劇場公開日 2023年4月14日

「むむ。田山花袋の「布団」の世界ですな。」若き仕立屋の恋 Long version きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0むむ。田山花袋の「布団」の世界ですな。

2023年9月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

・・・・・・・・・・・・・

仕立てたドレスに指を這わせて、妄想と、イメージの”性行為“に耽る(ふける)一人の青年。
娼婦として他の男たちに抱かれ続ける彼女のために、まだだれも袖を通さず、まだ誰のものでもないまっさらなドレスを彼女のためにおろして
処女のシルクの上からチャンは初めてのホアを抱くんでしょう。

「ちまき」は、「無垢な子供時代」の象徴と思われます。
もう戻れない過去の自分を懐かしく思いながらも、二人で ちまきを愛欲の様相でむしゃぶりつく映像は、胸がチクっと痛みますね。
これってプラトニック?
でも吉行淳之介は言いました
― 向かい合って食事をする男女に肉体関係がないはずはない。
ちまきの皮を剥いてゆく・・あそこはエロチシズム、最高潮のシーン。

男女二人。手の動きをカメラが追います。
原題は「愛神の手」。

・・・・・・・・・・・・・

東座にしては挑発的な映画にドキドキでした。
どんな顔をしてロビーと もぎりの受付を抜け出せばよいのでしょう、映画の物語の終わりが近づく予感に困ってしまって、
自分のつま先を見ながら駆け抜けて館の外へ出ました。

・・と日記には書きたかったが、残念ー!上映を見逃してしまって、あとからこっそり配信にて個室鑑賞しました(笑)

小心男の妄想レビューは 中年の映画活動 (略して映活)の惑いゆえ。

きりん