「Dear」おしょりん ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Dear
メガネ作りの話というものだけを頼りに鑑賞。キャストが中々に渋いな〜と思いながら観ていました。自分は視力はやや低いですが、日常生活には支障がないので、映画を観るときだけメガネをかけています。
冒頭の福井ニュースが思っていたよりも長く、メガネの説明があるまでは作品間違えたかな?と思いました。ここそんなに長い必要があるのか?と疑問には思いましたが、ニュースから本編への導入はヌルッといったのが面白かったです。
とにかく王道、横道に逸れずにメガネ作りを学び、メガネ作りを実践し、成功と失敗を繰り返し、一つの到達点に辿り着くといった物作り系の作品のど真ん中を突き進んでいました。大それた事は起きませんが、その分実直なドラマが展開されるので、全体的に観やすかったです。
堅物な兄と自由な弟、昔事業に失敗したために疎遠になっていた2人がメガネを通じて再び交流を深めていくといった熱いストーリーも展開されていきます。
夫婦の親との関係性も中々に複雑ですが、基本的にはオールオッケーな感じになるので、あまり重くならないのは良かったかなと思いました。
村の人々が続々とメガネ作りに携わっていくなか、八郎だけが不器用でメガネ作りがうまくいかず、自殺を図ろうとしますが、その理由が親方になれなかったというもので、自分の実力をご存知でない?となんでこんなに自分に自信を持っているのか、これがずっと引っかかりっぱなしでした。
時系列がびゅっと飛ぶので、不器用な八郎がなぜ親方クラスまで昇進したのかが全く描かれないので、なんでこんなに偉そうぶってるんだろうと疑問に思って観ていました。現実がこうだったら、その空白の5年を少なからず描くべきではなかったのかなと思いました。
博覧会で富山のメガネが評価されて、そして現代の富山のメガネ生産量1位に発展していくというサクセスストーリー、現実にしっかり起こったからこそその喜びはスクリーンを超えて伝わってきました。
役者陣は申し訳ないんですが可もなく不可もなくといった感じでした。どうしても皆さん優しい人が多いせいか、激昂するシーンがどうも弱く感じてしまいましたし、一部の方は方言も相まって台詞が聞き取りづらかったのも残念でした。
もしかしたらエキストラの方かもしれないんですが(これが本職の俳優だったらかなりアウト)、とんでもない棒読みがぶっ込まれるシーンは思わずずっこけてしまいました。シーン的には金銭のやり取りの大事な場面だと思うんですが、緊張感がプツッと切れてしまったのが残念でした。
途中の恋愛要素はなんだったんだろうといったくらい空気でした。まぁ必要は無かっただろうなと思いました。
メガネを何気なく付けているからこそ、この時代にメガネ作りを妥協せずに作ってくれたから今のメガネがあるんだなと思いました。これからもお世話になります。
鑑賞日 11/8
鑑賞時間 16:35〜18:40
座席 C-12