ナショナル・シアター・ライブ「善き人」のレビュー・感想・評価

3人だけの芝居で、セットも必要最低限。演技力も高く、一人何役も演じる中で膨大なセリフを覚えいるのかと思うと、役者さんの素晴らしさを改めて実感した。
作中に出てくるクラシック音楽や文学についての教養があればもっと作品を楽しめたのだと思うと悔しく思う。そしてもう見返せる機会はおそらくこないのだろう。
視聴後ゲーテの書物を何点か購入したが、読まずに埃を積もらせている。

主人公以外の２人の演者が演じる人物がコロコロ変わるので、字幕だけでは理解し難い、精神科医が友人になったり誰かの奥さんになったり、母親が妻に、愛人に、またはナチの同僚となったり、母国語でみればまた違ったかも。日本人が演じているのもあるのでまたみてみたい。

どんどんナチスに染まっていく様が怖かった。

演技、脚本、どれをとっても素晴らしい。イギリスの舞台文化の素晴らしさを思い知らされる。

しかし、観れば観る程に生で観たくなる。見せ場を大きく見せてくれるのはメリットだが、全体感を掴みたい、映っていない人物の表情を見たい等、噛み合わない場面がどうしてもでてきてしまう。

しかし、本場の選りすぐりの演劇を日本のスクリーン見られるのは、とても有り難い。