「この映画が世界中に広がっていくことを切に願う」キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた) 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
この映画が世界中に広がっていくことを切に願う
連日のようにTVでウクライナに刻まれた生々しい傷痕が映し出される今、この映画に触れる意味は極めて大きいと感じる。舞台はウクライナのイバノフランコフスク(当時はポーランド領だった)。そこに建つ一軒の家には、ウクライナ人、ポーランド人、ユダヤ人の家族がそれぞれ暮らしており、文化的な隔たりはあっても、互いを尊重しあい、子供たちも仲睦まじく毎日を送っていた。だが、戦争の足音は日増しに強まり、ソ連やナチスの侵攻によって、次々と家族が引き裂かれていく・・。大人の目線と子供の目線を交錯させながら戦争を描き、確かに胸の痛む場面も多いのだが、それと同じくらい、少女の美しい歌声が切実に響きわたる。「キャロル・オブ・ザ・ベル」という曲は誰もがメロディを耳にしたことがあるはず。私はこれがウクライナ発だとは知らず、こんな歌詞だったのかと強い関心を覚えた。この映画が、そして思いが、世界中へ広がっていくことを切に願う。
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