはありません!! という、俺にとっては痛快わからなかった映画でした! 6割寝ちゃって、お恥ずかしい限りです!
みんな、よかったら、教えてね!
面白いだけが映画じゃない。
兎に角、美しかった。目に見えるもの全てが、デザインされていた様に思える。眼福でした。
ストーリーに関しては、あんまり良く分からなかったけど、ウェスアンダーソンの世界観はしっかり伝わったので、監督や脚本家のファンならお勧めできる作品かと思います。
今回のはまだ、普通に楽しめるのでは
前作は話題になった割には、内容についてあとで、沸き立った声聞かなかったが。
今回、たまたまなのか妙に空いてた。
広告の量のせいなのかなあ。
普通にストーリーもキャラも楽しめる。
場面も絵的に見て楽しいし。
入れ子構造とか、今までの映画でもあったパターンの繰り返しとか、
たんたんとした会話や、力の抜けた表情など、登場人物の関係性とか、
何度もこの監督の作品見てる人なら全く疑問もなく見れそう。
こだわりあることを何度も違う形で見せてきてるようだが、
これから先変化していくのかなあ。
トム・ハンクスがいつもと目の色が違うのが違和感あって、印象に残った。
どの俳優も、この監督作の中ではこの監督の手の中って感じになるのがすごい。
見た後、余韻となる、場面や、言葉がある。
絵、世界観が好き
本当にヘンテコなわかりにくい映画だけど、ひとつひとつのカットの構図も色も好きで、飽きずに観ていられる。わかりにくくてもぜんぜんいいの!ウエスアンダーソンに詳しい人の蘊蓄を聴くのも楽しい^_^ それも込みで楽しむ作品。
地味に豪華
オープニングのトム・ハンクスに始まり、ヨハンソンにティルダ・スウィントン、ウィレム・デフォー、そして最後にマーゴット!豪華キャストが止まらない、けれども小規模上映。そんな中で、作家や役者の苦悩がさりげなく描かれている、意欲的で斬新な作品。豪華キャストも頷けてしまう。
唯一無二の世界観構築のプロ!
そもそも難解だし、英語の台詞量が半端なく早口で多いので、日本語字幕の情報量だけでは不十分になってしまう。英語使いの方はぜひ字幕だけを追わず、原語の中身に集中してみた方がいい。楽しさが倍増する。
何はともあれ、このぶっ飛んだ題材・ストーリー・構成に、ユーモアをちょーど良いあんばいで乗っけて、めちゃくちゃオシャレにギリギリでダサくなく仕上げきってしまうウェス・アンダーソンは本当に天才。初見の際は徹夜明けで見たせいで途中寝てしまったため、再度見に行ったが、2回目、改めてその世界観構築のプロフェッショナルぶりに感銘を受けた。もう、理屈じゃなく「これ好き!」って気持ちにさせられてしまう。
上の方から「アレ」が登場するシーンは、映画史に残る名場面と言って良いのではないか。
音楽も最高。
難解なので、鑑賞後、ネットにたくさん上がってる解説動画を見がいがある作品。
宇宙人をもっと観たかった
砂漠の街で宇宙人と遭遇する人々の騒動を描いたコメディ。舞台劇のような独特の世界観が見どころでしょうか。宇宙人の登場シーンがもっとあるかと思っていましたが少なくて非常に残念。
2023-147
理解が追いつかないまま…
外側(モノクロ)と内側(カラー)で分かれているから
物語が余計ややこしいし、境界線が曖昧なので
理解が追いつかない、、、
物語を見る上で重要な登場人物の感情が分かりにくい、だから引き込まれない、観客は置いていかれる
映画の演出や表現を楽しむというのもあるけど
正直映画館でみるほどではないかな、、と、、
毎度おなじみの…
シンメトリーでパステルカラー、そんなウェス・アンダーソン監督の世界は嫌いではないが、さすがに毎度このパターンではもう食傷気味かな?
漫画チックな動きやストーリー展開もしっかりとした脚本で構成されなければ、ただのおバカ映画になってしまうと言うことを今作で露呈してしまった。
奇妙な体験ができるのも映画の醍醐味
「グランド・ブダペスト・ホテル」などで魅せる独特の美学が好きなウェス・アンダーソン監督の新作!
1955年のアメリカ西部で、隕石落下でできた巨大なクレーターが観光名所になっている変な街。そこに天才少年少女と親たちが集まって来るという舞台。それを制作するスタジオ内でのメイキングがシンメトリーに描かれるから、何が現実なのかわからなくなる。そこが面白い。そしてある出来事から物語はめちゃくちゃな方向に(笑)
監督を慕うキャストが凄すぎる。スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、マーゴット・ロビー、エドワード・ノートン、ウィレム・デフォーなどが、楽しんで演じてて良き。大好きなマット・ディロンが変な役で出てて、もうサイコー。
不思議な出来事やジオラマを俯瞰で観て、奇妙な体験ができるのも映画の醍醐味。なかなか出会えない良作です。
不穏なのにポップな町の風景はよかったが…
ウェス・アンダーソン監督作品はあまり慣れていない。前作の「フレンチ・ディスパッチ」とデビッド・ボウイカバーのサントラ先行で観た「ライフ・アクアティック」くらいか。考えてみたらあまり響いていない。
本作は、宇宙人が到来した町の混乱を描いた作品だから少し期待してしまった。でも、舞台劇をスクリーンで見せるかのような演出。全体的に平面でポップで派手な色合いの舞台設定。科学賞を受賞した少年少女の家族たちが集まった町ということで話も群像劇っぽい。
近くで核実験が行われ、車での銃撃戦が頻繁に起こり、科学賞が軍事利用するためのものだったりする。さらには宇宙人の到来に対するマニュアルも敵国との絡みを重視する。冷戦真っ只中のアメリカを皮肉るかのような描写が印象的だった。いや、ここから何かを感じ取れればよかったんだけど。結局その不思議な世界観に飲まれたまではよかったが、今一つ響かなかった。シュールすぎるんだよな。好みの雰囲気は十分あるのに。
町に生息する不思議な鳥も何かを示唆しているのかも?と思ったが何も感じ取れなかった。あの踊りがかわいかったなって程度。映画好きの猛者たちはこの映画から何かを感じ取ってるんだろうか?
でももうウェス・アンダーソン作品は観まい!と思うこともできない。また、挑戦する日が来るのだろう。
難しいことは分からなくとも
安定に、アートでシュールな独特の世界観。
好きな人は好き、ハマらない人にはとことんハマらないんだろんなと思います。
カラフルでドリーミーな劇中劇の世界はただただ目の保養。
所々に散りばめられたクスッと笑えるシュールさやダークなユーモア。
他のWA作品にも共通するかもしれませんが、子供達の無垢な純粋さに触れて、こちらまでほんの少しピュアな心を取り戻した気分になる。
うまく説明できませんが、観終わった後はなんだか温かい気持ちになりました。
ただ劇中劇の設定にはだいぶ混乱させられますね。
特にミッジ(スカーレット ヨハンソン)は劇中劇の登場人物の1人ですが、彼女の職業は女優で劇中劇の中でセリフの練習をしてたりするので、設定を理解するまでは頭フル回転で観てました。笑
揶揄されているものなど難しいことは分かりませんが、WAの世界をたっぷり楽しめたのでそれだけでとりあえずは十分!
それと個人的に、「アステロイド・シティ」は映画館で観て良かったなと思える作品でした。
何より大好きなWA作品の世界に浸れるし、あと、私だけですかね?作中でアステロイドシティの人たちが「・・・」を見ようと空を見上げている時にUFOが現れるシーン。映画館の観客みんなで次に何が起こるのかドキドキしながら見守ってる感じ、そして宇宙人のあのシーンで小さめの笑いが起こる感じに、“映画館で映画を観る"ことの良さを改めて感じました。
知らない人同士だけど、1つのスクリーンで1つの作品を一緒に楽しんでいる一体感のような。
なんか嬉しかったのでレビューを書いてみました。
素敵な時間をありがとうWes Anderson、な作品でした。
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