「現実は非情ではあるが...」アウシュヴィッツの生還者 jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
現実は非情ではあるが...
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事実に基づいてつくられているため、ご都合主義の奇跡は起こらない。不利な試合では下馬評通り一方的に打ち負かされる、生き別れた恋人と再会するのはお互いが家庭を持った後である、PTSD(に加えて恐らくパンチドランカーの症状)により精神的に不安定になるなど、主人公の思い通りにならない展開が続く。しかし、このような展開が続くからこそ、最後の浜辺でのシーンが際立つ。
本作では、世界大戦時のアウシュヴィッツと戦後のアメリカといった時代と場所が異なる2つのシーンが入り混じって描かれている。大戦時のシーンをモノクロで描く表現方法は、主人公の心境を表すと同時に視聴者にシーンの変化を一目で示すことができるといった効果も兼ねた優れた演出だと思う。
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