ミッシングのレビュー・感想・評価
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予告詐欺
2024年劇場鑑賞112本目。
チラシ配りなどで娘の行方を探しながらテレビの取材も受けている夫婦と最後に娘と一緒にいて世間から少し疑われている妻の弟、上が求める数字の取れる放送と、被害者に寄り添った取材の間で苦しむディレクターの話。
こういう行方不明ものの結末は無事見つかる、遺体で見つかる、行方不明のまま終わるの3パターンしか絶対ないのですが、予告である結末を思わせておいて実際は別の結末だったので予告詐欺だと思いました。後これも予告でもあるシーンで、ディレクターが「どこかから私は間違えました」と謝るシーンがありましたが、このディレクターは終始よくやってくれていて、大体はこういう立場の人が数字目当てに暴走して後ですごく反省するパターンが多い中観ていて安心して観ることができました。
また、行方不明になった娘の母親の石原さとみが時々パニックになって叫びだすのに対して父親の青木崇高がずっと冷静に対応して、感謝することは感謝し、おかしいと思うことはおかしいと言えていたのが本当に良かったです。これで父親までギャーギャー騒いでたらほんとこの映画きつかったと思います。
私だったらもっと荒れ狂う
石原さとみさん今までのイメージからしたら凄くギャップあったし、さすがの熱演でちゃんとお母さんの顔になっていて見応えあった。でも自分の子供がいなくなったらそりゃあそうなるし、母親にとって人生で一番といっても過言じゃない苦悩だと思うから、私なら壊れるなと。だからあんまり予想を超えて来なかったというか。だけどだからこそリアルだったなぁ。そんな時に客観視なんて出来ないからもう少し周りが想像力を働かせて寄り添ってあげてほしいなって。ネットの書き込みする人なんか言語道断で語ることももはやないけど味方である周囲の対応がやっぱり協力的共感的じゃなくてイライラするよね。だからこそラストで同じ経験をしたお母さんの思いやりに救われただろうなぁ。
監督、脚本、役者もいいが、音響効果を感じよ!
石原さとみが大変身を遂げ、現代のアキレス腱を告発する
吉田恵輔監督作だから速攻鑑賞、現代の社会の歪を炙り出す、清濁併せ呑まされる絶望を思い知る、流石の傑作に仕上がった。ひとりの少女が忽然と姿を隠す。絶望のどん底に叩き付けられた両親の右往左往によって、今時のSNSを中心とした誹謗中傷、対する古来のメディアとしてのテレビ局の無力ぶりを描く力作です。
神がかりでも、オカルトでも、ましてやモンスターの類では全くない現実世界、だから悪意ある他者の犯行か、何らかの事故かに絞られる。当然に若いご両親は極限まで苛まれ、出来うるすべてを行おうとする。この両親のことにも母親のエキセントリックな行動は至極当然で、全く違和感は感じません。当事者ならば私だってそうするでしょうと簡単にイメージ出来ますから。やや冷静な父親との仔細な衝突が過剰なリアクションに波及するやりとりがリアルで、これまた至極納得出来る。
八方手を尽くすも、警察の捜査も壁にあたり、当初は氾濫したマスコミ報道もやがて収束気味って段階で映画はスタート。静岡県の沼津市を舞台に、駅前でチラシを配布するのもまさにご本人しかいない現実。結局のところ地元のローカルテレビ局が後追い報道を細々と続けるのみ。
こうした前提条件を明確にした上で映画が描くのが、まずテレビ局の無能です。「報道は事実のみを追ってゆく・・」なんて大義名分唱える記者・砂田が本作の主役でもある。民放である以上、スポンサーからの収入が頼り、その為には視聴率を稼ぐしかない。テレビ局のオフィスにはデカデカと達成した視聴率の数字が壁一面に張り出される。余程のネタがない以上追い報道は難しい現実に砂田は身動きがとれず良心の呵責に悩む。ご両親の焦りにつけ込み、遂には10日も早い架空の誕生日を開催し、駅前でチラシをスルーされうなだれる姿まで要求してしまう。つい先日も現実に読売新聞が小林製薬の紅麹問題で、「届いた原稿のトーンがこちらでイメージしていたものと違った」ために関係者の発言を「捏造」したばかり。映像はウソをつけないなんて誤魔化しで、編集の作為からやらせの横行までやりたい放題。
もう一方が匿名をいいことに一億総批評家の様相で、言いたい放題のSNSの現況をやり玉に挙げる。全くの赤の他人の無関係者にも関わらず、鬼の首でも取ったような勢いで、相手をたたきに叩く。本作では、よりによって念願のライブへ行った日に起こってしまい、被害者であるべき母親が叩かれまくる悲劇。そんな投稿見るなと父親は言うけれど、売られた喧嘩をスルー出来る程に冷静になんか成れませんよね、でさらに炎上してしまう。
この二つの事象は、ご両親にとって唯一の世間へ広く繋がる手段でもあるわけで、頼らざるを得ないジレンマを浮かび上がらせる。全く久しぶりのライブの為に娘を母親の弟に託したことも、裏目となる事態。ついには過激な投稿者達を両親は告発する事態にまで発展。テレビ局も警察組織との慣れ合いを示唆される。東池袋自動車暴走死傷事故では大きな問題となった事象を、本作はハリウッド資本により提供された事実も肝要でしょう。
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会だって決して諦めず今も活動を続けるわけで、本作の両親も今もチラシを配っていることでしょう。この問題作にあたり主演された皆様に深く敬意を表したいですね。寄り添いつつも冷静を逸脱しない父親役の青木崇高の頼もしさ、嫌疑を掛けられる母親の弟役の森優作の過去の悲劇、記者としての限界に苦悩するテレビ局員役の中村倫也は珍しく短めのヘアスタイルで閉塞感を訴える。
そしてなにより母親役の石原さとみが圧巻の演技で従来の彼女のイメージをぶっ壊したのは確かです。ドラマでもCМでも、「私ってキレイでしょ」的なアピールが強すぎて大嫌いなタレントの一人でしたけれど、よかったよかった。保護したとの悪戯情報での茫然自失はまるで本物、夫婦の言葉の掛け違いのやり取りのタイミングなんぞ鳥肌ものでした。
最後に、こんな場合に起きがちなのが、容疑者への冤罪の可能性です。見つからない永遠の辛さより、最悪結果でも決着が見えた方がまだまし。の意思が思わぬ冤罪を引き起こすにも留意しなければなりません。
生きるのが辛い時はある でも生きるしかない
虎舞竜
この監督の公開作は必見というのは、映画好きからすると何人かいると思うんですけど、吉田恵輔監督もその一人
吉田恵輔作品の特徴として、笑いを必ず入れてくるのですが、今作「ミッシング」はブラックな笑いで、個人的には最高でしたね~
題材からすると、どこに笑いの要素があるのかと思われますが、ここ泣かせどころという場面で、監督のなんでもないような悪意の挿入で、自分の陰の感情をくすぐってくるんですよ
石原さとみって、どこかクソマジメな人というか(プロ野球の始球式で確信)、「進撃の巨人」「シン・ゴジラ」ではオーバー演技で賛否ありましたが、今作ではそれがイイ方向に作用して、不謹慎にも笑えるのですょ
真面目な人って、どこか可笑しみがあリますからねぇ(もちろん腹抱える笑いではない苦笑ですが)
決してコメディ映画ではないのですが(社会的メッセージもちろん有り)今作も吉田恵輔テイスト満開なのでした オワリ!
最高の演技=本物の感情
抉られる
TV「A studio +」で石原さとみ本人が
「吉田恵輔監督と仕事がしたくて手紙を送り
脚本が出来たと返答が来たのが本作」
「新しい石原さとみが観せられた」
と仰るので、
コレは是非観なきゃと劇場へ。
と言っても
石原さとみの作品、ほぼ観た事ない😅
変わったんでしょうね、演技。
まあ現代を代表する女優の1人であるし、
その彼女が美貌はともかく、
リアルな悲しい母親を演じて、
その慟哭は観客の胸を抉るモノはあった。
娘の親としては、
これ以上無い程のキツイ題材だった。
前作で、ネット社会の承認欲求の前に、
リアルな人間関係の脆さを描いた吉田監督。
今回はその真逆の、所謂炎上、
誹謗中傷をピックアップし、
未解決事件の風化のアンチテーゼを描いている。
結局未解決のままではあるが、
ホントの社会との繋がりって、
ラスト駅前で会った母子の言葉なんだろう。
そこでの青木の嗚咽が一番抉られた😭
未解決だけど、笑顔にはなれないけど、
嬉しかったんだよね多分。
それにしても
相変わらず吉田恵輔作品キツイわー😩
お勧めしにくいのが本音😫
石原さとみが可愛くない←褒めてる
出過ぎ・やり過ぎかな
覚悟を感じる映画
熱演
今年一番の衝撃作。
家族は生涯を掛けて探し続ける
日本国内で一年間に行方不明の届け出がされる児童の数は
毎年千人前後と聞く。
ただその大部分は間もなく見つかり、
公開捜査に切り替わるのはさほど多くはない、とも。
とは言え、ここ三十年で十五年を経過しても
行方が分からない子供は十人を超えると言う。
長期にわたり不安に苛まれる家族の心情はいかばかりか。
考えるだけで心がずしりと重くなる。
無事保護されたとの報はいつ届くかもしれず、
片時も神経が休まることはなかろう、と。
しかし当初は大々的に報じたマスコミも
熱量は次第に低くなる。
思い出したように節目の報道はあるものの。
以降に起きた、よりセンセーショナルな事件にかき消され
人々の記憶からも薄れる流れ。
視聴率を追う企業体としては、無理からぬ側面はあるものの、
他方で公器としての役割も持ち合わせるわけで、
職務に携わる側は忸怩とした思いがあるのかもしれぬ。
また最近の傾向として
被害者家族への誹謗中傷も激しいものが。
根拠の無い噂や、勝手な思い込みを基に
匿名を良いことに攻撃的になれるのは傍からしても腹立たしいもの。
法に訴える対抗措置により、懲罰効果はあるのだろうか。
中には有罪となっても反省の色すら見られない者も居るよう。
本作では、そうした被害者家族の典型例を示して見せる。
自分たちに落ち度はないのに、ひたすら周囲に頭を下げて回る日々。
一縷の望みを繋ぐため毎日の時間を削り、
暮らし向きさえ落として、
捜査協力のビラ配りやマスコミにも真摯に向き合う。
それでも時として愉快犯のような者もおり、
度毎に家族の心情は切り裂かれるように傷つけられ
精神の均衡を保つことさえ危うくなるほど。
家庭そのものが崩壊するケースも耳にする。
とりわけ、誰のせいで居なくなってしまったかの
直接的な責務の負い目によるもの、
或いは、子供を想う心情に軽重はないはずなのに、
互いの心に隙間が生じ次第に拡大することで。
家族の中では誰か一人でも冷静に判断をくだせる人間の存在は
必要不可欠だろうに、
それを温度差として感じてしまうことにより。
観ている側もきりきりと胃が痛むシチュエーションが終始展開される。
この責め苦から早く解放して欲しい、
救済が欲しいとの思いにとらわれるほどのリアルさで。
母親を演じた『石原さとみ』の演技は特筆もの。
多くは泣き、怒り、苛立っている場面。
時として、狂気にとらわれているようにも見え。
その感情の起伏を、ほぼ等身大の女性として表現。
〔シン・ゴジラ(2016年)〕 のようなうさん臭さとは
対極のリアルさ。
地元テレビ局の記者役の『中村倫也』もまた上出来。
マスコミの本分を踏まえながら、不幸に見舞われた夫婦に感情移入し、
少しでも助けになればと奮闘。
時として賽は逆目に出ることはあれど、
その心根は常に一貫、
一本筋の通った青年像を好演。
監督の『吉田恵輔』は役者の下地を掬い上げ、
開かせることが本当に上手いと感心する。
冷静でいることのむずかしさ…咽び泣き
*
誰のことを責めても仕方ない
誘拐事件は誰も悪くないのだから
ただただ犯人だけが悪い
そう思うのはおかしいでしょうか
*
いつも気が立っている妻を
冷静に支える夫の姿に愛を感じました
そんな夫の本音がわかる数々のシーンに
泣かずにはいられなかった…咽び泣きです…
沙織里の夫が豊でなかったら
家族というかたちは壊れていたと思います
*
時間が経つにつれ
落ち着きを取り戻し日常へと戻る沙織里
果実の美しさや
自然がつくりだす虹色の光にそっと心が動く
この姿が本来の彼女なのでしょう
バッドエンドだけどバッドとは言い切れない
ハッピーエンドとは決して言えない
だからこそ自然の美しさを美しいと思えるくらい
感性を取り戻した彼女の穏やかさに救われるのです
*
未だかつて観たことがない
石原さとみさんの演技がここにあります
呆気に取られてしまうほどです…
目を真っ赤にしながら煙草を咥える
青木崇高さんの演技に
こうしてレビューを書いている今でも
胸を締め付けられています
このお二方でないと
この作品は成立しないと思うほどでした
石原素晴らしい。
石原さとみは圧巻
石原さとみの演技とキャラクターは圧巻です。
リアルでも母になり、察するに、この役は演じるのが辛かったでしょう。
切なくてところどころ泣けるのですが、最後のあのシーンは嗚咽レベルですね。
善人と悪人に境界がなく、主要キャラは全員善人で悪人とえいると思います。被害者であり加害者。なんとも絶妙なキャラクターですね。嫌いになったり好きになったり。不幸だったり幸せだったり。
しかし、、、石原さとみと役も含めて、随分と胸くそ悪いキャラクターが多い。この監督は胸くそ悪いキャラクターを描くのが上手ですね。
音楽や歌はほぼ無く、ドキュメンタリー映画のような演出で、終わり方も私には良かった。
私の住んでいるあの事件が元なのか、とオープニングで気が付きました。同じような事件は多数あるので違うかもしれませが。
私の友人の元同僚で、私も仕事で少しだけ知っている方でした。
当時、私の周りでもご両親が怪しいという話になりました。マスコミもそう誘導していましたし。
お母さんが堂々としていたり、変な笑みを浮かべたり、マスコミに出ているうちに髪を染めたり綺麗になったり、そういう思い込みやマスコミやSNSの誘導がありました。
私はLINEくらいしかやってないので、SNSに公開してはいませんが、私も狂った世界の独りだと思います。
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