「ギャンブル好き足長おじさん?」ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
ギャンブル好き足長おじさん?
ロアルドダールの、ファンタジーの中で真を突くピリッとしたところが好きだ。
チョレート工場のチャーリー同様に、お金は手にしてしまうと空虚に陥る資本主義と人間の精神の重ならないところを描く。
淡々と作文を読み上げる登場人物達の語り口が続くも、気になり見てしまう。
最後にドアベルを鳴らす警官の発言「君はお金に困ったことがないから、大金を運良く手にできたとしても平気でばら撒けるんだ。他にもっと困っている福祉施設養護施設に寄付するなど考えられる方法は沢山あるだろう。」に深くうなづく。
何故だろう、お金は富裕層の間では紙切れとして漂うのに一向に、お金に困る層には降って来ない。
でもそのお金が生活水準を守る全てとわかっているから富裕層はお金を手放す事には不安があり、稼ぐために生きていないから、時間を持て余し生き甲斐不足で、遊び半分にお金を増やしたがる。
そっち側として産まれたヘンリーシュガーは、たまたま見つけた、目を塞いでも視界を読み取る能力を身につけたインド人の記載文章をもとに、3年3ヶ月かけて修行しトランプの裏を読める力を身につけた。
やっとカジノにブラックジャック稼ぎをしに出向き1時間で300ポンドを手にするが、ヨガ修行で本質を見る目が備わってしまったからかお金に価値を感じない。
そしてバルコニーからお金をばら撒き、冒頭の、警察からの注意に繋がる。
その後のシュガーは拠点をイギリスからスイスに移して、税金対策しながら世界のカジノを転々とし大金を稼ぎ続ける。そのお金を、彼の家に代々税理士として仕える男が世界中の福祉施設を興したり寄付したり、富裕層から貧困層への資金循環に貢献した。
ヘンリーシュガーのスパイさながらの活躍は世に伏せられているが、ヘンリーは心臓発作で亡くなったので、隠す必要がなくなり、本に書き起こされるようだ。
話全体がフィクションだろうに、どこまで本当かがわからなくなるような、フィクション。
先にインド人が習得した能力を、イギリス人が二番煎じした話。