コヴェナント 約束の救出のレビュー・感想・評価
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アクションを上回る深い人間ドラマが刻まれている
これほど胸に迫るガイ・リッチー映画がかつてあっただろうか。アフガニスタンを舞台にした本作には、タリバンとの手に汗握る交戦シーンも刻まれる。でもだからと言って安直に「戦場アクション」としたくないのは、それ以上に強靭な「人間ドラマ」が実に丁寧に形作られているからだ。かの地で活動する米兵と、彼に採用された現地通訳者。生きてきた環境がまるで異なる二人だが、深傷を負った兵士を通訳が命がけで救ったのをきっかけに、兵士は「ならば自分は彼のために何ができるか?」と悩み始める。それは単なるギブ&テイクを超えた、己の生き様や生き方にすら関わる自問自答だ。そこで下す決断こそがギレンホール演じる主人公の人間性の全てと言っていい。その絶え間ない葛藤がすこぶる魅せる。これまで斜め上をゆく感情表現ばかりだったリッチーが、逃げも隠れもせず想いと行動を真正面から描く。表現者として一回りも二回りも成長した姿がそこにはあった。
ガイ・リッチーがエモーショナルにシフト?
アフガン戦争の最中、米陸軍曹長が自分に協力したせいでタリバンに狙われ、アフガンに留まることを余儀なくされたアフガン人通訳のために、もう一度不毛な戦場に戻ることを決意する。通訳と家族の未来がかかったアメリカのビザを携えて。
これまで、犯罪群集劇を目まぐるしいカット数を駆使して描いてきたガイ・リッチーが、戦争映画を、それもこんなにエモーショナルな映画を作るなんて、想像すらしていなかった。しかし、曹長のキンリーと通訳のアーメッドが出会い、一旦は別れ別れになり、再び危険なロードに身を投じるまでの無駄のない展開は、まさにリッチーならでは。戦場で出会った立場が異なる男たちが、お互いの利益よりも、相手に対する恩義に突き動かされ、物語を牽引していく様は、否が応でも観客の熱情に訴えかけてくる。
同じアフガンが舞台のサバイバルムービー『ローン・サバイバー』('13年)を思い出したりもするが、むしろ、カンボジア内戦で知り合ったアメリカ人ジャーナリストとカンボジア人通訳の友情を描いた『キリング・フィールド』('84)に近い気がする。同作で通訳を演じたハイン・S・ニョールはアカデミー助演男優賞に輝いたが、本作で通訳を演じるイラク人俳優、ダール・サリムも魅力的で、物語の根幹をしっかりと支えている。
根幹とは、アーメッドの背後には実際にアフガンで命を落とした現地人通訳たちがいるという事実。そして、キンリーがアーメッドに対して感じる罪悪感は、そのまま、アメリカのアフガンに対する罪悪感に繋がるのだ。
「ブラックホーク・ダウン」「ローン・サバイバー」を楽しめたなら予備知識なしでの鑑賞がおすすめ
ガイ・リッチー監督が戦争映画なんて珍しい、とそれだけの予備知識で臨んだら大正解。従来の戦争アクションの定型に収まらない予想外の展開を大いに楽しむことができた。かつて「逆転のトライアングル」のレビューでも書いたことだが、予告編や解説文などであらすじの半分から3分の2ぐらいまで前もって教えてしまうのは常々疑問に思っている。本作は大まかに3つのパートに分けられるが、事前情報で第3のパートのさわりぐらいまで明かしてしまっている。物語の7割から8割くらいまで予告されていたら、そのぶん主人公の「この先どうなるんだろう」という不安や恐怖への感情移入の度合いが弱くなってしまう。
戦争映画としての傾向は、「ブラックホーク・ダウン」「ローン・サバイバー」のような孤立無援の状況を描いた作品に近い。これらを楽しめた人なら、なるべく事前情報に触れずに鑑賞するのがおすすめだ。「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」、近年では「ジェントルメン」などコメディとスリラーを絶妙にブレンドした犯罪映画を得意としてきたリッチー監督にとって初の戦争物ということで、笑えるユーモアやスタイリッシュな演出は控えめ。それでも、隠れながら逃げるキンリー(ジェイク・ギレンホール)たちと捜索する敵のタリバン兵が不意にお互いの姿を目にして、しばしお見合い状態になってしまう一瞬の絶妙な間(ま)などにはやはりリッチー監督らしさを感じて嬉しくなる。
救出しなけりゃ男が廃る
アメリカの軍人とアフガニスタンの通訳の話だが、製作したのはイギリス...
一言「重厚」
「任務が終わったら、アメリカ行きのビザをあげる」。
アフガニスタンに駐留するために、アメリカが現地民を5万人雇用。
でもただ通訳できるだけじゃない、従軍通訳としての任務。銃も持つ。
その通訳と駐留軍兵士、2人の話がメイン。
前半は通訳が兵士を助けてる話、後半はその反対。
この構成が、興味深い。
ここまで戦闘シーンが多い作品って、久しぶりな気もするし。
通訳物ってたまにあるけど、ここまで兵士よりなのもレアか。
「コヴェナント」ってタイトルで聞いたことあるけど、意味は?
「契約」「契約する」って出てきましたGoogle先生。
ラストにその意味が出てきて、内容にピッタリでした。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「真意を翻訳した」
想定から二転三転
なんとなく見る前に、アッチがコッチを救出するのだろうな、と思うも、
まずはそこを裏切られる。
そしてさらにええっ、自費で行くんですか巣窟へ! のドンデン展開。
事実は小説より奇なりというが、現実だからこそあり得ないことがしれっと起きるものだ。
そこまで仁義を通す主人公らを描きつつ、かたややんわり、
しかしながらはっきりと政治批判も添えてあるあたり、
うまいなと唸らされるやら、完全に同調、感情移入するやら。
ガイリッチーは「コードネーム UNCLE」のみを鑑賞で本作が2本目。
すっかりスタイリッシュ―で茶目っ気あるおしゃんな映像かといどめば、
さすがに茶目っ気だけは抜いてある本作だった。
おかげで残るクールでスタイリッシュがアクションシーンを最高に盛り上げる。
逃げる主人公らにもう2時間近く、ハラハラドキドキでひたすら疲れた。
グッジョブ、リッチー。
わたしも一緒に相棒を助けた気分だよ。
しかし色んな種類の軍事組織(タリバン、米軍、民間軍事組織、武器商人)が入り乱れる本作、戦争の根深さを思い知らされる。停戦など、カンタンには片付くはずがない。
そしてアフガニスタンから米軍が撤退した時の、あのてんやわんやを思い出した。
飛行場に殺到した人たちがどういう気持ちだったのか、今、なんとなく想像できるような気がしている。
恩義に報いるってなかなか出来ない
ジェイクギレンホールが出てるとなれば観るしかない!
目で演技するジェイク様さすが
画面に映ってるだけで、その作品がなんだかとてもおもしろそうに感じます。
最後のダムのシーンはピンチ過ぎるだろ!!
と思いましたが、かなり面白かったです!
この作品は実話じゃないけど、実際通訳の人が酷い目に遭ってる現実があることを思うとなんだか胸が痛いです。
ジェイクは自分を命がけで助けてくれたアーメドを、これまた命がけで救出しに行くのですが、
恩義に報いるって、出来そうでなかなか出来ないことですよね。
それが、自分の身も危なくなりそうな時はなおさら。
自分の生活に置き換えた時に
お世話になった恩を返せるような人になれたら素敵だなと思った作品でした。
絆、誓い、約束
冒頭の銃撃戦は良かった、あとは尻窄みな感じ
ガイリッチー監督の感動作
ランボーかと思いきや
2018年のアフガニスタンが舞台です。タリバンの占領地内で重傷を負ったアメリカ兵・キンリー曹長を現地の通訳・アーメッドが、我が身の危険も顧みず米軍基地まで100Kmを体一つで送り届けます。その後、キンリーは負傷兵として帰国するのですが、アーメッドは約束されていたアメリカ・ビザを得られず、アフガニスタン国内でタリバンに追われる身となるのです。恩義が忘れられぬキンリーはアーメッド救出の為に再びアフガンに向かうというお話。ここまでは予告編を見れば凡そ察しが付くので、僕は、
「あ~、ランボーみたいに体一つで敵地に乗り込み超人的な戦いでという話なのだろう」
と思っていたのですが、ごめんなさい、全く違っていました。アフガン戦争を巡るアメリカの政治上・国際関係上の立ち位置、アメリカの身勝手さは置いておくとして、本作はハラハラ・ドキドキの戦争アクション、強い信頼に基づく男の友情物語として非常に力強く、大いに揺さぶられてしまいました。
負傷したキンリーを引きずって、アーメッドがタリバンの追跡を逃れながら逃げ惑う展開が本作のかなりの部分を占め、キンリーが再びアフガンに戻ってからのお話はかなり抑制的であることがこの映画の力を増しました。
我々の記憶にも新しい殺し合いにこんな思いを抱いてよいのかどうか迷うのですが、大変面白い戦争映画でした。
美しい青い瞳
戦場の中での「男」の話
男同士の絆に涙
#新文芸坐 さんにて本日(6月8日)4本目、#ガイリッチー 監督作 『#コヴェナント約束の救出 』を鑑賞。
アフガニスタン紛争に派遣された際、現地通訳に基地までの100キロ以上の帰路を助けられたグリーンベレー曹長が帰国後、現地通訳がターリバーンに狙われていることを知り、私財を投げうって再びアフガニスタンに救出に向かう感動実話。
監督のテンポとキレのある演出、ファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)を彷彿させるアクションは臨場感があって抜群でした。
そして何といっても救出後のラスト。
お互いに笑顔で抱き合ったりはせず、ただ無言でお互い目と目で見つめ合うだけ。
男同士の無言の友情、信頼、絆がセリフが無くとも良く描かれてました。
#ジェイクギレンホール の憂いを帯びたまなざしが良いんですよね。
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