「やり続けること」バカ塗りの娘 なおこさんの映画レビュー(感想・評価)
やり続けること
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出演されている宮田俊哉さん目当てで見に行きました。
映画冒頭に流れる漆の鮮やかな朱色、漆を練る音がとても好きです。全体を通して静かに穏やかに時間が流れていくので、余計に津軽塗の音や色が心に残り、見終わったあと、自分が普段いかに喧騒の中で生活しているかを実感します。
津軽塗を通して日本の文化、文化の継承、一人の人間としての生き方の選択、日本におけるLGBTへの理解など描かれている内容は多いのに詰め込まれている感が全くなくお説教的なものがないのも凄いなと思います。
津軽塗のシーンはぜひ映画館の大きなスクリーンで色や音を感じながら見てほしいです。
−−−−−−−−−−−−−−ここからネタバレ−−−−−−−−−−−−−−
文部科学大臣賞を受賞したこともある漆職人の祖父が青木家の価値観の中心となっており「津軽塗」のメタファーにもなっています。
漆を続けている父と主人公は祖父の世話をしていますが、母と兄は気にはなっても会いには行かない。
また父娘が津軽塗と向き合いたくなったとき祖父の作品を出してくるのも印象的です。
その祖父が残す言葉はこの作品の中で一番純粋で一番根源的なところを突いています。
それから、兄ユウの恋人である尚人が挨拶に来るところからストーリーが動き出していきますが、宮田くんがインタビューで尚人のことを「トランスジェンダー」と言っていたので、それを知らずに見たときと知ってから見たときで美也子・ユウ・尚人3人の関係性も違った印象を持ちました。
美也子の気持ちを思うと切なくなるシーンもありますが、尚人の静かな横顔が後からじわじわと切なくなったり、それぞれの幸せを願わずにはいられません。
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