ブラッド・チェイサー 呪術捜査線のレビュー・感想・評価
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異文化の恐怖
原題のMutiとは南アフリカのズールー語で薬、ただ、それは私たちが知っている医薬品ではなく人の目や手足、臓器に金や植物を混ぜたもので、それを食するとパワーを得るというアフリカの古代信仰に基づくものらしい。
ローマとアメリカで不可解な連続猟奇的殺人事件勃発、いずれも同一犯、アフリカの祈祷師兼殺し屋で、南ア出身の実業家がアフリカ的迷信のパワー欲しさにMutiづくりを依頼したらしい。黒幕も犯人も分かっているのに次々と出る被害者、警察は何をもたついているのか苛立ちばかりが募ります。
モーガン・フリーマンは事件の鍵を握るアフリカ出身の文化人類学の大学教授、冒頭で学生たちへの授業を通じ、本作の土台、異文化のおぞましさを語ります。確かに事件のキーパーソンではありますが出番は少なく、作品の箔付けでオファーされたのでしょう。彼も祈祷師の末裔だったらしいオチは何なのでしょう、出番が少なかったので存在感の強調かな。
いくらアフリカ出身と言え現代のビジネスマンが迷信に囚われる設定自体がリアリティに欠け過ぎでしょう、アフリカへの偏見を助長するような筋書にも疑問、作家性の強いスリラーでした。
モーガン・フリーマンの意味は?
2022年にWOWOWで放送したときには「ブラッド・チェイサー 沈黙の儀式」というタイトルだったのだけど、2023年になってからDVDが発売され、その時にサブタイトルが「呪術捜査線」になったみたい。
キーパーソンのマックルズ教授をモーガン・フリーマンが演じているのだが、話の完成度を考えるならそんなビッグ・ネームを使わずに無名でこじんまりした方が良かったのでは?
(でもそうすると興行成績が落ちるけど)
ネタ的には小粒なのに、イタリアロケはやけに力が入っていて、アンバランスな出来。
雰囲気的にはセブンとダヴィンチコードを混ぜて中途半端になった感じ。
犯人のランドクはイタリアでマックルズ教授の授業を受けて呪術に開眼し、ヨーロッパでクライアントの為に生贄を確保して「ムーティ」を施していた。
イタリアで足がついたのでクライアントの富豪のファーナーの助けを借りてアメリカに逃亡し、そこでも呪術儀式を繰り返す。
この事件を追っていたボイド刑事は娘が発作で溺死、妻は自殺、転寝すると妻の幻を見るようになっていた。最後はマックルズ教授がランドクを始末し、送られてきたランドクの目玉をボイド刑事は口にして「ムーティ」を実行する。
マックルズ教授が目玉を送ってきたのは、「失礼なことをした部族の者の部分をお詫びに提供する」という習わしをなぞったもの。
相棒のカーシュ刑事も、「ムーティ」で回復したらしい。
さらに、イタリアのラヴァッツイ刑事にも何か送られていた。どこの箇所が送られたのだろう?
奥さんと相棒のカーシュ刑事が似ているので、ぼんやり見ていると混乱する。
ソファで寝ているボイド警部に話しかけるソヴァージュの女性(2回登場する)はどちらもカーシュ刑事ではなく、奥さんの幻影。
途中、遺書と思われるカードを眺めているシーンがあるが、「辛すぎる、あなたは強い、愛してるわ」という内容だった。
でもなんで周りは死んだ娘の話ばかりして、自殺した奥さんの話は出さなかったのだろう?
それらの疑問はさておいて、まあまあ面白かったので☆3.5。
Youtubeの予告編を見たら結構面白そうな出来になっていた。しかし実際には物足りない。
もっと呪術やサスペンスのあたりを掘り下げるべきだったのでは。
モーガン・フリーマンも、色々な作品に出演するようになりました。
呪術に絡む殺人事件を捜査する刑事と、アフリカ文化を専攻する大学教授の物語。
モーガン・フリーマンが脇を固めるサスペンス・アクションです。
ホラーやオカルト要素を含めたサスペンスということもあり、期待値の高い作品でした。しかし、内容は薄っぺらで期待値からかけ離れた作品でした。
犯人は早々に断定されサスペンス色は終了。
呪術師の黒幕もあっさりと断定。でも、黒幕は、刑事から厳しく追及されているのを完全無視して犯行継続。ストーリーとして黒幕断定の意味をなくしてしまいます。
アクションは、バッタバッタと呪術師が警官をなぎ倒す説得力のなさ。
説得力のなさでいえば、陸上競技のエリートの少女が登場しますが、どう見てもそうは見えません。そんな雑さも我慢出来ずに強く興ざめ。
モーガン・フリーマンの無駄遣いといえる映画で、私的評価は極めて低くなりました。
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