「ギリギリですけど」リゾートバイト サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
ギリギリですけど
永江二朗監督によるネット都市伝説シリーズ第3弾。「きさらぎ駅」はどんでん返しが気持ちよく、ホラーとしてもなかなか怖くて結構楽しめたけど、「真・鮫島事件」は当時久々のホラーというのもあり、期待を大きく裏切られてショックを受けた覚えがある。そのため、この監督にはあんまり信頼を置いていないんだけど、本作はまずまずな作品でした。
「真・鮫島事件」よりも全然まともだけど、「きさらぎ駅」よりは相当下回っている。ほとんどが面白くない。演出が寒すぎて凍える。この監督の映画はずーっと同じテンションだし、いっつも同じ怖がらせ方。その目のメイクも何回やってんだか。笑いも古すぎてとてもじゃないけど見てられない。登場人物に感情移入させようとしなくていいから、素直にホラーで真っ向勝負したらいいのに。こんなに短いのに余計なものが多すぎるんだよな。やるなら最後までやりきって欲しいのに、中途半端。
ネット都市伝説だから突っ込むのは野暮かもしれないけれど、経緯とか動機があまりに単純すぎて盛り上がりにかける。村の風習だとか伝統だとか言って片付けるのは楽だけど、そうしたら一気に現実味無くなっちゃうよね。ホラーはこの設定作りが大切なんだけど...まぁ難しいかな。にしても、最初から最後まで主人公の男友達は好きにならなかった。露骨なんだよね。何から何まで。
だけど、ラスト20分は今までのが前座だったかのように一気に面白くなる。元凶となっていたものはしょうもなかったけど、伊原六花の良さがここにきて急に発揮され、かなり見入ってしまった。めちゃくちゃ可愛いし、めちゃくちゃいい使い方。監督、女優を綺麗に見せる天才ですか?種明かしの部分も、意外にも上手くまとまっていて良かった。なんで最初からこの調子でいけないのかな。
相当ツッコミどころはあるし、総じて見れば粗が多すぎてとても好きにはなれないし、オススメできるような作品でも到底ないんだけど、オチが割と怖かったからホラーとしては成功なのかな。イオンエンターテイメント、もっと映画事業頑張ってくれ。安っぽささえなければそれなりに悪くない作品になったと思うからさ。