「人間の隙を表現するのが抜群に上手い」ミッシング サラダチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の隙を表現するのが抜群に上手い
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当たり前の話だがこの世に完全無欠の聖人君子など存在しない。しかし、何か事件などが起きるとこぞって粗探しをする人たちが現れる。自分達だって決して褒められたものではないのに。違いがあるとすれば、世間的に注目を集める事象の当事者になるかどうかだけでみんな等しく普通の人間なのだ。
この映画の主人公もそんな普通の人間の一人だ。この主人公はライブに行った事をネットで責められるが、2年ぶりだったと反論する。ネットで誹謗中傷する人間がおかしいのは確かだが、一般的な感覚で2年ぶりというのは決して長くは感じない。つまり主人公は子供は大切だけど、自分のやりたいこともちゃんとしたいという価値観なのだ。それが良いか悪いかは置いといて。落ち度とまでは言わないがこの主人公には隙があった事は確かなのだ。
さらに細かいところで言うなら主人公の持っているスマホ。状況とは不釣り合いに相当いい機種を使っているのだ。少なくともお金に困ってる状況では相当違和感がある。ここからも主人公の人物像は伺える。だからと言って主人公が悪いとかそういう事ではなく、自己矛盾もまた人間なのだ。
この映画は一見、失踪事件がテーマのように見えるが人間を描くことに重きを置いていると強く感じた。実際に起きた事件を描いただけと思う人も一定数いるのだろうが、表現されているのは事件ではなく人間なのだ。
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