ゼロの音のレビュー・感想・評価
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暖かな小品
Huluのオリジナル映画は珍しいなと思って観てみた。これがなかなかに味わい深い作品で良かった。川谷絵音が、局所性ジストニアと診断されて音楽家の道を絶たれた青年を演じている。彼は、役所の生活福祉課に務め出すのだが、生きがいを失ってしまったので身が入らない。そんな時、福祉課の仕事を通じて、憧れの音楽家に偶然出会い、チェロを託される。そのチェロをある人に届けるために、旅に出るのだが、その道中に人の温かさに触れることで、主人公の心が溶解していく。シンプルな筋立てで青年の立ち直りを優しく見つめており、とても心地よい時間が流れている。
ギタリストの川谷絵音がチェロを弾いているシーンがあるのは貴重。この映画ではじめてチェロを演奏したそうだが、そうは思えない堂々とした演奏で音楽家ならではのリアリティがある。
本作は、Hulu主催の新たな才能を発掘する企画から生まれた。配信会社が新たな才能を自ら生み出そうというのは非常に意義深いチャレンジであり、今後も続けて欲しいと思う。老山綾乃の今後の活躍にも期待している。
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