「子供が飢えに苦しむような国の政治は完全に間違っている。」映画 窓ぎわのトットちゃん Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0子供が飢えに苦しむような国の政治は完全に間違っている。

2024年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作既読。多少の脚色はあれほぼ原作通りで内容も展開も知っているはずなのに、後半で思わず泣いてしまった。

前半はどう見てもADHD多動傾向のあるトットちゃんを温かく見守るトモエ学園の学校生活なんだが、後半一気に戦争ムードになってくる。
昭和って戦争前は豊かだったんだな…トットちゃんは当時でもかなり上流階級のうちの子供というのがわかるし、お父さんはオーケストラのコンマスだしお母さんはモダンガール。自宅も当時にしては珍しい完全洋式で朝はパンとコーヒー。休日にはデパートやパーラーにに家族で行く。それが戦争開始とともにどんどん質素に貧しくなってくる。(ところでお父さんがヴァイオリンを弾くシーンはきちんと監修がついているようで100点満点。ウィッシュは見習って欲しい←)

国の掲げる正義は反転するが、おなかが空いている人に食べ物を与えるのは絶対的な正義だ、そう語ったのはアンパンマンの作者であるやなせたかしだが、逆にいえば、子供が飢えに苦しむような国作りは完全に間違っている。
2023年時点、子ども食堂の数は7000カ所を超えているという。それだけ子供達が満足に食べられていないと言うことだ。子供を飢えさせている国の政治家は恥を知れ。

原作を読んだ方、原作に興味を持った方は「窓ぎわのトットちゃん」に続いて「トットちゃんとトットちゃんたち」という、黒柳徹子がユニセフ親善大使でアフリカ諸国を回ったときのエッセイも是非読んで欲しい。窓ぎわのトットちゃんと同じく非常に読みやすいが、飢えや戦争で苦しむ子供達の厳しい現実が描かれている。

Jax