「熱演=名演ではない・・。 悲話=感動でもない・・。(途中からネタバレ)」ミッシング レオンさんの映画レビュー(感想・評価)
熱演=名演ではない・・。 悲話=感動でもない・・。(途中からネタバレ)
目が潤むシーンが多いが、"悲話"="感動"とはならず。
石原さとみの熱演は認めるも、私的にはそれほど感情移入出来ず、私平均を僅かに上回るぐらいの評価に・・。
(感涙というより、もらい泣きしてる場合も多いかと・・)
まず序盤は、娘が行方不明になった親、それを取材するジャーナリスト、最後に会った弟、を状況描写ですんなり説明して、引き込みが巧いと感じる。
が、それ以後が "枝" ばかりが横に広がり、本筋は全く進展しない・・。
まあ今作はサスペンスではなく、"葛藤する夫婦"の物語なので、それ当然かもしれないが、苦悩する夫婦ばかり描写されても素晴らしいとは感じ得ない。
石原さとみの演技が素晴らしい、との事前情報は勿論、熟知していたが、"熱演で"あって"名演"ではないのでは・・と観る前から邪推していたが、鑑賞後にやはり当たってしまったと感じる。
車に乗り込んだ記者に顔を崩して訴えるシーンや、偽電話に泣き崩れるシーン等、「綺麗なお姉さん」のイメージをかなぐり捨てての熱演は誰の目にも訴える。 が、感情が直ぐに言葉になっている描写が多く、もっと目で訴えるというシーンを与えていれば、果たしてそれを巧く表現出来たか・・という気もする。
彼女は確かに"熱演"したが、エマ・ストーンは「哀れなるものたち」で"大"熱演した。 ハリウッドでも指折り絶世美女のシャーリーズ・セロンは「モンスター」では、ハンバーガーを日に20個近く食し、自らを醜く激太りさせ、凶悪犯を熱演して主演女優賞に。 そう、上には上がいる・・。
(あまりに石原さんが絶賛されているので、つい冷めた内容を書いてしまう事に・・)
私は記者役の"中村倫也" の方が目に留まった。 "動"の演技をしている石原とは真逆で、"静"の演技。 彼には無言で見つめるという(僅かな時間だが)シーンが何度もあったが、常にその"目"で演技していた。
台詞がなくとも、「ちゃんと見守っていますよ・・」「間違いないんですか!」などの胸中の言葉が聞こえる様な目をしていた。
全般的に辛いシーンが多く、チラシを余分に印刷してくれた業者のおじさんなど、じわっとくる物が伝わるが、あの様な演出がもっと随所にほしかったとも感じる。
ラストネタバレ ↓
★平均も高い今作だが、今作の最大の欠点は行方不明事件が、一歩も進展しないでラストを迎えてしまう点。
SNSバッシング、弟の賭博など横道に広がるばかりで、
誘拐とも事故ともなんの情報も無く、ずっと益なき労働をしている両親の辛さを訴えてのエンディング・・。
上映終了後、映画館通路で見終わった70代ぐらいの夫婦の奥さんが「弟が子供見つけた時、やっと解決かと思たのにな~・・。 結局不明なままなんやろ・・。」とポツンと夫に。 まあ作品に満足してないのは確かな言葉・・。
今作の様に曖昧エンディングが最近多く、私的には好きでないが、日本人は欧米人よりサッドストーリーが好きと言われるのが、今作平均★の高さがそれを物語っているかと。
諦めろという何らかの圧力が課せられて、それに反する両親の努力後、解決になんらかの光が見えてのエンディング・・ という様な作品なら
私の★ももっと上がったかと