「現代戦争映画の衣をまとった」コヴェナント 約束の救出 keebirdzさんの映画レビュー(感想・評価)
現代戦争映画の衣をまとった
ガンアクションと漢の西部劇映画。
全く比較不能ながら私も通訳のようなことで仕事をしていたので、米国人兵士とその現地通訳の友情の話と聞きコレはミネバと劇場に馳せ参じました。
なんかお客さんは私のような緩いエンタメ・アクション映画ファンというよりも、深遠な芸術または誇り高い主張が声なき叫びを上げるような映画が好みの通の方が多い感じ。
で映画が始まると、超有能なキンリー曹長の下最初のフツーの通訳さんはやられる姿の描写もなく、爆発の煙が立ち昇ってアッサリKIA。アフガンは過酷。
そして次に選ばれた助演通訳・アーメッドは‥
目つきもハゲ頭もハードボイルドで、そもそも英語が流暢かつカッコ良すぎる。軽装備で現場に臨みつつ、急場となれば拳銃も斃れた兵士のM4カービンも敵兵から奪ったAKも問題なくぶっ放し、的確に主人公を支援し敵陣突破。もはやCombat MedicならぬCombat Translator。
一方ヤラレ役のタリバンと、違う意味での感情盛り立てヤラレ役である米陸軍パトロール小隊の部下たちは皆弾や爆発を簡単に受けてハデに、又はアッサリ次々とやられてしまいます。
主人公は基地帰還し帰国後、勲章を貰い「俺は寝ていただけ全てアーメッドの軍功だ」とか言いますが、流石に小隊全員が戦死し現場指揮官(と現地人通訳)が生き残っただけというのは、上官の大佐含め軍法会議はなくとも厳しい査問くらいには付されるのではないのでしょうかね。映画後半みたいに、ヤバい時は即座にガンシップと戦闘ヘリまで呼んで駆け付けられるPMCもいるのに。
そんな風に見ていてちょっとコレ現実的なのかなと思いましたが、やがて分かりました、このカッコ良い、スネに傷あるアフガン人通訳は主人公のヒーローガンマンを補佐するサイドキックとしての相棒ガンマンであり、この映画自体が現代アフガニスタンを舞台に借りた本格ガンアクション西部劇(冷酷な殺戮と漢の友情、過酷な死地からの救出劇、最後に騎兵隊到着っぽい大団円含む)なのだと。
熱き涙と大興奮アクション、全くの不遜な憶測ですが、劇場に来られた深いイイ映画愛好家の方々や、好戦映画として批判するか反戦映画として批評するか構えて見てらしたリベラルな方々の一部はこの上手い非政治的(ちょっとはある)な西部劇(的)映画を見て、誉めるべきかイカンと言うべきかハシゴを外された感じの方もいたのではと思います。
私は世界に対して専ら無責任なので、銃や戦いや兵隊さんが身近にある今の私にはちょっと異世界な日常でのハードボイルド・ガンアクション映画として頭カラで楽しみました。
ただですね、私は劇中どうしてもメインのハードで渋い二人の役者さんの演技が時々、
まん丸ヘルメットのミステリオ
と
HR打ってゲッツ!のラミレス
二人の掛け合いに見えてしまい、緊張感が抜けてしまって仕方がないという困った精神疾患に悩まされてしまいました反省。
なので評価も、本来感じるべき「緊迫と感動」な出来より☆0.5〜1くらい低く感じてしまっています。製作者及び出演者各位になんだかちょっと申し訳ないです。
ストリーミングが出たら、キャストTVの前で姿勢を正し、映画の政治的観点を含め再度深く鑑賞しようと思います。