「過不足ゼロ!2時間映画の最高傑作!」SAND LAND てらゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
過不足ゼロ!2時間映画の最高傑作!
設定を練って、キャラクターに感情移入もさせて、起承転結つくる。
それをたった2時間で視聴者に伝える。
シリーズものではない、単作映画としてこれをやり遂げるのは至難の業。
それを完璧にやり遂げた本作は紛れもなく映画史に残る傑作ではないだろうか。
世界観◎
モノローグも無いし、説明台詞も無い。
なのに序盤数分の会話劇と情景だけでこの世界の状況がほとんど分かる。
「広大な砂漠」「水を奪う魔物」「テレビCMに映る王様」
要素を散りばめて会話が進むだけで、その土地の背景や、各キャラクターの関係性、びっくりするぐらいスッと入ってくる。
必要な説明を省きすぎて訳分からなくなる映画が多い中で、情報の取捨選択が上手すぎて驚く。
キャラクター◎
登場から好きになるまでの時間がとんでもなく早い。
台詞を一つ喋れば好きになって、また台詞を発すれば更に好きになる。
ベルゼブブが可愛い
シーフが可愛い
ラオはかっこいい
旅の始まり、まだ大した戦闘シーンも掘り下げもないのに、視聴者の全てが上記感想を当たり前のように享受できている。
鳥山明の台詞回しが上手すぎて驚く。
ストーリー◎
悪政を打ち砕くダークーヒーローものなんて面白いに決まっている。
過去と現在が入り交じる逆襲ものなんて面白いに決まっている。
異なる2種族が絆を深め合うハートフルものなんて面白いに決まっている。
この王道面白いストーリーラインを一つの物語に見事に調和させ、絶えずカタルシスを生み出す構成力に驚く。
勿論、メカニカルな戦車に、大男をもなぎ倒していく少年主人公、若かりし頃を彷彿とさせるイケオジの活躍。
そんな鳥山明の集大成も存分に味わわせていただきました。
薄すぎず濃すぎず、分かりづらさも皆無で爽快感とワクワクだけが残り続ける。
過不足ゼロの2時間で構成された本作は、まさに他に類を見ない単作映画の最高傑作だと言えます。