きっと、それは愛じゃないのレビュー・感想・評価
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名匠カプールの久々の新作
カプール監督といえば「エリザベス」で一世を風靡しながら、最近はめっきり名を見なくなっていた。そんな名匠が、ラホール生まれの自身にとって身近な題材、文化を織り交ぜつつ、ラブコメというジャンルを多文化主義に富んだものへ進化させようとする試みを面白く観た。その意味では、映画の題材探しに悩むリリー・ジェームズはある意味でカプールの分身と言っていいし、探している答えは案外一番近い場所で見つかるものである。一方、幼い頃から”お隣さん同士”として育った主人公が、互いの風習や価値観を当たり前のものとして受け止め、またカメラ(ドキュメンタリー撮影のための)の存在を挟み込むことで互いの恋愛や結婚に関する考え方に疑問や批判を投げかけることなく、まずは尊重し、成り行きを見守るところからストーリーが展開する点は新しい。結末こそ予定調和的ではあるものの、主演二人は終始リラックスした佇まいで、理想的な好演ぶりだった。
6:4で、二人の結婚には反対
そんなに甘いもんじゃない。
「旧宗主国の人間」と「元植民地出身の移民」の結婚は。
塩尻の映画館 東座で鑑賞後、非常に重たい気持ちで帰宅し、彼らの結婚には手放しで賛成できない胸の内を書き始めたら長大となってしまい、長期間放置。
そしてどうにもならなくなって、レビューを一回すべて消去した。
この映画は僕にとっては「棘」だ。
イギリス人の彼女ゾーイはツリーハウスでの楽しい思い出を語り、しかし彼カズは北パキスタンで得た父親との旅と霊的体験を語る。
この二人は決定的に生まれと育ちの差異と隔絶を負っていて、しかも彼女にはその自覚が皆無だ。
そして彼はその分かり合えない事の危惧を言葉に出来ずに口ごもっている。
やめたほうが良いと思った。
劇中、象徴的に彼らの住まいが何度も映るのだ。
隣り合わせで、横ならびに一枚の壁でくっついた二世帯の住宅・・
玄関ドアは右と左に、それぞれの家族のために有る。素敵な英国住宅だ。
しかし、異文化同士の彼らの住まいは
くっついているのに「番地が並んでいない事」に僕は気付いたのだ。
あまり書くと個人が特定されるからサラッと記すが、親友が在日ゆえ破談したので、この映画は僕にとっては それを思い出す羽目になり、本当に辛かった。はらわたが千切れるほどの苦しみがそこにあった。自ら破談を決意した彼は生涯独身を貫いたから。
・・・・・
僕の仕事場には、世界中からの出稼ぎが来ている。
その中の一人、パキスタンから来ている若者の美しさには言葉を失う。
長身で浅黒く、その細面のかんばせは まるで仏陀のそこにおわす姿なのだ。
物静かな彼。冗談でなく僕は彼のそばでは たじたじとして後退りし、直視出来ずに目を落としてしまうほどの高貴さ。神々しさ・・
まさにガンダーラ美術の生仏が目の前に立ち、光背が青年の周りをほんのりと取り囲むようで。
カズが北パキスタンの山中で体験したスピリチュアルだ。
大英帝国と北アジアの辺境の小国。その二つの歴史に横たわる血。
仏のような彼を見ると、この映画で覚えた身のよじれる苦しみを直結に思い出して、
無邪気には添い遂げられない衆生の煩悩を仏に救って頂きたくなる。
南無、憐れんで下さい、どうかお救い下さいと。
誰でもよいから すがって、泣きながらひれ伏したくなる。
【”結婚に至る二つの過程。親に決められた見合い結婚か、二人が愛し合った自由恋愛結婚か。”私の考えは過程ではなく、結婚して二人が幸せになれるか否かだと思います。キッパリ!】
■ドキュメンタリー監督のゾーイ(リリー・ジェームズ)は、臨家同士でツリーハウスで遊んでいた幼馴染みのカズ(シャザド・ラティフ)がオンラインでお見合いを決行し、パキスタン人のマイムーナ(サジャル・アリー)との結婚を決めたと聞き、ショックを受けるも、それを隠し、彼の結婚までの軌跡を追いかけ映画にする事を決める。
実は、ゾーイは運命の人を心待ちにしながらも失敗ばかりの彼女は、親が決めた見合い結婚に疑問を抱いていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作を観ていると、製作陣は見合い結婚よりも、自由恋愛結婚を勧めているのかな。
けれども、私は結婚に至る二つの過程。つまりは親に決められた見合い結婚か、二人が愛し合った自由恋愛結婚か、ではなく、結婚して幸せになれるか否かだと思うな。
・今作が面白かったのは、ゾーイとカズとマイムーナの親世代の”自分達の子を見合い結婚で幸せにしたい”と言う思いと、若き人たちとの結婚感の違いが上手く描かれていたと思う。
・特に、ムスリムのカズとゾーイの結婚式の過程は、面白かったな。カラフルだし、皆、楽しそうに踊るし、インド映画みたいだったな。
けれども、カズもマイムーナも心からの笑顔ではないんだよな。
ここら辺が分かりやすくって、マイムーナのスマホには恋人から怒りのラインが入るし、カズも観ていれば、誰が好きなのかは直ぐに分かるよね。
・この映画は、男女間の恋愛感情を分かりやすく描きつつ、そこにイスラムの結婚感、つまりは結婚は親が決める事、という概念を融合させた点が面白かったと思うな。
・ゾーイが、映画のラストで親の反対を押し切って自由恋愛で結婚したジャミラの言葉を流して、皆の不興を買うのだが、彼女が赤ちゃんを産んだ時に、一番反対していたお婆ちゃんは、キチンと祝福するんだよね。
・そんな姿を見て、ゾーイとカズもようやく、素直になるんだな。全くもう!
<今作は、結婚に至る二つの過程。親に決められた見合い結婚か、二人が愛し合った自由恋愛結婚か。”を描いた作品であり、私は過程よりも結婚した後に、二人が幸せになるかどうかが大切だと思います。
つまりは、結婚はプロセスよりも結果ってことだよ。でも、一番は自分の気持ちに素直になり、好きになった相手に誠実に想いを伝える事だと思うな。格好悪くてもさ。じゃーね。>
お見合い→だめですか?
色んな映画タイトルが出てくる・・・
序盤に映画のタイトル『プリティ・ウーマン』や『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』『ラブ・アクチュアリー』などが色々語られてるが、それが本編中にも絡んでいるところが面白い。パキスタンに向かう飛行機の中では『ファイナル・ディスティネーション』『ディパーテッド』『ターミナル』など。『シンデレラ』はもしや自虐的ギャグか?それよりもエマ・トンプソンも出演している『ハリー・ポッター』もギャグなのかな・・・尚、『ラブ・アクチュアリー』はエマ・トンプソンも出演してるし今作の監督も同じ。さらに、両家ご対面の結婚式前夜、リーアム・ニーソン主演の『トレイン・ミッション』がパキスタンで上映されていた(シャザト・ラティフも出演してる)。
シンデレラから始まり「白雪姫」「美女と野獣」や「眠りの森の美女」などを、子どもたちに聞かせるグリム童話たちがゾーイによりアレンジされていて面白いのですが、これがラストのツリーハウスでラプンツェルに繋がるなんてロマンチック。さすがに赤ずきんには引いたけど・・・
宗教、文化、人種、結婚の価値観、何よりストーリーについて考えるよりボーダーレス、グローバルなど自然に溶け込める感じがする。そして「47番地と49番地は違う大陸」という言葉に象徴されるように、パキスタン出身のイギリス人であっても、世界でテロが起こる度にムスリムというだけで白い目で見られる事実。日本人からしたらインド人とパキスタン人の区別も難しい・・・俺だけ?
そんなこんなで結末は見えていたけど、カズの妹ジャミラのエピソードは良かったなぁ。家族を集めた試写会でマイムーナだけが「感動した」と告げた時は全て氷解。パキスタンでも親の力は絶大なんですね。
『恋人たちの予感』へのオマージュ
いやぁー、良かったです。
映画館で予告を見ていて、何となく見たいなーと思っていた映画。
普段、恋愛映画はあまり見ないんですけどね。
見合い結婚、異人種間カップル、『卒業』とか『みゆき』みたいな新婦(この映画では新郎)略奪が見れるかと思って見に行ってみた。
結末が予測できる話なんだけど、そこに至る展開は予想を裏切るものだった。
ハッピーエンドじゃないんじゃ無いかと途中何度も思ってしまったけど、最後には気持ちよく終わってくれました。
ヒロインのリリー・ジェームズ、ロンドン生まれのパキスタン人役のシャザト・ラティフ、ともに良かったですねー。
隣同士で育った二人だけど、民族、宗教、国籍が違う。。
異教徒と駆け落ちした妹なんかもいて、二人の間には巨大な壁があったんだと思う。
友達以上、恋人未満。
ホント、最後までハラハラしながら見てました。
ムハンマドの言葉らしい『母の子への愛が一番強い』というセリフが心に残った。
そして、イギリスの離婚率は50%で、見合い結婚の場合の離婚率は6%らしい。。
ホントかと思った。。
そして、私の大好きな映画ロブ・ライナー監督の『恋人たちの予感』へのオマージュを感じる映画でした。
どうせなら『恋人たちの予感』のように、主人公の二人の幸せなインタビューで締めて欲しかったかな。
いろんなラブストーリー
母と子の物語であり、本音で生きることがテーマ
宮崎県での鑑賞ですが、なぜ、こんなに観客が多いのだろうと思ったら
主演がディズニーの実写映画『シンデレラ』でシンデレラを演じたリリー・ジェームズだから・・かなと思いました。
客層が女子多め、カップル多めだったのですが、少なくとも軽めのデートムービーではないなと思います。
主人公ゾーイとその母親(エマ・トンプソンが演じていますが、秀逸な演技で素晴らしかったです!!)、
ゾーイが想いを寄せる男性カズとその母親、
実に母親が寄せる子どもへの愛情に感動をせずにいられない作品になっています。
また、"愛"を本音で語れない、国・宗教・文化・家、そういったものが壁になって、
男女ともに本音を言えない、家族のことを考えて、自分はさておきになってしまう。
それを是として、パキスタン男性であるカズは生きてきたわけで、
それを当たり前としてゾーイも受け止めていたのですが、
いざ、カズが結婚するとなったときに、ゾーイに本音が押し寄せてきて、葛藤するのですね。
普通なら結ばれない二人なのでしょうが、
家族の中に、その普通を突破したカズの妹がいたことを機に、本当の気持ちを大事にしようと
本人たちはもとより周囲も変化していき、
ラストは実に心に沁み入るエンディングになっています。
意外性なし、、、
24-007
価値観の違いには、良い面も悪い面もある。
多様性の世界で、お互いの価値観を尊重することは美しいことのように思える。
今時のように見えるオンラインを使って、
古くからの伝統にならった家同士の婚姻。
イギリス的ない恋愛観と、
パキスタンの結婚観の違い。
お見合い相手を愛せるのか?の問いに、
好意を持って愛の道を進む、と答える。
お互いの相違を埋めることは難しく、
47番地と49番地は違う大陸だと言う。
民族、文化、因習の違いを超えることは、
更に難しい。
しかし、
母は子を愛して、祖母は孫を愛する。
その気持ちは民族も文化も関係ない。
お互いを宝と認めることが出来れば、
争いも対立も些細な出来事となり、
大きな愛に包まれるのだろう。
おばあちゃんの言葉に涙が出ました。
良い映画でした😁
深くないからの良さ
タイトルから「お見合い結婚」の是非を問うてくるのではなどと考えを巡らして観劇しましたが浅はかでした。もっとフツーにロマンスコメディとして楽しめる作品です。
観客目線では第三者として登場人物の心境が手を取るようにわかるように作られており、本音を隠すがために思い通りにいかない主人公たちのもどかしいこと。それだけ共感できるということでしょうし、そんな芝居を見せるリリー・ジェイムズはとても愛らしく魅力的。
上述の通り、決して教訓的なストーリーではないのですが”love”と”like”、「恋」と「好意」の差を教えてくれますし、また劇中の「愛は(結婚後に)育つもの」というのも印象的でした。
いずれんせよ予想するよりも「深くない」のがこの映画の良さ。「愛とは何か」とか、映画に秘められたメッセージはどーのこーの」とか論じるのではなく、単純に登場人物たちの恋愛模様を楽しむのがベストな鑑賞法のようです。
内緒
多様性
ただのラブコメではなく大切な深いテーマの作品
好きな女優さんのリリー・ジェームズ主演という事で観ました
ラブコメではあるけど、それがこの作品の本当のテーマではなく、家族がベースにあるように思いました
相手の事だけじゃなく、お互いの家まで絡む上に宗教まで絡んでくるからややこしくなる結婚
日本はここまでややこしくはないだろうけど、ホント結婚ってするのも続けるのも難しい
「そりゃそうなるよね」のラストはこの作品のキモではなく、カズとその家族、ゾーイの幸せを願う母、ここに涙ポロポロでした
我が子を想う母の愛に敵うものはないのです
家族愛の洋画を観る度思うのですが、日本の方が家族に対する想いが希薄なような
そんな感動もありながら、カズの「テロが起こる度に謝らなければいけない」、「47番地と49番地は同じ大陸ではない」、「イギリスで生まれてもどこ出身と聞かれる」、心にズシリとくる悲しい言葉でした
人種、宗教、そんな事に関係なく結婚ってできる世界になると良いよねと改めて思いました
そういう良い作品の中、ゾーイが読み聞かせをするプリンセスのおとぎ話が楽しかったです
新年1作目、良い作品からのスタートです
チルチルミチル
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